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猫のおしっこトラブル|粗相(お漏らし)や頻尿などの原因と予防法

猫のおしっこトラブル|粗相(お漏らし)や頻尿などの原因と予防法

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猫のおしっこトラブルは、多くの飼い主さんが悩むポイント。

「トイレでおしっこをせず漏らしてしまう」「おしっこの回数がいつもより多い」このようにお悩みの飼い主さんもいるのではないでしょうか。

猫のおしっこトラブルは、一度起こすと何度も繰り返してしまうことが多いため、日ごろのケアがとても大切です。

本記事では、猫のお漏らしや頻尿について、原因や疑われる病気などを解説。さらに効果的な予防法もご紹介します。今猫を飼っている方もこれから迎える方も、しっかりと確認して愛猫の健康を守ってあげましょう。

猫のおしっこトラブルの症状

猫のおしっこトラブルの症状
猫によく見られる粗相(お漏らし)や頻尿の初期症状は、以下のとおりです。

  • トイレに間に合わず、漏らしてしまった
  • トイレの回数が増えた、減った
  • トイレに行ってもおしっこをしない
  • 赤色やピンク色のおしっこが出る(血が混ざっている)
  • 排尿時に背中を丸めて、触られるのを嫌がる
  • 食欲が落ちた、食べても吐く

猫の標準的な尿量は、体重1kgあたり20~40mlです。水を飲む量や食事によって異なります。そのため、この量よりも多かったり少なかったりしても必ずしも異常があるわけではありません。しかし、急に尿量が増減したり、まったく出なくなったりした場合は、何らかの疾患を抱えている可能性が高いため注意が必要です。

固まるタイプの猫砂の場合は正確な尿量を測れませんが、普段の塊や大きさ、重さで通常の量を把握できます。ペットシーツを使っている場合は、おしっこをしたときの重さを量ることで尿量がわかります。

尿量を測るのが難しい場合は、愛猫がおしっこに行く回数を気にかけてください。猫の1日のおしっこの標準回数は1~3回ですが、個体差があるので、愛猫の普段の回数を把握しておきましょう。

おしっこの回数が普段と比べて大幅に増えたり減ったりしていないか、おしっこの色や排泄時の様子に異常がないかなど、日ごろから愛猫の様子を観察し、小さな変化を見逃さないことが大切です。

猫のおしっこトラブル|環境や年齢が原因

猫のおしっこトラブル|環境や年齢が原因
飼い猫は同じ場所で排泄する習性があるため、トイレをきちんとしつけていれば、基本的におしっこのトラブルは起こりません。しかし、環境や加齢、発情によってお漏らしをすることがあります。

ここでは、猫がお漏らしをする原因を詳しく解説します。

飼育環境

猫がお漏らしをする大きな原因は、トイレの環境に対する不満だといわれています。

猫は、とてもきれい好きな動物。トイレにもこだわりを持つ傾向があり、自分が気に入ったトイレでなければ排泄をしないことがあります。以下のような状態のトイレは不満を抱きやすいため注意しましょう。

  • トイレに排泄物が残っていて汚い、臭いがする
  • トイレが落ち着いた環境にない
  • トイレのサイズが体格に合っていない

また、引っ越しや来客、騒音、新しい家族・ペットの加入など、環境の変化にストレスや緊張を感じてお漏らしをすることもあります。

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発情期

発情期に入った猫は、お漏らしをすることがあります。

とくに、発情したオス猫はメス猫にアピールしたり、ほかのオス猫にライバルであることをアピールしたりするために、壁など垂直な面にわざと少量の尿をスプレーのように噴射し、自分の性フェロモンをあちこちに残そうとします。

トイレ以外の場所、とくに壁などに排尿するようになったら、発情のサインかもしれません。

老化

人間と同様、猫も老化によって身体機能や運動能力が低下します。

トイレで排泄しようと思っても関節や筋肉を思うように動かせず、トイレまでたどり着けなかったり、またげなかったりして、漏らしてしまうことがあるのです。

猫が高齢になったら、側面の低いトイレに替える、設置場所を増やすなど、簡単に利用できるよう環境を整えてあげることが大切です。

猫のおしっこトラブル|病気が原因

猫のおしっこトラブル|病気が原因
猫は、泌尿器系の病気にかかりやすい動物です。その理由は、猫の体の構造にあります。

もともと猫は砂漠で暮らしていたため、乾燥した環境でも水分を無駄なく利用できる体をしており、凝縮された濃いおしっこをします。水分が少なくても生きていけますが、そのぶん腎臓への負担が大きく、機能障害が起こりやすいのです。

