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【獣医師監修】犬の肉球ケア方法!カサカサ対策と正しい保湿手順を解説

【獣医師監修】犬の肉球ケア方法!カサカサ対策と正しい保湿手順を解説

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犬の足裏にある、ぷにぷにとした可愛らしい肉球。つい触りたくなってしまう魅力的なパーツですが、実は愛犬の健康な暮らしを支える、非常に重要な役割を担っています。しかし、肉球は常に地面に接しているため、ダメージを受けやすく、乾燥やひび割れなどのトラブルが起こりやすい部分でもあります。

愛犬がいつまでも元気に歩き回れるように、飼い主さんが肉球の役割と正しいケア方法を理解しておくことが大切です。この記事では、犬の肉球がカサカサになる原因から、今日から始められる具体的なケアの手順、そして動物病院へ行くべき症状の見極め方まで、詳しく解説していきます。

犬の肉球が持つ大切な役割とは?

犬の肉球
犬の肉球は、単なる「足の裏」ではありません。歩く、走る、止まる、体温を調節するなど、犬が生きていく上で欠かせない多くの機能を備えています。健康な肉球は、適度な弾力と、しっとりとした潤いを保っているのが特徴です。まずは、そんな肉球が持つ大切な役割について見ていきましょう。

衝撃を吸収するクッション機能

犬の肉球の内部は、厚い脂肪と弾力性のある組織で満たされています。この構造が優れたクッションとなり、ジャンプした際の着地や、硬い地面を歩くときの衝撃から、足や関節、骨を守っています。このクッション機能のおかげで、犬は様々な場所を元気に走り回ることができるのです。

体温を調節するための汗腺機能

犬は人間のように全身で汗をかくことができず、主に舌を出して呼吸することで体温を調節します。しかし、実は犬の体で汗をかくための汗腺(エクリン腺)があるのは肉球と鼻先だけです。暑い日や運動後には、肉球から汗をかくことで、わずかながら体温を下げる役割を果たしています。

滑りを防ぐブレーキ機能

肉球の表面には、円錐状の突起が密集しており、この構造がスパイクのような役割を果たして地面をしっかりと掴みます。これにより、走っている時に急に止まったり、方向転換したりする際のブレーキとなり、滑りを防いでいます。フローリングなどの滑りやすい床の上で、この機能は特に重要になります。

肉球の主な機能 役割の概要
クッション機能 内部の脂肪組織が衝撃を吸収し、足や関節を守る
汗腺機能 汗をかくことで体温調節を助ける
ブレーキ機能 表面の突起が地面を掴み、滑り止めの役割を果たす

犬の肉球がカサカサになる主な原因

お手をする犬
愛犬の肉球を触ったとき、「なんだかカサカサしている」「硬くなっている」と感じたことはありませんか。肉球の乾燥は、様々な要因によって引き起こされます。ここでは、肉球が乾燥してしまう主な原因について解説します。

空気の乾燥や室内の暖房

人間と同じように、犬の皮膚も空気が乾燥すると水分が奪われ、カサカサになりやすくなります。特に冬場は、空気が乾燥している上に、室内で暖房器具を使用することで、さらに乾燥が進みがちです。常に快適な環境で過ごしている室内犬ほど、乾燥の影響を受けやすいと言えるでしょう。

アスファルトなど地面からの刺激

毎日のお散歩も、肉球にとっては過酷な環境になることがあります。夏場の焼けたアスファルトは肉球をやけどさせる危険があり、冬の凍った道は冷たさや融雪剤でダメージを受けることがあります。また、砂利道やデコボコした地面を歩くことによる摩擦も、肉球が硬くなる原因の一つです。

Tips
散歩時に靴下を履かせることで、肉球を守ることができます。ただし、歩きづらくストレスを感じる犬もいるため、様子を見ながら試してみるのが良いでしょう。また関節や腰の病気を抱えている場合は、慣れない靴下を履くことで足の関節や腰に負担がかかる恐れがありますので、事前にかかりつけの獣医師に相談してみてください。

加齢による角質化の進行

犬も年齢を重ねると、新陳代謝が衰え、皮膚の水分を保つ力が低下していきます。これにより、肉球の表面にある角質層が厚く、硬くなる「角質化」が進みます。シニア犬の肉球が白っぽく、硬い手触りになるのは、この加齢による自然な変化が一因です。

アレルギーなどの皮膚疾患

特定の食べ物や、ハウスダストなどに対するアレルギー反応が、肉球のトラブルとして現れることもあります。アレルギー性の皮膚炎になると、肉球が赤くなったり、過剰に舐めたりすることで、乾燥や炎症が悪化する場合があります。もし、しきりに足を舐めている場合は、他の病気が隠れている可能性も考えられます。

原因 具体的な内容
環境による乾燥 冬の乾燥した空気や、エアコンなどの暖房
地面からの刺激 夏の熱いアスファルト、冬の冷たい地面、砂利道
加齢 新陳代謝の低下による角質化、水分保持能力の低下
病気 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などの疾患

理想のぷにぷに肉球とは?健康状態をセルフチェック!

