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トウモロコシの栽培方法|プランターでの育て方を初心者向けに詳しく解説

トウモロコシの栽培方法|プランターでの育て方を初心者向けに詳しく解説

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夏に旬を迎える野菜のひとつとして人気のトウモロコシ。料理に加えて食感や甘みを楽しむだけではなく、茹でて丸かじりしてもおいしいのが魅力です。トウモロコシというと広大な畑で育てるイメージがありますが、品種を選べばプランターを使った家庭菜園も可能です。

今回は、プランターを使ったトウモロコシの栽培方法をご紹介します。トウモロコシ栽培のポイントは、大型で深めのプランターを選ぶこと、人工授粉で確実に実を付けさせることの2点。育て方の基礎やよくある失敗を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

トウモロコシの基本情報

皮が半分剥かれているトウモロコシがまな板の上に4本並べられている

サラダやシチュー、料理の付け合わせなど、食感と甘さが美味しいトウモロコシ。日本でトウモロコシといえば、甘みの強いスイートコーンですが、世界ではさまざまな品種が栽培されています。

本章では、トウモロコシの基本情報をご紹介します。特徴や品種のほか、種と苗の販売時期、収穫時期なども掲載しています。トウモロコシの栽培を始める際に、ぜひ参考にしてください。

科名 イネ科
属名 トウモロコシ属
和名 とうもろこし、玉蜀桼(たましょくきび)
英名 corn、mays
学名 Zea mays L.
別名 南蛮黍(なんばんきび)
原産地 メキシコ~南米北部
分類 一年草
販売時期(種、苗) (種)
1~6月、7~8月

(苗)
4月中旬~5月
収穫時期(一般地) 7月中旬~8月

(抑制栽培)
10月上旬〜11月上旬
※開花(受粉後)約20~25日で収穫

耐暑性 強い
耐寒性 弱い

主食として食べられるため、穀物に分類されるトウモロコシ。広大な畑に生えている背丈の高い大型のトウモロコシから、家庭菜園で育てられる小型の品種まで、多くの種類があります。日本で主に流通しているのは、甘みが強く未熟なままで食べられるスイートコーンです。

トウモロコシは高温の環境を好む、耐暑性のある植物です。寒さに弱く、一定の気温を下回ると枯れてしまいます。地域によって差はあるものの、春ごろに種をまき、夏が終わるまでに収穫するのがポイントです。

ほかの野菜と比べると栽培しやすいトウモロコシですが、プランターで育てる場合は、畑で育てるよりも難易度が上がります。ただし、日当たりが良い場所で肥料を切らせないように育てれば、プランターでもおいしいトウモロコシができるでしょう。とくに、採れたてのトウモロコシがもっとも甘く、家庭菜園では甘みの強い状態を楽しめます。

トウモロコシは基本的に1株につき1果とし、栄養が集中するように育てます。先端に付いた1本のみを収穫し、先端から下部の実はヤングコーンとして楽しみましょう。

主な品種

トウモロコシにはさまざまな品種があります。草丈の違いや、色の違い、生で食べられるかの違いなど、品種改良により多くの品種が生まれました。

トウモロコシは粒の性質によって大きく以下の4種類に分けられます。

  • スイートコーン(甘味種)…生食、料理用
  • フリントコーン(硬粒種)…加工食品(トルティーヤなど)、飼料用
  • ポップコーン(爆裂種)…ポップコーン用
  • デントコーン(馬歯種)…コーンスターチ、飼料用、バイオエタノール原料

家庭菜園では青果用のスイートコーンを選びましょう。スイートコーンの主な品種は以下のとおりです。

粒の色 特徴 主な品種
ゴールデンコーン(黄粒種)
  • 濃い黄色の見た目が特徴
  • そのまま茹でて食べる
  • ゴールドラッシュ
  • サニーショコラなど
シルバーコーン(白粒種)※別名:ホワイトコーン
  • 粒の色が白っぽい
  • 小粒で皮が柔らかい
  • 甘みが強く、サラダにするとおいしい
  • ピュアホワイト
  • 雪の妖精など
バイカラーコーン(バイカラー種)
  • 黄色と白色の粒が混じっている
  • 甘みと風味が強い
  • 甘々娘
  • アンサンブル

旬の時期

トウモロコシの旬は6〜9月です。旬の時期である夏に栽培されたトウモロコシは、もっとも甘みが強いのが特徴です。また、トウモロコシは鮮度が落ちやすく、収穫から時間が経つと糖分がデンプン質に変化して甘さがなくなっていきます。

そのため、トウモロコシには抑制栽培と呼ばれる栽培方法があります。抑制栽培とは旬から外れた遅い時期に収穫する方法で、旬の時期とは異なる風味の野菜を楽しめる点が特徴です。

また、1つの実に甘さを集中させるために若採りするヤングコーンは、5〜6月が旬にあたります。収穫したヤングコーンは芯まで柔らかく、シャキシャキとした食感があるため、サラダやパスタ、炒め物に入れるのがおすすめです。

