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【初心者向け】カナヘビの飼い方|必要なものと飼育のポイントを解説

【初心者向け】カナヘビの飼い方|必要なものと飼育のポイントを解説

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日本に生息するニホンカナヘビとは、ニホントカゲに並ぶポピュラーなトカゲの一種です。長いしっぽが特徴で、ニホントカゲよりも懐きやすいといわれています。

このような習性から「ヘビのようにしっぽが長く、かわいらしい生き物」という意味合いで「愛蛇(かなへび)」と名付けられたという説もあるほどです。

本記事では、カナヘビの基本情報や飼い方のポイントについて解説します。カナヘビは、適切な環境を整えればお子さんと一緒に自宅で簡単に飼育ができます。神経質な性格ですが人に懐きやすいため、初心者の方にもおすすめです。ぜひ飼育のポイントを知って、お家にお迎えしてみましょう。

カナヘビの飼育に役立つ基本情報

カナヘビの飼育に役立つ基本情報
「カナヘビ」は名前だけ聞くとヘビの仲間と思われがちですが、実はカナヘビ科・カナヘビ属のトカゲの一種です。主にアジアやアフリカ、ヨーロッパに生息しており、現在ではおよそ26属280種が確認されています。

カナヘビを飼う前に、まずは基本情報を確認しておきましょう。

見た目の特徴

日本に多く生息するニホンカナヘビは、茶色っぽい体にザラザラとしたウロコがあります。

世界には黒色や緑色のカナヘビや、光沢のある体色へと変化する種類も存在します。カナヘビの平均サイズは全長約15〜25cmです。日本最大級のサキシマカナヘビであっても全長約30cmと、それほど大きくありません。

トカゲ科と比べてしっぽが長く、全長の約半分がしっぽでできているカナヘビも存在します。

生態

ニホンカナヘビは昼行性(ちゅうこうせい)で、夜は倒木(たおれぎ)の中や草陰で眠りにつきます。 昆虫を好んで食べ、お家の庭先や公園、河川敷(かせんしき)にいることが多いです。

日本には、ほかにも北海道の「コモチカナヘビ」や、長崎県の対馬(つしま)の「アムールカナヘビ」、沖縄県の離島の「サキシマカナヘビ」「アオカナヘビ」「ミヤコカナヘビ」などが生息しています。

カナヘビは捕食されることが多いため、警戒心が強く神経質な性格をしています。したがって、野生のカナヘビを飼う場合は、できるだけストレスの少ない環境を整えてあげましょう。

寿命

カナヘビの寿命は約4〜7年です。しかし、整った飼育環境であれば10年近く生きる可能性もあります。

カナヘビは、生まれてから1年程度で成体(繁殖できる成長段階)になります。繁殖と産卵期は、春先から初夏の期間です。卵を一度に2〜3個、多いときには7〜8個産み、約2か月で孵化(ふか)します。

カナヘビの入手方法

カナヘビの入手方法
カナヘビを入手するには、捕獲するか、ペットショップで購入する方法があります。それぞれの方法について、ポイントを詳しく解説します。

捕まえる

カナヘビとニホントカゲは非常によく似ています。間違えないように、見た目の違いについて確認しておきましょう。

カナヘビ ニホントカゲ
目の上にまぶたのような膜あり 目の上下にまぶたのような膜あり
しっぽ 胴体と同じくらい長い 胴体の半分程度の長さ
舌先が二又に分かれている 舌先が分かれていない
肌触り ウロコがザラザラしている
手触りはあまりよくない
ウロコがツルツルしている
滑らかな触り心地
生息地 地上で生息 地中で生息
成長による変化 幼体から成体まで茶色のまま 幼体のときは鮮やかな銀青色のしっぽ
成長するにつれて茶褐色になる

カナヘビは、土に潜らず枯れ木や草花の下で生活します。夏になると日中の暑さを避け、早朝や夕方に現れることが多いです。一方、ニホントカゲは基本的に地面の中で生活し、日光浴のために地上へ出てきます。

カナヘビを捕獲しようと近づけば逃げてしまいますが、少し離れた場所でピタッと止まります。素早く逃げられないため、この隙を狙って捕まえましょう。両手をお椀のかたちにしてサッと素早くかぶせると、簡単に捕獲できますよ。

