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イチジクの育て方・栽培方法|収穫までのポイントを初心者向けにわかりやすく解説

イチジクの育て方・栽培方法|収穫までのポイントを初心者向けにわかりやすく解説

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自分で収穫し、食べる楽しみを味わえるイチジクの栽培。しかし、はじめてイチジクの栽培に挑戦する方は、上手に育てていけるのかと不安に感じるでしょう。

イチジク栽培が初心者の方でも、正しい育て方や気をつけるべきポイントを理解しておけば、自宅で簡単に育てられます。

本記事では、イチジクの育て方のコツや、栽培する際の注意点について詳しく解説します。

イチジクの基本情報

イチジクの基本情報
地植えでも鉢植えでも栽培できるイチジク。上手に育てていくためには、まずイチジクについての基本的な知識を理解しておくことが大切です。

イチジクの基本情報を確認していきましょう。

科名 クワ科
属名 イチジク属(フィクス属)
和名 イチジク、無花果/映日果(いちじく)
英名 Fig tree
学名 Ficus carica L.
原産地 小アジア、アラビア南部
分類 果樹
開花時期 6~9月
収穫時期 夏果:6月~7月、秋果:8月~11月
耐暑性 強い
耐寒性 やや弱い

特徴

特徴
漢字で「無花果」と書くイチジクは、花を咲かせずに実を付けるように見える植物ですが、実際には実の中に花を咲かせます。果実を割ってはじめて、粒上の花の観察が可能です。

小アジアやアラビア半島が原産地で、その歴史は紀元前まで遡ります。日本には、江戸時代に中国を経て長崎に来たとされています。

イチジクは「不老不死の果物」とも呼ばれており、非常に栄養価が高い果物です。食物繊維のペクチンやたんぱく分解酵素のフィシン、カリウムなどが多く含まれており、美肌効果や整腸作用、血圧の上昇を抑える効果などが期待できるといわれています。

主な品種

主な品種
イチジクには多数の品種があり、日本で流通している主な品種は以下の2つです。

  • 日本イチジク(蓬莱柿)
  • 桝井ドーフィン

それぞれの特徴について見ていきましょう。

日本イチジク(蓬莱柿)

日本イチジク(蓬莱柿)
日本イチジク(蓬莱柿)は江戸時代に中国から持ち込まれ栽培が始まりました。8月から10月(ハウスでは5月ごろ)が収穫時期の目安です。

やや酸味がありながらも、甘味が強い実を付けることで知られています。小さめの丸い実で、色も白っぽいことから「白イチジク」とも呼ばれています。

桝井ドーフィン

桝井ドーフィン
明治時代に日本に持ち込まれ、栽培が始まった桝井(ますい)ドーフィンは、北アメリカ原産の品種です。日本イチジク(蓬莱柿)よりも大きく、収穫量も多いため、多くのイチジク農家で栽培がおこなわれています。

桝井ドーフィンは年に2回収穫します。実が比較的大きい夏果は6〜7月が収穫時期で、やや小さい秋果は8〜10月が収穫時期です。

イチジクの苗木の選び方

イチジクの苗木の選び方
イチジクの栽培では、まず苗木を選ぶ必要があります。先述のとおり、日本で主に栽培されているのは「日本イチジク(蓬莱柿)」と「桝井ドーフィン」の2種類ですが、最近ではほかの品種も導入され始めています。

200以上の品種があるイチジクは、大きく以下4つの系統に分けられます。

  • サンペドロ系
  • 普通系
  • スミルナ系
  • カブリ系

日本で栽培可能なのは、サンペドロ系と普通系の2系統のみです。スミルナ系とカブリ系は、受粉に必要な虫(イチジクコバチ)が日本に生息していないため、日本国内では栽培できません。

これらの点を踏まえて、信頼できる販売店から苗木を購入しましょう。また、苗木を選ぶ際には、収穫時期についても考慮するのがおすすめです。イチジクの品種によって、以下のように収穫時期が変わってきます。

