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モモンガの飼い方|ムササビとの違いと飼うための基礎知識を解説

モモンガの飼い方|ムササビとの違いと飼うための基礎知識を解説

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この記事では、ムササビとモモンガの違いや、モモンガをペットとして飼うときのポイントについて詳しく解説します。

ムササビとモモンガはどちらも小さくて可愛らしく、似た雰囲気がありますが、実はまったく違う特徴があります。ペットとして飼育できるのは、世界中に生息しているモモンガのみです。

飼うための基礎知識や注意点を把握して、モモンガとの共同生活をスムーズにスタートさせましょう。

ムササビとモモンガの違い

ムササビとモモンガの違い
ムササビとモモンガは、どちらもネズミ科リス亜科に属し、見た目が似ているため混同されがちです。しかし、大きさや生態、滑空距離、鳴き声など、さまざまな面で違いがあります。

その1:見た目の違い

ムササビとモモンガの明らかな違いは、その大きさです。

ムササビは体長が25〜50cm、尾長を含めると70〜80cmに達することがあります。空中を滑空している姿がふすまに似ていることから、別名「野ふすま」と呼ばれています。

一方、モモンガは体長が12〜15cm、尻尾を含めても22〜30cmと小さめで、ハンカチ程度の大きさです。

また、ムササビとモモンガは共に夜行性の動物で、目が大きく夜間活動に適しています。

その2:生態の違い

ムササビは一般的に単独行動を好みますが、モモンガは集団行動を好む傾向があります

また、モモンガは日本全国や世界に広く分布していますが、ムササビは日本のみに生息する固有種です。本州、四国、九州に生息しています。

どちらも夜行性ですが、ムササビは主に木の上で生活し、木の間を滑空しながら移動します。一方、モモンガは地上でも活動し、木の間を滑空することはめったにありません。

その3:滑空距離の違い

ムササビとモモンガは、体の脇に発達した「飛膜」を持っており、この飛膜を使って木々を飛び移る滑空飛行をしています。

この滑空距離も大きく異なり、ムササビは一度に約100m滑空できますが、モモンガは一度に約30mしか滑空できません。

また、飛膜にも違いがあります。ムササビの飛膜は、前肢と後肢、後肢と尻尾の間まで広く発達しているのが特徴です。一方、モモンガの飛膜は前肢と後肢の間までしかありません。

その4:鳴き声の違い

ムササビの鳴き声は「グルルルル」「キュルルル」と機械音に近く、力強いという特徴があります。

一方、モモンガの鳴き声は高音です。代表的な種類であるフクロモモンガは、怒っているときには「カチカチ」「ギーギー」、ご機嫌なときには「プシュプシュ」「クック」といった鳴き声を出します。

また、ムササビの鳴き声は主に交尾期や縄張りを主張するときに聞かれますが、モモンガの鳴き声は警戒やコミュニケーションのために使われます。

モモンガはペットとして飼育できる

モモンガはペットとして飼育できる
愛らしい外見のムササビやモモンガを飼いたいと考える方も多いでしょう。

実は、モモンガはペットとして飼育することができますが、ムササビは飼育できません

日本のムササビは飼えない

日本では鳥獣保護法により、特別な許可なしにはムササビを飼うことができません。鳥獣保護法とは、捕獲・飼育の規制や、生息環境の保護・個体数の調整・狩猟に関する制度などを定めたものです。

また、ムササビは野生の習性を強く持っているため、飼育下での生活への適応は難しいとされています。ムササビの大きさや生態を考えても、一般的な家庭で飼うことは現実的ではありません。

モモンガは飼える

一方、モモンガはペットとして飼うことができます。日本で販売されている有名な種類は、フクロモモンガとアメリカモモンガです。

フクロモモンガは大型のペットショップやホームセンターのペットコーナーで販売されており、愛らしい外見や人馴れすることから人気があります。

また、ムササビのような凶暴性はなく、小型で飼いやすいこともペットとしても適している理由です。果実や昆虫を食べるため、飼育下でも自然の食事を容易に再現できるでしょう。

一方、アメリカモモンガは臭腺(しゅうせん)がないため、フクロモモンガよりもにおいが少なく、体長も13〜15cmとやや小ぶりです。

また、フクロモモンガは臆病で繊細な性格ですが、アメリカモモンガは超音波でコミュニケーションをとるなど知能が高いことが特徴です。そのため、成長してからでも信頼関係を築ければ人間に懐くといわれています。

なお、日本にのみ生息しているエゾモモンガやニホンモモンガなどは、捕獲して飼うことが禁止されています。ペットショップでも販売されていません。

 

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モモンガを飼う前の準備

モモンガを飼う前の準備
モモンガを飼う前に必要となる準備について解説します。

とくに、フクロモモンガは神経質な性格で飼育が難しいとされているため、適切な飼育環境を整えて準備をしておきましょう。

準備その1:入手方法

モモンガは、ペットショップやブリーダーから購入できます

ただし、2005年に動物取扱業者の従業員がレプトスピラ症に罹った事例があり、アメリカモモンガは輸入が規制されています。そのため、ペットショップで見かけるモモンガのほとんどがフクロモモンガです。