ただし、カナヘビの幼体は骨がまだもろいため、加減しないと人の力で骨折するおそれがあります。捕まえるときは、優しく手で包み込みましょう。

なお地域や、カナヘビの種類によっては絶滅危惧種に指定され、捕獲が禁止されている場合があるため、あらかじめ確認が必要です。

購入する

カナヘビはペットショップや爬虫類専門店で購入することも可能です。ほかのトカゲよりも安価なほか、人にも慣れている個体が多いため、捕まえるのが大変な場合は購入を検討してみてください。

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カナヘビの飼育に必要なもの

カナヘビの飼育に必要なもの
カナヘビの飼育に必要なものは以下のとおりです。

  • 飼育容器
  • 床材
  • シェルター
  • 水入れ
  • 照明器具
  • エサ

それぞれの道具の選び方について、詳しくみていきましょう。

その1:飼育容器

カナヘビの飼育には、大きめの飼育容器や爬虫類専用のケージがおすすめです。爬虫類専用のケージは、通気性が良くメンテナンスもしやすいメリットがあります。

また、フタがしっかりと閉まるため、カナヘビが脱走するのを防いでくれます。

その2:床材

飼育容器とあわせて床材も用意しましょう。爬虫類専用のタイプで、床材の厚さが約3〜5cmのものが好ましいです。

野生のカナヘビであれば、捕獲するときにそばに落ちていた土や落ち葉を利用しても問題ありません。

ただし、土の中には小さい昆虫や微生物がいるため、エサや湿気で繁殖してしまい、カナヘビを弱らせるおそれがあります。対策として、ジップロックに入れて電子レンジで加熱してから使用してください。

その3:シェルター

カナヘビは、身を隠せる「シェルター=隠れ家」がないと、ストレスで病気にかかるおそれがあります。木の枝や大きな石、割れた植木鉢などがおすすめです。

ただし、道端に落ちているものはカビが繁殖し、寄生虫が付着しているおそれもあります。心配な場合は、市販されている爬虫類用のシェルターを利用すると安心です。

その4:水入れ

カナヘビは水をよく飲むため、水入れは必須のアイテムです。水を飲みやすいよう、浅めの水皿を用意してください。

飲み水としてだけではなく、水浴びにも利用する場合があり、水が汚れやすくなります。水が新鮮でなかったり、汚れていたりすると飲まなくなるため、毎日取り替えてあげましょう。用意するのは水道水で問題ありません。

また、カナヘビが脱皮をするときに、湿度が低いと脱皮不全を起こすおそれがあります。湿気の多い飼育環境を保つためにも、水入れの設置は欠かせません。

その5:照明器具

カナヘビは昼行性の爬虫類であるため、紫外線にあたらないと体内にカルシウムを取り入れられません。カルシウムが不足すると「くる病」にかかるリスクが高まります。くる病とは、骨に異常が出てエサが食べれなくなったり、歩けなくなったりする病気のことです。

対策として、日光の代わりに爬虫類の保温用電球として作られた「バスキングライト」を使用しましょう。飼育容器内を加湿でき、くる病の予防につながります。バスキングライトを石の上に設置すると、カナヘビにとっても日光浴がしやすくなりますよ。

その6:エサ

カナヘビはコオロギやミルワームなどの昆虫を好んで食べます。これらは生きエサを扱う店で購入できますが、エサ代を抑えたい場合は、自身で昆虫を育てて繁殖させるのも一つの手です。

また、飼育下ではカナヘビの栄養が偏りやすいため、ビタミンやカルシウムを含んだパウダー粉末のサプリをエサに振りかけて与えてください。もっとも食いつきが良いのは生きエサですが、少しずつ慣らしていけば、爬虫類フードなども食べてくれるようになるでしょう。

カナヘビの基本的な飼い方

カナヘビの基本的な飼い方
飼育環境を整えたら、正しい飼い方を確認していきましょう。温度管理や日々のお手入れなど、飼育の基本について解説します。

飼育適温

カナヘビの飼育適温は24〜27°Cといわれています。暑くなりすぎない場所を選んで、飼育容器を設置しましょう。

また、木の枝や落ち葉などを用いて作られたシェルターは、日光浴のときの逃げ場所としても利用できます。

エサのあげ方

先述したとおり、エサは昆虫に粉末のサプリを加えたものがおすすめです。週に2〜3回のペースで与えましょう。カナヘビはエサが大きいと食べられないことがあるため、昆虫を与えるときは小さいサイズを選んでください。

ピンセットで昆虫をつまんで、直接カナヘビにあげます。その際、いきなり喰いつくとケガをするおそれがあるため、先端が尖っていない部分を与えてください。もしくは、カナヘビの視界内にエサを落としておくだけでも食べてくれます。