夏果秋果兼用品種 7~10月
夏果専用品種 6~8月
秋果専用品種 8~10月

夏果秋果兼用の品種は、ほかよりも少し収穫時期が長くなります。

実際に苗木を見て購入する場合は、病気や虫食いの痕跡がないかどうかも忘れずにチェックしてください。

イチジクを育てるのに必要なもの

イチジクを育てる際に必要なものは、以下のとおりです。

  • イチジクの苗木
  • プランターや鉢
  • 培養土
  • 鉢底石と鉢底ネット
  • 肥料
  • スコップ
  • ジョウロ
  • 園芸ハサミ
  • マルチング材(バークチップなど)

イチジクの苗木は、ホームセンターや園芸用品店などで購入できます。鉢は、深さが30cmほどある10号サイズを選ぶといいでしょう。

イチジクの育て方

イチジクの育て方
イチジクは比較的育てやすい植物で、地植えだけではなく鉢植えでも収穫までを十分に楽しめます。イチジクの育て方の基本を押さえ、立派でおいしい実を収穫しましょう。

ここでは、イチジクの育て方のポイントについて、以下の7つの項目に分けて解説します。

  1. 日当たり・置き場所・温度
  2. 植え付け方
  3. 水やりの仕方
  4. 肥料のやり方
  5. 剪定の仕方
  6. 芽かきの仕方
  7. 収穫の仕方

日当たり・置き場所・温度

日当たり・置き場所・温度
イチジクは日当たりの良い場所で育てるのが基本です。室内で鉢植えにする場合は、冬以外の日中にベランダなどに出して日を当ててあげると元気に育ちます。

寒さには強くないため、10℃以下になる時期は外に出さないようにしましょう。また、風が強く当たる場所もできるだけ避けてください。

植え付け方

植え付け方
鉢植えの場合は、まず鉢底石を底に敷き、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で作った土を鉢の半分程度まで入れます。そこに苗木を置いたあと、土をかぶせて埋めていきましょう。

植え付け時期は休眠期の11~3月ですが、寒い地域では凍害を防ぐために、春の少し暖かくなった時期に植え付けるのがおすすめです。

水やりの仕方

水やりの仕方
イチジクは水分不足になると、木が弱り実も小さくなってしまいます。4~10月の気温が上昇していく時期は、水分不足にならないよう、毎日水やりをおこなってください。

夏場の暑い時期には1日2回程度水やりをするのがベストです。冬は頻度を減らし、1週間に1回程度を目安に水を与えましょう。

肥料のやり方

肥料のやり方
鉢植えの場合は、肥料をしっかりと与えることが大切です。1年目は、緩効性化成肥料の10~20gを2回、5〜10月の間に与えます。

2年目以降は、4~10月の毎月に化成肥料を5g程度、冬には油かすを50g程度与えてください。

剪定の仕方

剪定の仕方
イチジクは、収穫時期によって剪定の場所が変わってきます。前年枝の先端のみに果実を付ける夏果は「間引き剪定」が基本です。前年の枝から伸びた新梢に実を付ける秋果は、前年枝を枝元から2~3芽残して切り戻す「切り戻し剪定」をおこないます。

夏果と秋果の両方を収穫する場合は、イチジクの成長度合いや枝の状態を見ながら切り戻し選定と間引き剪定をバランス良くおこなってください。

イチジクの剪定方法は「開心自然形仕立て」がオススメです。

開心自然形仕立て

開心自然形仕立てのやり方は以下のとおりです。

  1. 植え付け1年目の夏は
    3本の主枝を育て、ほかの芽は長さ10cm程度のところでカットする
  2. 植え付け1年目の冬の落葉後に伸びた3本の枝を30cmのところで切り戻す
  3. 2年目は主枝から伸びる3本の結果枝を残し、ほかはかきとる
  4. 2年目の冬になったら結果枝は3分の1程度で切り戻し、そのほかは20cmで切り戻す
  5. 3年目も2年目と同じようにするが、枝が混雑してくるため、間引いて全体に日が当たるようにする

芽かきの仕方

芽かきの仕方
芽かきは、イチジクの栽培で大切な作業の一つです。不要な芽を取り除くことで、それぞれの葉に養分が十分にいきわたるようになります。

冬の剪定が終わって春に新芽が出てきたときが、芽かきのタイミングです。新芽同士が20cm程度離れた状態になるように作業しましょう。

葉が2〜3枚開いたときに最初の芽かきをおこない、枝が10cm程度で葉が5〜6枚のときに2回目、枝が30cm程度で葉が8〜9枚のときに3回目、というように回数を分けておこなっていきます。