トウモロコシ栽培で必要なもの

プランターに土を入れてる

トウモロコシ栽培に必要なものは以下のとおりです。

  • トウモロコシの種または苗
  • 大型のプランター(25リットル以上)
  • 野菜用培養土
  • 鉢底石と鉢底ネット
  • 肥料
  • スコップ
  • ジョウロ
  • 園芸ハサミ
  • マルチング材(バークチップなど)
  • 支柱(60〜100cm)
  • 防虫ネット

トウモロコシ栽培には、通常の家庭菜園で使用する道具のほか、支柱が必要です。また、大型で深さのあるプランターを用意しましょう。

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ここからは、プランターや苗の選び方、苗を複数購入する場合の注意点などを解説します。

プランターの選び方

根を深く張るトウモロコシに合わせて、プランターは大型のものを選びましょう。2株育てる場合は、幅65cm×奥行き25cm×深さ25cm程度のプランターを目安にしてください。

浅いプランターにトウモロコシを植えると根を張れず、成長を妨げてしまいます。十分なサイズで甘みのあるトウモロコシを収穫するためには、深さに余裕のあるプランターを使うことがポイントです。

苗の選び方

トウモロコシは種から育てても十分に栽培できますが、初心者の方は苗から育てる方法がおすすめです。苗はホームセンターで入手できます。傷みがなく、茎が太い元気な苗を購入しましょう。

また、トウモロコシは異なる品種を近くに植えると、キセニア現象が発生します。キセニア現象とは、異なる花粉が混ざり合うことで、風味が落ちてしまう現象です。

別々のプランターに植えた場合でも、近くに設置すると花粉が飛んでしまうため注意しましょう。複数の株を購入するときは、同一の品種を選んでください。

トウモロコシをプランターで栽培する方法

青空の下で未収穫のトウモロコシ

野菜のなかでも比較的簡単に育てられるトウモロコシですが、プランターで育てる場合は、肥料を与える頻度や人工授粉の必要性など、注意したいポイントがいくつかあります。

適切な栽培環境から収穫、収穫後の保存方法まで、プランターでトウモロコシを栽培する一連の流れを解説します。

栽培環境

トウモロコシの栽培環境としては、日当たりが良く、20〜30℃になる場所が適しています。屋外で育てるのがおすすめですが、気温が高すぎると受粉率が低くなるため注意が必要です。

また、寒さに弱いトウモロコシは、気温が10℃を下回ると枯れてしまいます。プランターで育てる場合は、環境に応じて移動させるといいでしょう。

植え付け方

トウモロコシの苗を植え付ける手順は以下のとおりです。

  1. プランターに鉢底ネットと鉢底石を入れる
  2. プランターの8分目を目安に野菜用培養土を入れる
  3. スコップで苗よりやや大きいサイズの穴を掘る
  4. 苗をポットからやさしく取り外し、根鉢を崩さずそのまま穴に植える
  5. 周囲の土を押さえる
  6. プランターの底から水が流れるまで、水をたっぷりと与える

苗を植え付けるときは、根を傷つけないように気をつけましょう。根が傷つくと、病気にかかったり枯れたりするリスクが高まります。とくにポットから取り外すときは、根がちぎれやすいため注意が必要です。2株植える際は、株間を30cmほどあけて植え付けてください。

水やりの仕方

水やりは土の表面が乾いたタイミングでおこないます。トウモロコシの花が開花する前後と、実をつけて熟すのを待つ期間は、水切れが起こりやすくなります。土の表面が乾いていないかをよく観察することが大切です。

ただし、こまめな水やりには注意しましょう。水を与えすぎると根が成長しにくくなるため、一度の水やりでプランターの底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのがポイントです。

肥料のやり方

肥料は植え付け後、2回以上を目安におこないましょう。肥料を切らせないように、たっぷりと与えるのがトウモロコシ栽培を成功させるポイントです。とくにプランター栽培では、畑での栽培よりも多くの肥料を必要とします。肥料が足りない場合は草丈が伸びず、実の付きが悪くなります。

肥料を与えるタイミングは以下のとおりです。

  • 1回目:草丈が40〜50cm、本葉が約5~6枚付いたとき
  • 2回目:雄穂(ゆうずい)が茎の頂点に付いたとき

雄穂は雄花とも呼ばれており、ススキの穂のような形をしています。2回目の追肥は、受粉を確実に成長させるためにしっかりと行いましょう。

使用する肥料は、即効性のある液体肥料か緩効性肥料がおすすめです。緩効性肥料は1平方メートルあたり約3杯を目安に与えます。

支柱の立て方

トウモロコシの草丈が伸び始めたら支柱を立てましょう。支柱を立てることでトウモロコシが倒れるのを防げます。

  1. 株元に支柱をまっすぐ立てる
  2. 支柱と茎を紐で結んで固定する

紐で結ぶときは、8の字で固定してください。成長すると茎がやや太くなるため、余裕を持たせて紐で結びます。太陽光をたっぷりと浴びられるよう、茎葉を広げるように固定させるのがポイントです。

