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連作障害は防げる|野菜を効率良く育てる方法を詳しく解説

連作障害は防げる|野菜を効率良く育てる方法を詳しく解説

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生育の調子を悪くして収穫量を減らしたり、病害虫を発生しやすくしたりと、野菜を育てるなかで無視できないのが連作障害です。

連作障害は土壌環境の乱れが原因で発生するため、有害な病原菌や害虫を除外し、土の栄養バランスを整えることで防げます。

本記事では、連作障害の主な症状や対策方法、連作障害を起こさない野菜の育て方を解説します。「思ったように野菜が育たない」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

野菜の連作障害の原因は「土」

野菜の連作障害の原因は「土」

連作障害の原因は土です。土の中に有害な病原菌や害虫が増えたり、肥料が偏って栄養素が過不足を起こしたりすると、土壌環境が悪化していきます。

なお、水田で作られる稲は毎年同じ場所で同じ作物を育てますが、連作障害は発生しません。これは水を入れたり、抜いたりすることで土壌中の成分が拡散されるためです。病原菌や害虫は適度に洗い流され、栄養素もバランス良く広げられます。

連作障害を防ぐためには、場所よりも土の栄養バランスを気にかけることが大切です。

野菜の連作障害の症状

野菜の連作障害の症状

連作障害とは、同じ科の野菜を同じ場所で作り続けることで生育に悪影響を及ぼすことです。連作障害を起こすと、特有の病害虫を発症したり生育スピードが落ちたりして、枯れてしまうおそれがあります。

連作障害の主な原因は、土壌の成分バランスの崩れです。昨年までは元気に育っていた野菜が思うように育たず、収穫量が減ってしまった場合、連作障害が疑われるでしょう。

連作障害の症状は、大きく分けて以下の3つです。

  • 土壌病害
  • 線虫害
  • 生理障害

ここからは連作障害の症状を詳しく解説します。

土壌病害

土壌病害とは、土壌中に大量発生した病原菌が植物に入り込んで引き起こされる病気のことです。連作障害のなかでもとくに発生しやすい症状として知られています。

主な土壌病害と症状、発生しやすい野菜は以下のとおりです。

青枯病(あおがれびょう)

症状 発生時期や条件 発生しやすい野菜
・日中は枯れ、曇りや夜間には回復する症状を繰り返す
・青みがかった状態で枯れる
・茎や根の断面が変色し、乳白色の粘液が出る
・比較的短期間で被害が広がる
高温多湿
梅雨入り〜10月ごろ
【ナス科】
・トマト
・ナス
・ピーマン
・ジャガイモ

萎黄病(いおうびょう)

症状 発生時期や条件 発生しやすい野菜
・新しい葉が黄色く変色する
・葉がちぢむ
・高温時は症状が激しくなる
・茎の断面が変色している
・根が黒く腐敗する
高温期(25℃〜) 【アブラナ科】
・ダイコン
・キャベツ

つる割病(つるわれびょう)

症状 発生時期や条件 発生しやすい野菜
・日中は枯れ、夜は回復する症状を繰り返す
・初期は下葉に症状が見られる
・茎から茶色の汁が出てカビが発生する
4〜10月ごろ
(20〜30℃)
【ウリ科】
・キュウリ
・スイカ

根こぶ病(ねこぶびょう)

症状 発生時期や条件 発生しやすい野菜
・生育スピードが遅くなる
・葉が色あせる
・根にこぶができる
4〜10月ごろ
(20〜30℃)
【アブラナ科】
・ハクサイ
・キャベツ
※発症はアブラナ科のみ

半身萎凋病(はんみいちょうびょう)

症状 発生時期や条件 発生しやすい野菜
・初期は片側の下葉が黄色く変色する
・巻いたような葉が増える
・症状が進行すると枯れる
・茎の断面が薄茶色に変色する
25℃前後で多湿な環境 【ナス科】
・トマト
・ナス
・ピーマン
・ジャガイモ

線虫害

線虫害とは、線虫と呼ばれる微生物が原因で起こる被害を指します。

線虫は1mm以下の細長い形状で、肉眼ではほとんど見えませんが、地球上のあらゆる場所に生息しています。数万種いるとされている線虫ですが、植物に害をもたらすのは主にネコブセンチュウ、シストセンチュウ、ネグサレセンチュウといった寄生性線虫です。これらの線虫が植物の根に寄生すると生育不良や枯死を引き起こします。連作をすると土壌のバランスが崩れて線虫が増え、被害を受けやすくなります。

代表的な線虫と症状、被害を受けやすい野菜は以下のとおりです。

代表的な線虫 症状 被害を受けやすい野菜
ネコブセンチュウ ・根にこぶができる
・ひげ根が多くなる
トマト、ナス、ピーマン、サトイモ、ジャガイモ
シストセンチュウ ・根に白色や褐色の粒(シスト)ができる ジャガイモ、トマト、ナス
ネグサレセンチュウ ・根に黒斑ができる
・根が腐る
ダイコン、サトイモ、イチゴ

多くの線虫は地温が15~30℃前後の多湿な環境で増殖します。

線虫による被害は地下部で進行するため、葉茎が黄色くなったり、しおれや立ち枯れといった地上部の症状が現れる頃には手遅れになっていることも多いです。線虫は一度発生すると、完全に退治することが難しいため、侵入させない環境を整えましょう。