犬の肉球
愛犬の肉球は、健康のバロメーターにもなります。普段から触れ合って、その子本来の健康な状態を知っておくことが、異変の早期発見につながります。ここでは、理想的な健康な肉球の状態について、4つのチェックポイントをご紹介します。

チェックポイント1:適度な弾力としっとり感

健康な肉球の最大の特徴は、触ったときの「弾力」と「潤い」です。指で優しく押したときに、硬すぎず柔らかすぎず、ぷにぷにした適度な弾力で押し返してくるのが理想です。この弾力性が、歩いたり走ったりするときの衝撃を吸収する大切なクッションの役割を担っています。また、表面はカサカサしておらず、自然にしっとりと潤っている状態が健康の証です。犬の体で汗をかける場所である肉球は、適度な湿り気を保つことで滑り止めの効果も高めています。

チェックポイント2:愛犬本来の色とツヤ

肉球の色は、ピンク、黒、まだら模様など、犬種やその子自身の個性によって様々です。大切なのは、他の犬と比べるのではなく、「愛犬のいつもの肉球の色」を飼い主さんがきちんと把握しておくことです。子犬の頃はきれいなピンク色でも、成長とともに色が濃くなることもあります。普段の色と比べて、急に白っぽくなっていたり、全体的に赤みを帯びていたりといった変化が見られた場合は、何らかの体調不良のサインかもしれません。

チェックポイント3:ひび割れや傷のない表面

健康な肉球の表面はなめらかで、ひび割れや切り傷などがありません。乾燥が進んでしまうと、表面が硬くなってひび割れてしまうことがあります。ただし、完全にツルツルしているわけではなく、よく見ると少しザラザラしているのが正常な状態です。この細かな凹凸が地面をしっかりと掴むスパイクの役割を果たし、滑るのを防いでいます。

チェックポイント4:いつもの匂い

犬の肉球からは、ポップコーンや枝豆のような、少し香ばしい匂いがすることがあります。これは皮膚にいる常在菌によるもので、多くの飼い主さんが感じるとても正常な匂いですから心配いりません。しかし、いつもと違う強い腐敗臭や、膿んだような嫌な匂いがする場合は、傷口が化膿していたり、何らかの皮膚トラブルを抱えていたりする可能性があります。そのような異変を感じたら、一度動物病院で相談してみると安心です。

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放置は危険?肉球トラブルのリスク

犬の肉球
「少しカサカサしているだけ」と、肉球の乾燥を軽く考えてはいけません。ケアをせずに放置してしまうと、愛犬の健康を脅かす様々なリスクにつながる可能性があります。ここでは、肉球トラブルが引き起こす具体的な危険性について解説します。

滑りやすく関節に負担がかかる

乾燥して硬くなった肉球は、本来の弾力としなやかさを失い、滑り止めの機能が低下してしまいます。特に室内飼いの犬が多い現代では、滑りやすいフローリングの床で転倒しやすくなり、捻挫や骨折などのケガにつながる危険があります。また、踏ん張りが効かずに足が滑る状態が続くと、膝や股関節に慢性的な負担がかかり、関節炎や椎間板ヘルニアといった病気を引き起こすリスクも高まります。

ひび割れからの出血や細菌感染

肉球の乾燥がさらに進行すると、表面に深い亀裂が入る「ひび割れ」が起こります。ひび割れが悪化すると、そこから出血したり、歩くたびに痛みを感じるようになったりします。さらに、傷口から細菌が侵入すると、炎症を起こして化膿してしまうこともあります。こうなると治療が必要になり、愛犬につらい思いをさせてしまうことになります。

トラブルの状態 起こりうるリスク
乾燥・硬化 滑りやすくなり、転倒や関節疾患(ヘルニア等)の原因になる
ひび割れ 出血や痛みを伴い、傷口からの細菌感染で炎症を起こす危険

今日から始める犬の肉球ケアの正しい手順

犬の肉球をケアしている

愛犬の肉球トラブルを防ぐためには、日々のこまめなケアが何よりも大切です。特別な道具は必要なく、お散歩の後の習慣として取り入れることで、健康な肉球を保つことができます。ここでは、自宅でできる正しいケアの4つのステップをご紹介します。

手順1:散歩後は優しく汚れを落とす

お散歩から帰ったら、まずは肉球についた汚れをきれいに落としてあげましょう。硬く絞った濡れタオルや、ペット用のウェットティッシュで優しく拭き取るのが基本です。汚れがひどい場合は、ぬるま湯で洗い流しても構いませんが、シャンプーを毎回使うのは、かえって乾燥を招くので避けましょう。

 

