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ヘラクレスオオカブトの育て方|正しい飼い方と必要なものを紹介

ヘラクレスオオカブトの育て方|正しい飼い方と必要なものを紹介

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カブトムシの王様と呼ばれ、大人にも子どもにも人気の高い「ヘラクレスオオカブト」。自宅にお迎えしてみたいけれど、うまく育てられるかわからずためらっている方もいるのではないでしょうか。

飼育が難しそうなイメージのあるヘラクレスオオカブトですが、ポイントを押さえれば初心者の方でも元気に育てられます。本記事では、ヘラクレスオオカブトの基本情報や育て方のコツ、飼育に必要なものについて詳しく解説します。

ヘラクレスオオカブトの飼育は難しい?

ヘラクレスオオカブトの飼育は難しい?

日本のカブトムシは飼育できても、外来種であるヘラクレスオオカブトを飼うのはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。実は、育て方のポイントを押さえておけば、ヘラクレスオオカブトの飼育はそれほど難しくありません。むしろ、外国のカブトムシのなかでは、比較的飼育しやすいといわれています。

のちほど詳しく解説しますが、ヘラクレスオオカブトの飼育でもっとも重要なのは飼育温度の管理です。適切な温度を維持して過ごしやすい環境を整えれば、自宅で順調にヘラクレスオオカブトを育てていけるでしょう。

ヘラクレスオオカブトの飼育に役立つ基本情報

ヘラクレスオオカブトの飼育に役立つ基本情報

ヘラクレスオオカブトを上手に育てるには、まず基本的な情報を理解しておくことが大切です。ヘラクレスオオカブトの特徴や生息地、寿命についてみていきましょう

魅力と特徴

ヘラクレスオオカブトは甲虫類の中でもっとも大きな種類で、長く発達した胸角と迫力のあるボディ、そして黄褐色の前翅が特徴です。オスの個体は全長150mmを超える(最大181mm)サイズで、日本のカブトムシと比較しても規格外の迫力が人気の理由となっています。

生息地

ヘラクレスオオカブトには13種類が存在し、主に中央アメリカから南アメリカの熱帯雲霧林で見られます。基本的に、標高1,000mから2,000mの高山地帯が生息地です。ただし、野生としてではなく飼うのであれば、日本でも十分に可能です。

一般的によく知られている種類はヘラクレスヘラクレス(通称ヘラヘラ)で、比較的簡単に入手できます。主にグアドループ島やドミニカ島が生息地です。

また「ヘラクレス・リッキー」はベネズエラ・コロンビア・エクアドルなど、「ヘラクレス・オキシデンタリス」は、コロンビア・エクアドル・パナマなどに生息しています。

ヘラクレスオオカブトの寿命

日本のカブトムシの場合、成虫の平均寿命は1〜3か月ですが、ヘラクレスオオカブトは成虫となったあとでも1年前後の寿命があります。飼育環境にもある程度左右されますが、1年半生きる個体もいます。

繁殖のために交尾を何度もさせると、体力を消耗して短命になることがあるため注意が必要です。できるだけ長生きさせたいのであれば、交尾を避けるか、回数が少なくなるよう調整しましょう。

ヘラクレスオオカブトの飼育に必要なもの

ヘラクレスオオカブトの飼育に必要なもの

ヘラクレスオオカブトの飼育に必要なものは以下のとおりです。

  1. 飼育ケース
  2. 発酵マット
  3. 転倒防止材
  4. 昆虫ゼリー
  5. 温度計

それぞれのアイテムの特徴や選び方のポイントを解説します。

1.飼育ケース

ヘラクレスオオカブトの飼育ケースは、基本的に成虫サイズに合わせて選ぶのがおすすめです。成虫がケース内をストレスなく動き回れる大きさが必要で、オスの場合は奥行き20cm、幅30cm、高さ10~15cm程度が目安です。メスの場合は、奥行き10cm、幅20cm、高さ10cm程度でも十分でしょう。

また、ヘラクレスオオカブトを快適に飼育していくために、可能であればコバエ対策が施された飼育ケースを準備してください。コバエ除けのためのディフェンスシートを活用するのもいいでしょう。

2.発酵マット

ヘラクレスオオカブトを幼虫から健康的に、できるだけ大きく育てるために、発酵マットも用意しましょう。マットには無発酵タイプもありますが、発酵マットのほうが栄養価が高く幼虫が大きく育つためおすすめです。

発酵マットは黒色で「完熟マット」と記載されていることもあります。無発酵マットは「無添加マット」や「埋め込みマット」とも呼ばれます。

3.転倒防止材

飼育ケース内には転倒防止材も設置してください。転倒防止材がないと、ヘラクレスオオカブトが転倒した際、起き上がれずに体力を不必要に消耗します。最悪の場合、衰弱死してしまいかねません。

木や枝を飼育ケース内に転倒防止材としていくつか設置しておけば、転倒しても簡単に起き上がれます。

4.エサ

4.エサ

エサは昆虫ゼリーが基本ですが、バナナやリンゴなどの果物も与えられます。ただし、スイカのような水分を多く含む果物や野菜は、カブトムシが下痢をして寿命を縮めてしまうおそれがあるため避けましょう。

