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ヤドカリの飼育方法|必要なものと手順を初心者向けに解説

ヤドカリの飼育方法|必要なものと手順を初心者向けに解説

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ヤドカリは、手のひらに乗るかわいいサイズ感や育てやすさから、近年ペットとしての人気が高まっています。しかし、砂浜や岩場などで見かけるイメージが強く、家庭での育て方を理解している方は少ないのではないでしょうか。

ヤドカリは、ポイントを押さえれば誰でも簡単に飼育できます。本記事では、ヤドカリの基礎知識や飼育に必要なアイテム、具体的な飼育方法を詳しく解説します。

ヤドカリの生態

ヤドカリの生態

生き物を飼育する際には、その生き物の特徴や生まれて育つ環境といった基本的な情報を知る必要があります。まずは、ヤドカリの特徴や生息地、平均寿命、主な種類について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ヤドカリを初めて飼育する方はもちろん、すでに飼育している方も改めてヤドカリについて理解を深めてみましょう。

特徴・生息地

エビやカニと同じく「甲殻類」であるヤドカリの最大の特徴は、背中に貝殻を背負っている点です。ヤドカリの漢字表記である「宿借」が表すように、背中の貝殻を宿として過ごしています。危険が迫った際には、家となる貝殻のなかに隠れたり、家ごと移動したりしながら生活します。

深い海底や干潟・岩場など、種類によってさまざまな場所に生息し、成長に合わせて貝殻のサイズを変更する「引っ越し」をおこないます。また、ヤドカリは主に夜間に活動する夜行性であり、植物や魚介、貝類などを食べて育つ雑食の生き物です。

寿命は10年程度

ヤドカリは、自然界のなかでは天敵に食べられて命を落とす危険があるものの、飼育する場合は室内で安全に暮らせるので、10年近く生きることができます。長くじっくりと飼育を楽しみたい方におすすめです。

一日でも長く健康に生きてもらうためには、適切な飼育環境を整えることが欠かせません。成長に合わせて定期的に環境を見直しながら、ヤドカリとの生活を楽しみましょう。

種類

ヤドカリには数百を超える種類がありますが、日本でよく見かけるのは大きく分けて、主に海中に生息する「ホンヤドカリ」と、海辺の砂浜などに生息する「オカヤドカリ」の2種類です。

このうち、ペットとして飼育されるのは、主にオカヤドカリです。
とくに、ムラサキオカヤドカリとナキオカヤドカリは流通量が多く、ペットショップやホームセンターで手に入るので、見かける機会が多いでしょう。

ヤドカリの飼育に必要なもの

ヤドカリの飼育に必要なもの

ここからは、実際にヤドカリを飼育するうえで必要なアイテムをご紹介します。一度揃えてしまえば、あとは長く使えるものばかりなので、最初にしっかりと準備して快適な飼育環境を整えてあげましょう。

また、自分のヤドカリに合うサイズやおすすめの商品など、どれを選べばいいのか迷ったときは、ショップの店員さんに質問してみてください。

水槽

飼育時に欠かせない「飼育容器」には、ヤドカリと比較して少し大きめの水槽を用意しましょう。ヤドカリが毎日動き回って運動したり、ストレスを発散したりできるように、30~45cmほどの横幅がある水槽が理想です。

また、アクリル製よりもガラス製を選ぶと、傷がつくトラブルを軽減できます。昆虫飼育の際に使用するプラケースでも代用できますが、大きさや強度が十分ではないことがあるので、なるべく水槽を使いましょう。

同一の水槽内で複数のヤドカリを飼育する際には、60cmの水槽の場合、2㎝程度の大きさのヤドカリを最大で4~5匹までが目安です。過密飼育になると、脱皮の失敗といった弊害を招くおそれがあります。

サンゴ砂

水槽の底には「底砂」と呼ばれる砂を敷き詰めます。ヤドカリ飼育では「サンゴ砂」を選ぶと、メンテナンスがしやすくなるためおすすめです。オカヤドカリは、砂の中にもぐって脱皮をしたり乾燥を防いだりするので、もぐりやすいように1〜2mmほどの粒のものを敷くといいでしょう。