なお、ブリーダーからモモンガを購入する際には、健康状態を確認することが重要です。活発に動き回って食欲があり、目や鼻が清潔であることを確認しましょう。

準備その2:用意するもの

モモンガを飼うために必要なものは以下のとおりです。

ケージ モモンガは活発な動物なので、広いスペースが必要です。また、高さがあるケージが適しています。ケージは通気性が良く、掃除しやすい素材のものを選びましょう。
保温器具 モモンガは熱帯や亜熱帯に住む生き物です。温度計もあわせて購入し、適切な飼育環境となるように温度調整をしてください。
エサ モモンガの主食は果物や昆虫ですが、専用フードが市販されています。エサ入れはひっくり返さないような重みがあるといいでしょう。
遊び道具 モモンガは好奇心旺盛で、遊び道具を用意すると喜びます。ハンモックやトンネル、上り木など木製のおもちゃがおすすめです。
水入れ ケージに取り付けられるタイプの水入れがいいでしょう。水道水で問題ありませんが、水入れは清潔に保ち、新鮮な水を与えてください。
ペットシーツ ケージの床材としてペットシーツを敷きましょう。尿を吸収し、閉じ込める役割があります。木質ペレットや新聞紙などでも代用可能です。

準備その3:動物病院を探す

ペットとして飼えるとはいえ、モモンガはまだメジャーとはいえない動物です。

近くに動物病院があったとしても、モモンガを診察できるとは限りません。そのため、モモンガの診察を行っている動物病院を事前に探しておきましょう。

また、定期的な健康診断を受けることで、モモンガの健康状態を維持できます。

モモンガを飼うときのポイント

モモンガを飼うときのポイント
エサやりの方法や室温の管理など、モモンガを飼う際に押さえておきたいポイントをご紹介します。

ポイントその1:エサやり

モモンガは雑食で、果物や昆虫、鳥のたまご、小型の哺乳類などを食べます。しかし、基本的には栄養バランスのとれたモモンガ専用のフードを与えるのがいいでしょう。

エサやりの頻度は1日1回です。ときどき茹でた鶏のささみや果物などを取り入れ、食事のバリエーションを持たせることでモモンガの食欲を刺激できます。

なお、カフェインの入っているもの、玉ねぎやニンニク類、チーズ、チョコレート、揚げ物、アボカドなどは与えないようにしてください。

ポイントその2:室温の調整

モモンガは熱帯の森林に生息しているため寒さが苦手です。24〜28℃の室温を好みます

急激に暑くなると熱中症になり、逆に寒くなると低体温症になるおそれがあるため、エアコンやヒーターなどを利用して適温を保つことが重要です。

ポイントその3:掃除やお手入れ

ペットシーツは1日1回取り替えましょう。ケージは1か月に一度の掃除をおすすめします。ケージを常に清潔に保つことでモモンガのストレス対策となるほか、部屋のにおいも緩和されます。

また、モモンガ自体のお手入れは特に必要ありませんが、定期的に健康状態をチェックすることが大切です。とくに、爪が伸びすぎていないか、皮膚に異常がないか、目や鼻が清潔であるかなどを確認しましょう。

ポイントその4:スキンシップ

モモンガは人懐っこい性格をしていますが、迎え入れてから最初の2〜3日は警戒心が強いかもしれません。まずは環境に慣れさせることを優先し、時間をかけてなつかせましょう。

スキンシップは、服のポケットに入れたり、手のひらに乗せたりして飼い主のにおいを覚えさせることから始めます。飼い主のにおいに対して安心できるようになれば、ケージに手を入れても怖がらなくなるでしょう。

モモンガを飼うときの注意点

モモンガを飼うときの注意点
モモンガは非常にデリケートな動物です。ペットとして迎え入れる際は、以下の注意点を把握しておきましょう。

注意点その1:ストレス

モモンガは人馴れしやすいといわれていますが、犬や猫のように会った瞬間から打ち解けられるほどの社交性はありません。基本的には、繊細でストレスを感じやすい動物です。

そのため、ケージの近くで大きな音を出したり、強い光を浴びせたりすることは避けてください。また、大きな振動は強いストレスとなり、病気につながるおそれがあります。

まずは、時間をかけて新しい環境に慣れさせることを重視しましょう。新しいケージに入れた直後は、モモンガが落ち着くまで静かに待つことが大切です。

注意点その2:日光浴が必要

夜行性の動物であるモモンガに、日光浴は不要と思われるかもしれません。しかし、適度な紫外線を浴びせることで、ビタミンDを生成して骨を健康に保つことができます。

ただし、直射日光には弱いため注意してください。日光浴をする際は、カーテン越しに光が差し込む場所に置くか、ケージの中に日陰を作ってあげましょう。

注意点その3:トイレのしつけはできない

モモンガは、一定の場所で排泄する習慣がないため、トイレの場所を覚えさせることはできません

また、モモンガは自分のテリトリーを主張する習性があり、強いにおいを発することがあります。そのため、ケージの掃除をこまめに行い、においが出ないように注意してください。

注意点その4:室内の環境

モモンガをケージの外に出して遊ばせる場合は、事故の原因となるものがないかを確認しましょう。たとえば、窓やドアを開けたままにしておくと、モモンガが外へ脱走したり、テレビや洗濯機、家具などの隙間に落下したりするおそれがあります。

また、家具の隙間や電気コードなど、モモンガが入り込んだり噛んだりする危険な場所も避けてください。モモンガは体が小さいため、ケージから出すときは目を離さないようにすることが大切です。

モモンガは時間をかけてなつかせよう

モモンガは時間をかけてなつかせよう
モモンガは人懐っこい性格をしていますが、最初は警戒心が強いため、時間をかけてなつかせることが大切です。

モモンガの特性や注意点を理解し、適切な環境を提供することで、モモンガとの共同生活がより充実したものとなるでしょう。本記事を参考に、ぜひモモンガをペットとして迎え入れてみてください。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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