ヘラクレスオオカブトは、羽化したあと1か月半から2か月半ほどでエサを食べ始めます。エサを食べるようになったら、常にエサを切らさないように管理しましょう。

5.温度計

6.温度計

ヘラクレスオオカブトの飼育では温度管理が欠かせません。適正な飼育温度は20~25℃です。できるだけ長生きさせるためにも、順調に繁殖させるためにも温度管理は重要なため、温度計も事前に準備しておきましょう。

ヘラクレスオオカブトの成長サイクルと育て方

ヘラクレスオオカブトの成長サイクルと育て方

ヘラクレスオオカブトを飼育する際は、成長サイクルに合わせた管理やお手入れが重要です。以下4つの成長サイクルごとに、特徴や期間、育て方のポイントを紹介します。

  1. 孵化
  2. 幼虫
  3. さなぎ・羽化
  4. 成虫

1.孵化

ヘラクレスオオカブトは米粒程度の卵から孵化します。メスは一晩に数個の卵を産みながら、数か月かけて産卵をおこなうのが特徴です。

米粒のような卵が徐々に球体へと変化していき、産卵から3週間〜4週間程度で孵化してきます。

2.幼虫

孵化の約1か月後に、ヘラクレスオオカブトの幼虫は脱皮をおこない、2令幼虫となります。大きさはまだ10g前後のため、プリンカップのような小さめの容器でも飼育可能です。孵化後3〜6か月経つと、再び脱皮をして3令幼虫となり、成長も早くなります。

幼虫時はマットがエサになるため、栄養価の高い醗酵マットが必要です。3令幼虫ではマットを食べる量もかなり増えてきます。幼虫の期間に大きく成長させることで、ヘラクレスオオカブトは大きな成虫となるため、幼虫期の育て方はとても重要です

孵化から6〜9か月ほど経過した3令中期では、幼虫の体重は50g前後になります。このタイミングで、成虫のために用意している大きな飼育ケースに移すといいでしょう。

孵化から9〜12か月ほど経つと、3令後期となり個体によっては100gを超えます。幼虫の腹筋運動が激しくなり、体色も黄ばみがかってくると、さなぎになる準備の段階に入っていることの表れです。

マット交換は2〜3か月に一度を目安におこないましょう。不必要なストレスを与えないよう、あまり頻繁には交換しないでください。ただし、コバエが湧いていたり、糞がたまっていたりしたら早めに交換しましょう。

3.さなぎ・羽化

ヘラクレスオオカブトはオスの場合1年から2年、メスで10か月から1年半程度で蛹室を作り、さなぎになります。この時期は、振動を与えないように注意しましょう。約1か月後にさなぎから成虫へと羽化します。

4.成虫

ヘラクレスオオカブトの成虫は、羽化した後も1か月前後は蛹室の中にとどまり休眠します。その後、活動を開始したら、昆虫ゼリーなどのエサを切らさないように注意しながら飼育をしていきましょう。

ヘラクレスオオカブトの正しい飼い方

ここからは、ヘラクレスオオカブトを長生きさせるために欠かせない「温度管理」「湿度管理」「エサやり」のポイントについて解説します。

温度管理

冬眠をしないヘラクレスオオカブトにとってのベストな温度は20〜25℃で、長生きさせるためにはこの範囲内で管理する必要があります。そして、一日の温度変化をできるだけ少なく保つことが大切です(プラマイ0.5℃程度が理想)。

暑さや寒さが厳しくなる夏と冬も、エアコンなどを活用しながら一定の温度を保つように心がけましょう。

湿度管理

飼育環境には適度な湿度が必要です。事前にマットの水分調整をおこなってください。
ヘラクレスオオカブトを乾燥から守るには、昆虫ゼリーを切らさないことも重要です。

エサやり

成虫になったヘラクレスオオカブトは、エサをよく食べます。うっかりエサを切らしてしまわないように管理することが、長生きさせるポイントです。

昆虫ゼリーを与える際には、エサを置く場所にも注意が必要です。飼育ケースの隅や障害物の近くにある場合、大きな角が邪魔してエサを食べられなくなるおそれがあります。食べやすい場所を見極めてエサやりをおこないましょう。

また、ゼリーの容器が小さい場合もエサを食べづらくなるため、大きめの容器に移し替えるなどの工夫をしてください。

ヘラクレスオオカブトの飼育にチャレンジしよう!

ヘラクレスオオカブトの飼育にチャレンジしよう!

カブトムシの王様と呼ばれるヘラクレスオオカブトは、迫力ある角やボディサイズで、大人にも子供にも愛されています。

一見難しそうに思えるヘラクレスオオカブトの飼育ですが、育て方のポイントをしっかりと押さえれば、長い時間を一緒に過ごせるでしょう。本記事を参考にヘラクレスオオカブトをお迎えして、その魅力を存分に味わってみてください。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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