これを踏まえたうえで、猫によく見られる泌尿器の疾患を3つご紹介します。

慢性腎臓病

慢性腎臓病は、腎臓の機能が低下した状態の「腎不全」が長期化したことで起こる病気で、慢性腎不全ともいいます。原因は、細菌やウイルスの感染、免疫低下、結晶・結石などによる尿路の閉塞など。中高齢の猫に多い傾向がありますが、若齢の猫にも起こりうるため油断できません。

慢性腎臓病になると、以下の症状が現れます。

  • 多飲多尿
  • 食欲不振
  • 嘔吐・悪心
  • 下痢・便秘
  • 貧血

一般的な治療法は、点滴や食事療法、薬物療法です。しかし、腎機能は一度低下すると元には戻らないといわれているため、日ごろの予防が大切です。水分を摂らせる、ミネラルやシュウ酸などの過剰摂取を控える、ストレスの緩和などを心がけましょう。

尿路結石

尿路結石は、尿管・膀胱・尿道に結晶や結石ができる猫の代表的な病気です。主な原因は、栄養バランスの偏りや水分不足。症状はおしっこの状態やトイレの頻度に表れ、以下の場合は尿路結石が疑われます。

  • いつもより尿の色が濃い
  • ピンク色や赤色をしていて血が混じっている
  • 尿にキラキラした砂状のものが混じっている
  • 少量の排尿を1日に何回もする
  • 排尿時に力む、あるいは痛そうに鳴く(しかし尿が出ない)
  • トイレ以外での排尿、お漏らし

尿路結石は、放置すると急性腎不全から尿毒症を引き起こし、2~3日で急激に悪化して命を落とすこともある病気です。また、再発しやすく慢性化する傾向があるため、日ごろの生活習慣に気をつけることが大切です。とくに以下3つを心がけましょう。

  • 栄養バランスのとれた食生活を送る
  • 水分を十分に摂取する
  • 適度に運動する

おしっこの異常や排尿時に痛がる様子が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。

膀胱炎

おしっこをためる膀胱に炎症が起こることで生じる膀胱炎も、猫によく見られる病気です。細菌感染や膀胱結石、ストレスなどが原因として考えられます。以下の状態が見られたら膀胱炎を疑いましょう。

  • おしっこの色が白い、または赤色をしていて血が混じっている
  • 1回の尿量が少なく何回もトイレに行く
  • 排尿時に痛がる、声を上げる
  • トイレ以外での排尿
  • 尿がぽたぽた垂れている(失禁)
  • 半日以上おしっこをしない
  • 陰部をなめるなど気にする行動をとる

膀胱炎は尿路結石と同じく、放置すると急性腎不全から尿毒症を引き起こし、命に関わる危険性もあるため注意が必要です。症状は膀胱炎の程度によって異なり、上に挙げた症状が一度に出るわけではありませんが、どれか一つでもあてはまったら受診してください。

また、膀胱炎は再発しやすいため、治療が終わったあとも定期的に尿検査を受け予防に努めましょう。日常生活では、食事を見直しつつ水分を十分に摂取させることと、ストレスを緩和させることが大切です。

猫のおしっこトラブルの予防法

猫のおしっこトラブルの予防法
これまで説明したとおり、猫のおしっこトラブルは、トイレ環境の変化やストレス、水分不足などが原因です。よって、お漏らしや病気を予防するためには、猫が気に入るトイレ環境をつくり、ストレス要因を除くことが大切です。泌尿器系の疾患を防ぐためにも、積極的に水分を摂らせましょう。

最後に、猫のおしっこトラブルの予防法を詳しく解説します。

トイレ環境を整える

まずは、トイレ環境を整えましょう。先述したとおり、猫はトイレにこだわりを持つ動物です。清潔に保っていても、置き場所や猫砂が気に入らないと、排泄を我慢することがあります。

以下のような行動をとる場合は、猫がトイレを気に入っていない可能性が高いでしょう。

  • トイレに行っても引き返す
  • 排泄中もトイレのふちに足を乗せて中に入ろうとしない
  • 猫砂を掘らない
  • トイレ本体や周囲の床をひっかく

このようなしぐさが見られたら、トイレ環境に問題があります。以下の項目をチェックしながら、トイレ環境を見直してみてください。

  • こまめに掃除をしているか
  • トイレの数は「頭数+1」用意しているか
  • 寒さや暑さ、臭い、騒音など猫がストレスを感じやすい場所に置いていないか
  • 猫の体がすっぽりと収まる大きさか
  • 猫砂は猫の好みにあっていて、十分な量が入っているか
  • 臭いが残らないよう消臭効果のある猫砂や消臭剤を使っているか