収穫の仕方

収穫の仕方
果実の先端が割れてきたらイチジクが完熟している証拠ですが、完熟まで待っていると害虫や鳥の被害に遭いやすくなります。

完熟まで待つのが難しい場合は、内部がまだ硬い状態のときに収穫し、冷蔵庫に入れて熟すのを待つ方法もおすすめです。

イチジクの収穫時期を早めるためには、オイリングをおこなうとよいでしょう。オイリングは、ごま油や菜種油オリーブオイルなどを果実に垂らすことによって、1週間ほど収穫時期を早める手法です。

実のサイズが3cmほどになり、やや赤みを帯びてきたタイミングでオイリングをおこないます。このとき、種子を包む部分にはオイルをかけないようにしましょう。果実の中心部に数滴垂らす程度で十分です。

イチジクを育てるときの注意点

イチジクを育てるときの注意点
イチジクは1年目から実を付けることも多くあります。実が付くとうれしくて、収穫したくなるかもしれませんが、1年目は収穫を控えましょう。

1年目に、切り戻しをせずに収穫すると、先端のほうから新梢が伸びていき、手が届かず管理できない場所に実が付いてしまいます。

この状況を避けるためにも、1年目は実の収穫よりも土台となる骨格作りを第一に考えましょう。上手に切り戻しをしながら、管理しやすい形に育てていくことで、快適に収穫を楽しめるようになります。

イチジクの病害虫対策

イチジクの病害虫対策
イチジクを上手に栽培していくためには、病気や害虫についても知っておくことが大切です。とくに、以下の4つの病害虫には注意しましょう。

  • カミキリムシ
  • うどんこ病
  • 疫病
  • さび病

カミキリムシ

カミキリムシ
カミキリムシは、イチジクの幹の内部に侵入して巣食う性質があり、放っておくと枯れてしまうおそれがあります。幹に穴が空いていたり、木くずが落ちてたりしていたら、カミキリムシの被害に遭っているかもしれません。

対処法としては、ホームセンターなどで手に入るカミキリムシ用の殺虫剤スプレーを穴に吹きかけるのが効果的です。

うどんこ病

うどんこ病
うどんこ病にかかったイチジクは、葉の表面にうどん粉に似ている白い粉をまぶしたような症状が見られます。

発症すると栄養が奪われたり、光合成を阻害されたりして、ひどい場合には果実が実らなくなります。

重曹を水で500倍程度に薄めたスプレーや、酢を水で100倍程度に薄めたスプレーを吹きかけることで、うどんこ病を治療できる可能性があります。また、ホームセンターなどで手に入る専用の薬剤を使用するのも効果的です。

疫病

疫病
疫病は、水浸状の斑点が葉や茎にあらわれ、そこから枯れたりカビが発生したりする病気です。果実にも影響が及び、表面が暗い紫色になって白いカビが発生します。

疫病は雨が降ったあとに発生しやすいため、雨が当たらないように防水のシートをかぶせたり、雨のあとに専用の薬剤を散布したりする方法が有効です。

さび病

さび病
さび病はカビ菌の一種で、感染すると白い斑点が葉にあらわれ、徐々に黄褐色へと変化しながら盛り上がっていきます。葉が枯れ落ちたり、果実の成長を妨げたりします。

日当たりや風通しの良い場所に置くほか、専用の薬剤を散布して対策しましょう。

 

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イチジクの鳥対策

イチジクの鳥対策
イチジクの実が熟してくると、鳥がつつきにくることがあります。

もっとも簡単な鳥対策は、イチジクの実を台所用水切りネットやビニールで覆う方法です。鉢植え栽培で、鳥の被害のおそれがある場合は、非常に手軽で有効な対策法といえます。

そのほか、鳥よけネットや鳥よけ棒、防鳥テープなどの市販のアイテムを利用するのも効果的です。

イチジクは育てやすい果樹!大切に育てておいしく食べよう

イチジクは育てやすい果樹!大切に育てておいしく食べよう
イチジクは、育て方のコツや注意すべき点をしっかりと押さえておけば、初心者の方でも比較的簡単に栽培できます。

地植えでも鉢植えでも育てやすいイチジクを大切に育てながら、収穫を楽しんでおいしく食べましょう。

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