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【獣医師監修】猫の爪の切り方|爪切りの頻度や嫌がるときの対策を徹底解説

【獣医師監修】猫の爪の切り方|爪切りの頻度や嫌がるときの対策を徹底解説

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猫の爪は私たちの爪と同じように伸び続けるため、猫自身の爪とぎに加え、定期的に切ってあげる必要があります。

しかし「足をつかむと嫌がって、なかなか切らせてくれない」「切ろうとしたら爪で引っかかれた」と苦労している方もいるのではないでしょうか。愛猫の爪切りは、多くの飼い主さんが悩むポイントです。

本記事では、猫の爪の切り方や頻度の目安、嫌がるときの対策を解説します。記事を最後まで読んでコツをつかめば、飼い主さんも愛猫も安心して爪切りに臨めるでしょう。

猫の爪切りの必要性

"棒につかまり、爪を引っ掛けて遊ぶ猫

猫は本来、爪を自由に出し入れできる動物です。狩りや木登りをするときは爪を出し、獲物に近づくときは引っ込めて足音を忍ばせるなど、外で過ごす猫は爪が自然と削れていくため適度な長さに保たれます。

しかし、室内飼いの猫は削れる環境がそばにないため、そのままにしておくと伸びすぎてしまい危険です。

「猫は自分で爪とぎをするから爪を切らなくてもいいのでは?」と思われがちですが、爪切りと爪とぎは目的がまったく違います。

猫の爪切りはなぜ必要なのか、以下で詳しく説明します。

ケガや感染症の原因になる

爪切りを怠ると、伸びすぎた爪がカーテンやカーペットに引っかかって根元から折れて出血したり、肉球に食い込んで炎症や化膿を引き起こしたりする可能性があります。特に多頭飼いの場合は、伸びた爪で猫同士がじゃれあうことで、ケガのリスクが高まります。

また、人が猫に引っかかれるとケガをするだけでなく、「猫ひっかき病」や「パスツレラ症」といった感染症を引き起こすおそれがあります。

  • 猫ひっかき病:バルトネラ菌という細菌によって起こり、多くの場合、子猫に引っかかれて感染します。リンパ節が腫れ、倦怠感や頭痛、発熱を伴います。
  • パスツレラ症:パスツレラ菌によって起こる感染症です。早ければ数時間程度で、引っかかれたところが腫れて赤くなります。糖尿病などの基礎疾患のある人は重症化し、命にかかわる危険性もあります。

爪とぎとの違い

猫の爪は、玉ねぎの皮のように何層にも重なっており、内側から新しい爪ができ、外側の爪は古くなっていく仕組みでできています。猫は爪とぎをすることで、古くなった外側の爪を剥がし、内側にある新しい爪を出します。

しかし、新しい爪は尖っているため、そのままでは物に引っかかりやすく危険です。そこで定期的に爪切りをおこない、先端をカットすることで安全な状態を保つ必要があります。

爪切りは、飼い主さんと愛猫の両方が安全に暮らすためにも必須のお手入れです。

猫の爪の構造と特徴を知ろう

猫の爪のアップ写真

猫の爪は私たちの爪とは違い、先が尖っていて根本には血管が通っています。ケガを負わせたり家具を引っかいたりしないようにと思って短く切ると、誤って血管まで傷つけ、出血させてしまうおそれがあるため注意が必要です。

愛猫の爪を切る前に構造と特徴をしっかりと理解し、切るべき部分を把握しておきましょう。

爪の基本構造

先述したように、猫の爪は複数の層が重なり合ってできています。爪の根元にうっすらと見えるピンク色の部分は「クイック」といい、神経と血管が通っています。そのため、爪を切るときは、クイックを切らないように気をつけなければなりません

爪は普段、肉球の間に収まっていますが、爪をといだり物をつかんだりするときは、肉球に力が加わることで出てきます。

ただし、子猫はまだ筋肉が十分に発達していないため、爪をうまく出し入れできません。出しっぱなしであることが多く、衣類に引っかかりやすいため、筋肉が発達して自在に出し入れできるようになるまでは、こまめに切ってあげましょう。子猫のうちから爪切りに慣れさせておくと、成長してからの爪切りも楽になります。

また、老猫になるにつれ、爪とぎの頻度は減っていきます。爪とぎをしないと古い爪が残り続け、分厚くなってしまいます。猫の爪は鉤爪(かぎづめ)といって、カーブしながら伸びる性質があるため、伸びすぎると巻き爪になり肉球に刺さってケガをするおそれがあります。爪とぎをしなくなったと感じたら、こまめに爪を切ってあげましょう。

伸びるスピードと個体差

猫の爪の伸びるスピードは、年齢によって異なります。爪切りをする頻度の目安は以下のとおりです。

  • 子猫:2週間に1回程度
  • 成猫:3週間~1か月に1回程度
  • 老猫:2~3週間に1回程度

また、よく使う爪は伸びるのが早く、逆にあまり使わない爪はゆっくりと伸びます。猫の行動傾向に合わせて爪の伸びを観察し、伸びすぎていたら適宜切りましょう。

猫の爪切りに必要な道具と選び方

爪を切っている猫の手元アップ

猫の爪切りに必要な道具と選び方をご紹介します。

爪切りに慣れていない猫は、道具を出すだけで逃げたり隠れたりすることがあります。そのため、普段から愛猫が目にする場所に置いて慣れさせましょう。

猫用の爪切り

猫用の爪切りには主にハサミ型とギロチン型があります。

ハサミ型は、わたしたちが普段使っている文房具のハサミと同じ仕組みであるため、初めての方でも扱いやすくおすすめです。子猫の柔らかい爪のカットにも向いています。

ギロチン型は、円状の刃に爪を差し込んで切るタイプです。慣れないうちは扱いにくいかもしれませんが、固い爪でも簡単にスパッと切れるハサミで、動物病院でもよく使われています。