トイレの数、置き場所、猫砂の種類・量、臭いに配慮し、猫が気持ち良く排泄できるトイレ環境をつくってあげましょう。

 

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水分をしっかりとらせる

慢性腎臓病や尿路結石、膀胱炎といった泌尿器系の疾患を防ぐためにも、水分をしっかりととらせましょう。

先述したとおり、猫はもともとたくさんの水を飲む動物ではありません。だからといって水分補給を怠ると、泌尿器系の疾患にかかりやすくなるだけではなく、脱水症状に陥るおそれがあります。また、寒い時期に猫は温かい場所で過ごそうとするため、冷たい水を飲むことが少なくなります。

猫に必要な1日の水分量は、体重1kgあたり約20〜45mlです。平均体重が約5kgのため、1日に約100〜225ml程度の水分、つまりコップ半分から1杯程度の水が必要なのです。ただし、実際はフードやおやつからも水分を摂取しているため、必ずしもコップ1杯の水を飲ませる必要はありません。

猫の水分補給の基本は、いつでもきれいな水を飲めるように用意しておくことです。古い水や傷んだ水はあまり飲まないため、こまめに換えましょう。水は、水道水でかまいません。ミネラルウォーターを与える場合は、軟水のものを与えてください。硬水にはカルシウムやマグネシウムが多く含まれているため、腎臓に負担をかけてしまいます。

猫はきれい好きな動物であるため、水を与える環境もきれいに整えてあげることが大切です。置き場所も1箇所ではなく、複数にすることで自然と飲むようになるでしょう。

猫がなかなか水を飲まないときは、ドライフードを水やぬるま湯でふやかして水分を加えてみてください。ドライフードの水分量は約10%ですが、水分を足すことで効率よく水分補給ができるようになります。

また、ウェットフードを与えるのも効果的です。ウェットフードとは、缶やレトルトパウチに入った水分含有量80%程度のフードです。別途水を飲む必要がないほどの水分が含まれているほか、おいしく栄養バランスも優れているため、猫にとっても飼い主さんにとっても安心できるしょう。ただし、開封後は品質が劣化しやすくなるため、なるべく早く食べ切ってください。

ストレスを減らす

猫はストレスがたまると、不安や不満を訴えるために尿でマーキングをすることがあります。立った状態で少量のおしっこを出したり、同じ場所に何度もおしっこをかけたりしているときは、ストレスがたまっているサイン。先述したとおり、ストレスは膀胱炎の原因にもなるため、日ごろからストレスケアをしてあげることが大切です。

猫のストレスを減らすポイントは、環境を整えたうえで、飼い主さんが愛猫との間で十分なコミュニケーションを図ったり、遊ぶ時間をの確保したりすることです。先述したトイレの環境づくりに加え、以下の項目をチェックしながら環境を見直しましょう。

  • 走ったりジャンプしたり、おもちゃで遊んだりするスペースはあるか
  • キャットタワーやキャットウォークなど高い場所があるか
  • 静かで落ち着ける場所はあるか
  • 室温や湿度の管理はできているか
  • いつでもきれいな水を飲めるようにしているか
  • 同居動物と適切な距離を保てているか

また、1日の大半を寝て過ごす猫でも、適度に遊べる時間がないとストレスがたまってしまいます。留守番中もひとりで遊べるよう、安全なおもちゃを用意してあげましょう。

飼い主さんとのコミュニケ―ションも非常に大切です。猫の「嬉しい」「楽しい」といった感情は、ストレスを軽減させます。一緒に遊んだり、ブラッシングをしてあげたりして、コミュニケーションを深めましょう。

おしっこトラブルは愛猫からのサイン!

おしっこトラブルは愛猫からのサイン!
猫のおしっこトラブルは、環境や年齢、ストレス、病気が原因で起こります。

お漏らしが多い場合は、トイレが気に入らないことや、老化による身体機能の衰えが主な原因として考えられます。愛猫が気持ち良く排泄できるよう、トイレ環境を見直しましょう。

トイレの回数が増えたり、おしっこの色がいつもと違っていたり、排尿時に痛がったりする場合は、泌尿器系の疾患が疑われます。病気を予防するためにはバランスの取れた食事や積極的な水分摂取を心がけてください。

おしっこトラブルが多い猫にとって、トイレは健康のバロメーターです。日ごろからトイレの様子をこまめにチェックし、少しでも異常を感じたら動物病院を受診しましょう。

本記事を参考におしっこトラブルを予防し、愛猫の健やかな毎日を支えてあげてくださいね。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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