水のあげ方

カナヘビは警戒心が強いため、水入れを用意しても興味を示さないことがあります。その場合は、飼育容器全体に霧吹きをしてみてください。そうすることで、カナヘビの喉が渇いたときに、床材の落ち葉や木の枝についた水滴を舐めて水分補給をしてくれます。

掃除方法

カナヘビは、黒い粒のような形のフンをします。排泄を頻繁にする生き物であるため、見つけたら取り除いてあげましょう。

床材の土に植物を植えて、フンを分解させる方法も有効ですが、あまりに飼育容器内が汚れている場合は掃除が必要です。月に1回程度を目安に掃除をしてください。

カナヘビの飼い方のポイント

カナヘビの飼い方のポイント
カナヘビを上手に育てるためには、定期的に日光浴をさせたり、ストレスを与えないようにしたりと、さまざまな工夫が必要です。長い時間を一緒に過ごせるよう、飼い方のポイントを押さえておきましょう。

日光浴をさせる

カナヘビは日光浴が大好きです。最低でも週に3回は日光浴をさせてあげましょう。毎日させても問題ありません。

飼育容器のまま外に出し、1時間後に日陰に戻します。日光浴は、日差しが強くなりすぎない時間帯がベストです。

また、夏場に日光浴をさせる場合は、直射日光が長時間当たらないように注意してください。気温が上がりすぎないうちに日陰へと戻してあげましょう。

丁寧にお世話する

カナヘビは警戒心が強いため、飼って数日の間はおびえてエサを食べないことがあります。

その場合は、そっとしておいてあげましょう。再び様子を見てエサを与え、それでも食べなかった場合は、自然界へと逃がしてあげるのがベストです。

カナヘビは外的脅威を感じたときに、尾の一部を切り捨てて逃げます。これを「自切」といい、切れたしっぽは再生しますが、カナヘビの身体には大きな負担がかかります。したがって、自切はなるべくさせないように、しっぽを強く触ったり、しつこく追い回したりするのはやめましょう。

また、1つの飼育容器にカナヘビを複数匹いれるとケンカすることがあるため、1匹ずつ別々の容器に入れて飼育するのがおすすめです。カナヘビは神経質な生き物なので、優しく丁寧にお世話してあげてください。

冬越しの方法

飼育下にある爬虫類は、冬眠をしないといわれています。飼育側が用意した環境下で冬眠の準備をするには不十分な点が多く、冬眠すると死ぬ危険性があるからです。

一方で、自然の摂理に従って冬眠させたほうが良いという意見もあります。もし冬眠させたい場合は、万全の環境を用意してあげましょう。

冬眠をさせずに冬越しさせる場合は、加温飼育をおこなう必要があります。加温飼育に必要な道具は、以下のとおりです。

  • 紫外線ライト
  • サーモスタット
  • バスキングライトかヒーター
  • ガラス製の飼育容器

サーモスタットは、気温の上がりすぎ防止や、UVライトの自動オン/オフができるタイプが望ましいです。これらの道具を用意し、飼育容器を常に30°C前後に保つことで冬越しできます。

赤ちゃんカナヘビが生まれたら

カナヘビの卵は、約40日で孵化します。カナヘビは子育てをする習性がないため、幼体は親のカナヘビとは別で育てましょう。仮に親のカナヘビと一緒に育ててしまうと、たとえ我が子であってもエサや攻撃対象となってしまいます。

基本の飼育方法は、成体のカナヘビと変わりありません。エサはカナヘビの幼体に合った小さいサイズの昆虫を用意しましょう。幼体の場合、エサは毎日与えてください。人工飼料を食べることもあるため、いろいろなエサを試してみることをおすすめします。

また、水入れが大きすぎると、カナヘビの赤ちゃんが溺れてしまうおそれがあります。対策として、浅めの水入れを用意するか、水の量を少なくしましょう。また、幼体のうちは水入れに気がつかないことがあるため、乾燥対策も兼ねて霧吹きをしておくと安心です。

カナヘビの上手な飼い方を覚えて大切に育てよう

カナヘビの上手な飼い方を覚えて大切に育てよう
カナヘビは、長く飼うほど人懐っこくなります。上手な飼い方を覚えて、大切に育ててあげてくださいね。

また、2か月に一度のペースで脱皮をするため、飼育を通して大きな発見や学びを得られるでしょう。ぜひお子さんと一緒に、カナヘビの飼育にチャレンジしてみてください。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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