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人工授粉の仕方

青空の下でのびのびと育つトウモロコシ

実がしっかりと詰まったトウモロコシを収穫するために、人工授粉をおこないましょう。畑で複数の株を育てる場合は、自然と受粉する確率が高くなりますが、プランター栽培では株数が少なく受粉しにくいため、人工授粉が必要です。

茎の先端に付いている雄穂を切り取って、穂の部分を雌穂の穂に擦り付けます。雌穂は茎と葉のわき芽に付いています。受粉の成功率をあげたい場合は、3株以上育ててみましょう。人工授粉が終わったら、水切れを起こさないように注意しながら育てます。

受粉自体は雌穂に対して、花粉がたっぷりと付いた1本の雄穂があれば十分です。雄穂には、アワノメイガというトウモロコシの天敵となる害虫が付きやすいため、使用する雄穂以外は切り取りましょう。

受粉が成功すると絹糸(ひげ)が茶色く変化し、トウモロコシの実が膨らみ始めます。

収穫の仕方

実が十分に成長し、絹糸(ひげ)が茶色く枯れたら収穫時期です。日数の目安は開花(受粉)後20〜25日前後。収穫が早すぎると甘みが足りず、収穫が遅くなると甘みがなくなり、実が硬くなってしまいます。先端の葉をめくって、粒が膨らんでいるかを確認しましょう。

トウモロコシは朝採りがもっとも甘いといわれているため、収穫する時間帯は朝がおすすめです。手で実を握り、下に引き下げれば簡単に収穫できます。

早朝に収穫することで長持ちしやすくなりますが、それでもトウモロコシは鮮度が落ちやすい野菜です。収穫当日に食べるか、すぐに食べない場合は皮を付けたまま冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。皮付きのまま保存することで、呼吸による消耗を防げます。保存期間は1〜2日です。

Tips
トウモロコシは冷凍保存もできます。

  • 生のまま冷凍:約2か月保存可能。汚れている外側の皮とひげの先端のみ取り除き、1本ずつラップで包んで保存袋に入れる。
  • 茹でてから冷凍:約1か月保存可能。全ての皮とひげを取り除き、普段よりも固めに茹でる。粗熱が取れたらキッチンペーパーで水気を拭き取り、1本ずつラップで包んで保存袋に入れる。

ひと手間かかりますが、茹でてから冷凍した方が、鮮度や食感を保つことができます。また輪切りにしたり、粒をばらして冷凍すると、使い勝手が良いのでおすすめです。

トウモロコシ栽培の注意点

枯れている収穫前のトウモロコシ

トウモロコシ栽培でよくある失敗例として、以下のような事象が挙げられます。

  • 実が小さい
  • 実の中身がスカスカしている
  • 害虫に食べられている

正しい方法で育てても、想定外のトラブルが発生することがあります。原因や対処方法を参考に、おいしいトウモロコシを育てるポイントを押さえましょう。

実が小さい

実が小さい、または中がスカスカしている状態は、先端不稔(せんたんふねん)や歯抜けと呼ばれています。以下のような環境により、受粉に失敗していることが原因です。

  • 株同士の間隔が狭すぎる
  • 異常気象による低温や乾燥
  • 肥料不足
  • 水不足
  • 受粉期の悪天候
  • 花粉量が不足している

トウモロコシは人工授粉をおこなわなくても、風で飛ばされる花粉によって自然と受粉できますが、プランター栽培の場合は人工授粉で確実に実を付けさせましょう。

ただし、人工授粉をしても、栽培環境によっては受粉に失敗するおそれがあります。気温、株同士の間隔、水や肥料の与え方など、栽培環境を見直すことが大切です。

害虫による被害

トウモロコシ栽培でとくに注意したい害虫がアワノメイガです。アワノメイガは、実や茎の中に入って食害し、株の成長を阻害します。雄穂に付きやすいため、雄穂が咲く6〜8月の雨が少ない季節には注意が必要です。

アワノメイガの対処方法は以下を参考にしてください。

  • 人工授粉が完了したら雄穂を除去する
  • あらかじめ雄穂を確保しておき、時期になったら人工授粉させる
  • 専用の農薬を散布する
  • 防虫ネットで侵入を防ぐ
  • マメ科の植物をコンパニオンプランツとして植える

また、野菜を育てる際によく発生するアブラムシにも注意しましょう。トウモロコシを好んで付着するわけではありませんが、体長が小さく群れで行動するため、被害が広がりやすいのが特徴です。付着したアブラムシがウイルスを運び、病気を発生させる危険性もあります。

アブラムシを予防・駆除するには、専用の薬剤を散布する方法が有効です。また、酢を原料とした対策グッズでも発生を防げます。

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トウモロコシは丈夫で耐暑性があり、家庭菜園初心者でも比較的育てやすい野菜です。プランターでトウモロコシを栽培する場合は、十分な深さのあるプランターを使うことが大切。また、水や肥料が切れると草丈が伸びず、実も十分に成熟しないため注意しましょう。

畑での栽培とは異なり、株数が少ないプランター栽培では、人工授粉で確実に受粉させることも成功させるためのポイントです。育て方の基礎をしっかりと押さえ、ぜひトウモロコシ栽培に挑戦してみてください。

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