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手順2:指の間までしっかり乾かす

肉球を清潔にした後、濡れたままにしておくのは禁物です。指の間に湿気が残っていると、雑菌が繁殖しやすく、皮膚炎(指間炎)の原因になります。乾いたタオルを使い、指と指の間まで一本ずつ丁寧に、水分を完全に拭き取ってください。ドライヤーを使う場合は、火傷しないように必ず冷風にし、遠くから優しく風を当てましょう。

手順3:保湿クリームで潤いを与える

肉球が完全に乾いたら、保湿ケアの仕上げです。犬用の肉球クリームを飼い主さんの指先に少量取り、肉球全体に優しく塗り込みます。このとき、指圧するように軽くマッサージをしてあげると、血行が促進されてより効果的です。愛犬がリラックスできるように、優しく声をかけながら行いましょう。

手順4:足裏の毛を定期的にカット

肉球の間の毛が長く伸びていると、肉球が毛で覆われてしまい、滑り止めの役割を果たせなくなります。フローリングなどで滑る原因になるため、定期的にカットしてあげることが大切です。バリカンや、刃先が丸くなったペット用のハサミを使い、肉球にかかる毛を短く刈り込みましょう。ケガをさせないよう、慣れていない場合はトリミングサロンや動物病院にお願いするのが安心です。

ケアの手順 ポイント
1. 汚れを落とす 濡れタオルなどで優しく拭く。シャンプーの使いすぎは避ける。
2. しっかり乾かす 指の間まで丁寧に拭き取り、雑菌の繁殖を防ぐ。
3. 保湿する 専用クリームを使い、マッサージするように塗り込む。
4. 毛をカットする 肉球にかかる毛を定期的に処理し、滑りを防ぐ。

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犬の肉球保湿クリームの選び方

犬の肉球

愛犬の肉球ケアに欠かせない保湿クリームですが、様々な商品があってどれを選べば良いか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。犬は自分の足を舐める習性があるため、クリーム選びでは「安全性」が最も重要なポイントになります。ここでは、安心して使えるクリームの選び方をご紹介します。

犬が舐めても安全な成分を選ぶ

肉球に塗ったクリームは、犬が気にして舐め取ってしまうことがよくあります。そのため、万が一口に入っても体に害のない、安全な成分で作られている製品を選びましょう。ミツロウやシアバター、ホホバオイルといった天然由来の保湿成分を主成分としたものがおすすめです。人間用のクリームは、犬にとって有害な成分が含まれている可能性があるため、絶対に使用しないでください。

ベタつきが少ないタイプを選ぶ

クリームを塗った後のベタつきが強いと、犬が不快に感じて歩きたがらなくなったり、床やカーペットが汚れてしまったりすることがあります。塗った後すぐにサラッとするような、ベタつきの少ないタイプのクリームを選ぶと、犬も飼い主さんもストレスなくケアを続けることができます。浸透性の高いジェルタイプや、スプレータイプの製品もおすすめです。

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こんな症状は病院へ行くサイン

犬の健診をする医者

日々のケアを行っていても、肉球のトラブルが改善しない場合や、急な異変が見られることもあります。自己判断で様子を見続けることで、症状が悪化してしまうケースも少なくありません。以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

ひび割れから出血している

肉球のひび割れが深くなり、出血が見られる場合は、家庭でのケアだけでは対応が困難です。傷口から細菌が感染して化膿するリスクが高いため、すぐに動物病院で適切な処置をしてもらう必要があります。獣医師の診察を受け、消毒や必要に応じた治療を受けましょう。

足をかばって歩いている

愛犬が特定の足を引きずったり、地面に着けるのを嫌がったりするなど、歩き方に異変がある場合は、肉球に痛みを感じているサインです。ひび割れだけでなく、異物が刺さっている、爪が折れている、あるいは関節を痛めているなど、様々な原因が考えられます。痛みの原因を特定するためにも、獣医師に診てもらいましょう。

赤く腫れて熱を持っている

肉球や指の間が赤く腫れていたり、触ると熱っぽく感じたりする場合は、細菌感染による炎症や、アレルギーなどが強く疑われます。痒みや痛みを伴うことが多く、犬がしきりに舐め続けることで、さらに症状が悪化する悪循環に陥りがちです。早めに動物病院を受診し、原因に応じた治療を開始することが大切です。

受診を検討すべき症状 考えられる原因
ひび割れからの出血 重度の乾燥、怪我、感染症のリスク
足をかばって歩く 痛み、異物の混入、爪や関節の異常
赤み、腫れ、熱感 細菌感染、アレルギー、炎症

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まとめ

外で走る犬

犬の肉球は、愛犬が毎日を快適に、そして安全に過ごすために不可欠な大切な体の一部です。日々の暮らしの中に潜む乾燥や刺激から守るためには、お散歩の後の少しの時間を使った優しいケアが効果的です。愛犬とのスキンシップも兼ねて、肉球の状態を毎日チェックする習慣をつけましょう。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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