また、なるべく深くもぐれるように、砂底は15cm以上の厚さになるように敷いてください。目安としては、ヤドカリの体長の約2~3倍です。数カ月間もぐり続けることもあるので、砂にもぐったあとは時折砂を湿らせて、適度な湿度を保ってあげましょう。

人工海水

主に水場を好むヤドカリには、飼育用の水が必要です。

とくに、ホンヤドカリの場合は、海水でなければ飼育ができません。食塩を利用した「塩水」での代用は不可です。天然の海水を用意することは難しいので、自宅で飼育する際には「人工海水の素」を利用しましょう。海水に含まれるミネラルが、外骨格を形成する役割を果たします。

オカヤドカリの場合は海水は必須ではありませんが、用意したほうが活発に動きます。

隠れ家

流木や岩、サンゴ、海藻類といった細かな「海のもの」も、ヤドカリの生活にはとても重要です。ヤドカリは臆病な性格をしており、ストレスを感じたときや脱皮をするときには、身を隠す場所を必要とします。そのため、水槽の中に「シェルター」のような存在となるアイテムを設置してあげると、ヤドカリは毎日安心して過ごせるでしょう。

ホンヤドカリを飼育する際には、ライブロックと呼ばれる、風化したサンゴの骨格に生き物が付着して繁殖したブロックの設置もおすすめです。
ヤドカリに隠れ家の位置を動かされてレイアウトが定まらないときは、サンゴ用接着剤を使用して固定してみてください。また、設置した海藻類を食べられてしまう場合には、海藻類は使用せずにほかのアイテムを試してみましょう。

引っ越し用の貝殻

成長に合わせて貝殻を変える「引っ越し」のために、複数の貝殻を用意してあげることも大切です。適切なサイズや気に入った貝殻がなかった場合、ヤドカリは宿をなくして野宿することがあります。貝殻が合わない生活は成長を妨げるだけではなく、死んでしまうおそれもあるので、常に気にかけてあげましょう。

市販のものから自然のものまで、さまざまな形や大きさの貝殻を用意して、ヤドカリの「宿選び」を観察するのも楽しいですよ。

エアーポンプ・フィルター

水槽内の環境を適切に保つためには、エアーポンプやフィルターなどが役に立ちます。とくに、ホンヤドカリのように水中の酸素を必要とするヤドカリには、エアーポンプを使用して常に新鮮な酸素を届けてあげましょう。

また、水をろ過しながら酸素を送り込めるフィルターもあわせて使うと効果的です。2つの機能が一緒になった、便利なエアレーション付きのフィルターもあります。

ほかにも、フィルターはフンや食べ残しといった不要物を取り除く役割も果たします。水槽内の環境が保たれることで、水の交換や掃除の頻度を下げられるので、導入して損はありません。

エアーポンプやフィルターなどは、水槽とセットで売られている場合も多いです。

前述したとおり、ヤドカリは「雑食性」の生き物です。そのため、餌選びの選択肢は非常に豊富で、どれを選べばいいのか悩んでしまうでしょう。

魚介類や果物、野菜、海藻類などさまざまなものを食べるので、ヤドカリの好みや食べっぷりを観察しながら適切な餌を与えてみてください。

餌やりの頻度は、2日に1回少しずつ与える程度で構いません。ヤドカリの活動時間に合わせて夜間に餌を与え、食べ残しは傷む前に取り除きましょう。

また、市販の餌であればヤドカリ専用はもちろん、ザリカニ用のフードも好んで食べてくれます。食べ飽きることがないように、ぜひバリエーションを持たせて餌やりを楽しんでみてください。

オカヤドカリの飼い方

オカヤドカリの飼い方

ここではオカヤドカリの飼い方を解説します。ヤドカリを飼育するための水槽やグッズを準備したら、実際に生活しやすい適切な飼育環境を整えてあげましょう。

砂や貝殻の設置方法など、大事なポイントをひとつずつ解説していくので、これから飼育するヤドカリの大きさや数に合わせて整えてみてください。

大きめのフタ付き水槽に砂を敷く

水槽は、オカヤドカリが十分に動き回れる大きめのサイズで、フタがあるタイプを選びましょう。フタをしないまま飼育すると、脱走してしまうおそれがあります。

小さな個体であれば、30cmほどの水槽内で飼育が可能です。設置する場所に余裕があったり、大きな個体を複数飼育したりする場合は、60cmほどの水槽を選ぶと良いでしょう。