いずれもペットショップなどで手軽に入手できます。使い勝手の良さや愛猫の状態に合わせて選びましょう。

ペット用の爪切りの商品を見てみる

バスタオルや洗濯ネット

猫は、何かに包まれたり、視界が暗くなったりすると安心する動物です。猫が爪切りを嫌がり、動いてしまう場合は、家にあるバスタオルや洗濯ネットで身体を覆うことで安全に爪を切ることができます。特に洗濯ネットは、網目ごしにカットできるので便利です。

止血用の清潔なガーゼやコットン

誤って血管まで切って出血した際、止血するために使います。こちらも家庭用のものでかまいません。

猫の好きなおやつやおもちゃ

爪を切る前に落ち着かせたいときや、爪切り後にご褒美としてあげたいときに使います。

猫の爪の正しい切り方

爪を切られて大人しくしている猫

爪切りに必要なアイテムをそろえたら、いよいよ愛猫の爪を切ります。おおまかな手順は以下のとおりです。

  1. ご褒美のおやつを用意する
  2. 猫を後ろからそっと抱え足先を持つ
  3. 肉球を押して爪を出す
  4. 先端の尖った部分を2~3mm程度切る
  5. すべて切り終えたら、ご褒美のおやつをあげる

以下で、爪を切るときのポイントと注意点を解説します。

肉球を押して爪を出す

猫の爪は、肉球の間に隠れています。後ろから抱きかかえたら、足先を持った手でそっと肉球を押し、爪を出しましょう

被毛で爪が隠れやすい長毛種の場合は、爪を切る前にカットするか少し湿らせると、爪全体を把握しやすくなります。

先端を2mmほど切る

愛猫をしっかりと固定したら、爪の先端の尖った部分から2~3mmのところを切りましょう。慣れないうちは、もう少し先端に近いところでかまいません。

クイック以外の半透明の部分は切っても痛みは生じませんが、慣れないうちは手元がぐらつき、誤って切ってしまうおそれがあります。初めて切るときは、爪先をほんの少しチョンと切り、徐々に深く切っていきましょう。

黒い爪のときの注意点

黒猫などの黒っぽい爪でクイックの位置がわからない場合は、爪の下から懐中電灯で照らすと確認できます。

それでもわからない場合は、肉球の高さを目安に切りましょう。

猫が爪切りを嫌がるときの対策法

猫の手足や爪の先は敏感なため、触られると嫌がる子がほとんどです。嫌がるのを力づくで押さえて切ろうとすると、爪切りを嫌いになってますます切りにくくなるため、無理をしてはいけません。愛猫の性格やそのときの気分に合わせて進めましょう。

嫌がられずに爪を切る方法

愛猫が爪切りを嫌がる場合は、大好きなおやつを与えて落ち着かせたり、少量ずつ切ったりして、ストレスを与えないことが大切です。そのときの愛猫の様子に合わせて、慎重に切りましょう。

以下で、嫌がられずに切る方法を3つご紹介します。

普段からスキンシップをする

先述したとおり、猫は足を触られることが苦手です。爪切りで固定されると、なおさら嫌がってしまうでしょう。

そのため、普段から積極的にスキンシップを図り、足を触れられることに慣らしておくことが大切です。首や背中、胸など、なでられると喜ぶ部分に触りながら、少しずつ足や肉球に触れてみてください。機嫌良く触らせてくれるようになったら、爪切りもしやすくなります。

活発に活動する時間帯を避ける

愛猫が活発に行動している時間帯の爪切りは避けましょう。元気に遊んでいるときに動きを止められると、ストレスを感じ、爪切りを嫌がってしまいます。

食後や寝起きなど、愛猫が落ち着いているタイミングがおすすめです。

数回に分けておこなう

一度にすべての爪を切る必要はありません。嫌がって暴れたらそこで止め、翌日に持ち越してもいいでしょう。

最初のうちは1日に1本か2本と決め、少しずつ慣らしていくことが大切です。

どうしても切らせてくれない場合

どうしてもスムーズに切れない場合は、プロに任せるのも一つの手段です。

無理やり自力でおこなってもますます嫌がられ、爪切りを見ただけで、その場から逃げるようになるかもしれません。自力でできない場合は、動物病院やトリマーで切ってもらうと安心です。

自宅での爪切りは少量ずつを基本にし、回数を重ねることで、スムーズに切れるようになるでしょう。

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爪切りで猫が出血してしまった場合の応急処置

猫の爪を剥き出している

切り過ぎて出血してしまった場合は、すぐにガーゼやコットンで爪の断面を押さえ、止血してください。出血が止まらなかったり出血量が多かったりする場合は、すみやかに動物病院を受診しましょう。

止血剤を使うとより短時間で止血できるため、慣れないうちは用意しておくと安心です。

猫の爪切りは無理をしないことが大切

人間に抱き抱えられながら爪切り中の猫

初めて愛猫の爪切りをおこなう場合は、そのときの状態に合わせて、少量ずつ切ることが大切です。愛猫が嫌がる場合は無理に押さえつけず、様子を見ながら時間を置いて、再チャレンジしましょう。

切るときは、猫専用のハサミで先端を少しずつ切っていきます。誤って深く切り出血してしまったときのために、ガーゼや止血剤を用意しておくと安心です。

爪切りが終わったら、愛猫の大好きなおやつやおもちゃをご褒美として与え、目一杯ほめてあげましょう。

爪切りは、ケガや病気を防ぐためにも欠かせないケアです。ストレスを感じさせないように切り、愛猫の健康を守りましょう。

 

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この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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