オカヤドカリは砂にもぐる習性を持つため、必ず底に砂を敷きます。適切な粒の大きさや湿度を保てるように考慮して、もぐったときに全身が隠れるほどの砂を用意することが大切です。

引っ越し用の貝殻と隠れ家を入れる

引っ越しの際に必要となる貝殻は、さまざまな形や大きさのものをなるべく豊富に用意してあげてください。とくに、複数のヤドカリを一緒に飼育する場合、貝殻を奪い合ってしまう可能性があるので、多めに用意することをおすすめします。

また、隠れ家となる流木や岩なども、ヤドカリの性格や数に合わせて、様子を見ながら設置しましょう。軽いものは動きやすくて水槽内のレイアウトが崩れやすいので、重たいものを選ぶか、接着剤を使用して固定させる必要があります。

ヤドカリが快適に歩いたり登ったりできるように、豊富なアイテムを揃えて水槽作りを楽しんでみてください。

人工海水と真水を用意する

オカヤドカリの飼育時には人工海水と真水の両方を用意します。2つの水入れに分けて汲んで、水槽の中に設置しましょう。

海水を作る際は、「人工海水の素」を使用してください。

また、飲み水や水浴び・お風呂のために使う水には清潔な真水を利用します。砂や食べ残しなどが入ってしまうことも多いので、水の汚れに気づいたらまめに交換してあげましょう。

ホンヤドカリの飼い方

ホンヤドカリの飼い方

続いて、ホンヤドカリの飼い方を解説します。ホンヤドカリは陸棲のオカヤドカリとは違って、海水が必要な水棲の生き物です。そのため、飼育するには水槽や海水などの準備が必要です。

水槽の立ち上げ

まずは水槽の中に砂を敷いて、貝殻や隠れ家をレイアウトします。配置は好みに合わせて行ってください。つぎに水槽に人工海水を入れて、エアーポンプとフィルター、ヒーターを設置します。

水槽の準備ができたら、ホンヤドカリを入れます。ホンヤドカリは同種同士で争わずに暮らすことができるため、同じ水槽内に複数匹入れることができます。

エサやり

エサやりの頻度は、毎日1回が目安です。市販のザリガニ・ヤドカリ用のエサを与えてください。また、水槽内に生えたコケも食べてくれることがあります。

Tips
ホンヤドカリは脱皮する生き物です。脱皮した殻は食べて栄養にする場合があるので、すぐに取り除かずに観察してみてください。脱皮直後のホンヤドカリはデリケートなので、触らないようにしましょう。

水換え

水換えの頻度は月に1回程度です。水槽内の海水を1/3程度捨て、水槽の掃除をしてから同じ量の海水を補充します。ヤドカリは水槽に入れたままで作業してください。

また、水替えのタイミングとは別に、水槽内の汚れやゴミは週に1回くらいの頻度で掃除しましょう。

Tips
ホンヤドカリは水棲なので、水槽から出すと乾燥して死んでしまいます。水槽から出すときは必ず濡れたタオルなどで包んでください。

貝殻の引っ越し

ホンヤドカリもオカヤドカリと同様に、貝殻を引っ越しすることがあります。引っ越し先の貝殻が小さすぎると体に合わなくて死んでしまうことがあるので、貝殻は今背負っているものより少し大きめのものを用意してください。

ヤドカリの生態を知って飼育を始めよう!

ヤドカリの生態を知って飼育を始めよう!

ヤドカリは、適切な飼育環境と自分の体に合う貝殻があれば、健康に長生きできる生き物です。引っ越しのために新しい貝殻を探す姿、隠れ家や砂の中にもぐって身をひそめる臆病な姿など、飼育を始めると多くの愛らしい光景を目にすることができるでしょう。

初心者でもお世話がしやすく、ペットとしての人気が高まっているヤドカリ。ぜひこの機会にヤドカリへの理解を深めて、飼育に挑戦してみてください。

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