Tips
シストセンチュウのシストとは、体内に卵を保持して死んだメスの成虫の表面が硬化し、粒状のカプセルになったものを指します。シストには数百個の卵が入っており、乾燥や低温の環境に強く、数年から10年ほど生存できるといわれています。

生理障害

生理障害とは、土壌中の栄養の偏りや天候によるストレスが原因であらわれる症状です。とくに、土壌中の栄養素に過不足が発生すると生理障害を起こしやすくなります。

生理障害の主な原因と症状は以下のとおりです。

原因 症状
窒素過剰(窒素過多) ・つるぼけ(葉やつるばかりが生い茂って時花や実がつかなくなる症状)が起きる
・茎が徒長して軟弱になる
・病害虫にかかりやすい
カルシウム欠乏 ・尻腐れ(実の下部が黒くなる)が起きる(トマト、ピーマンなど)
・チップバーン(葉先枯れ)が起きる(ハクサイ、レタスなど)
・芯腐れ(芯の変色、空洞化)が起きる(ハクサイ、ブロッコリーなど)
マグネシウム欠乏 ・葉が網目状に黄色く変色(葉脈間黄化)し、葉が落ちやすくなる
Tips
窒素過剰(窒素過多)はカルシウムの吸収を阻害するため、カルシウム欠乏による尻腐れ病が発生する一因となります。

生理障害は、土壌中の栄養バランスを整えて予防します。育てている野菜に合わせて肥料を選び分けることが大切。植物の生育に使われるため、肥料で補給が必要なのは肥料の三要素・中量要素・微量要素の3つです。また、有用元素という、特定の植物に必要な元素もあります。

補給が必要な要素は以下のとおりです。

【肥料の三要素】

要素名 特徴
窒素(N) ・生長に大きく影響する(葉や茎を大きくする)
・葉色が濃くなる
リン酸(P) 花、実、茎の成長に必須
カリウム(K) ・根の成長に必須
・細部内の浸透圧調整にも使われる
・植物を丈夫にする

【中量要素】

要素名 特徴
カルシウム(Ca) 耐病性を強化する
マグネシウム(Mg) 光合成を高める
硫黄(S) アルカリ土壌を改善する

【微量要素】

  • 鉄(Fe)
  • マンガン(Mn)
  • ホウ素(B)
  • 亜鉛(Zn)
  • 銅(Cu)
  • 塩素(Cl)
  • モリブデン(Mo)

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連作障害を防ぐ野菜の育て方

連作障害を防ぐ野菜の育て方

病害虫が発生しないよう徹底的に対策をおこなっていても、見落としがちなのが連作障害です。ここからは、連作障害を防ぐ野菜の育て方を解説します。

目には見えない土壌環境ですが、ポイントを押さえれば連作障害を効果的に防げます。畑の場合は育てる植物をローテーションすることもふまえて、ぜひ対策を講じてみてください。

輪作をする

輪作(りんさく)とは、異なる科の野菜をサイクルするように栽培することです。数年間異なる科の野菜を育てて、連作を避ける必要があります。

次に同じ科の野菜を栽培できるまでの目安を輪作年限といいます。輪作年限は野菜によって異なり、ジャガイモやニンジンは2~3年、トマトやナスは4~5年です。連作障害が起きにくいと言われているタマネギやトウモロコシでも1~2年は空けると良いでしょう。

収穫後にほかの野菜を栽培することを後作(あとさく)といいます。後作する際は、野菜同士の相性を考えてローテーションを組むと、連作障害を防ぎやすくなるでしょう。

後作の相性が良い野菜を一覧でご紹介します。
※輪作年限は土壌環境や使用する品種によって異なります。

▼春作の例

育てたい野菜 輪作年限 後作に相性の良い野菜
ナス科 トマト、ミニトマト 4~5年 キャベツ
ブロッコリー
ネギ
ナス 4~5年 カボチャ
エダマメ
トウモロコシ
ピーマン 3~4年 トウモロコシ
ニンジン
タマネギ
ジャガイモ 2~3年 エダマメ
ホウレンソウ
レタス
トウモロコシ
ネギ
ウリ科 キュウリ 3年 トウモロコシ
タマネギ
ホウレンソウ
イネ科 トウモロコシ 1~2年 トマト
ハクサイ
ブロッコリー
エンドウ

▼秋作の例

育てたい野菜 輪作年限 後作に相性の良い野菜
ヒガンバナ科 タマネギ 1~2年 トマト
ダイコン
キャベツ
スイカ
セリ科 ニンジン 2~3年 ハクサイ
タマネギ
キャベツ
アブラナ科 ダイコン 1~2年 エンドウ
エダマメ
ネギ
キャベツ 2~3年 レタス
シュンギク
ニンジン
セロリ
大豆
ホウレンソウ
カブ 1~2年 レタス
ネギ
ハクサイ 2~3年 ソラマメ
ジャガイモ
ホウレンソウ
レタス
タマネギ

畑で野菜を育てる場合、すべての土を入れ替えることは難しいため、場所を変えて育てましょう。おすすめは野菜の種類ごとにスペースを区切って育てる方法。面積に余裕がなくても、1年ずつローテーションしていけば自然と輪作を実施できます。

ただし、同じ科が連続しないように計画することが大切です。できれば後付けには相性の良い野菜がくるように調整してください。

あらかじめローテーションの計画を組んでおくと、状況を把握しやすくなります。手書きの記録や写真を使ってしっかりと管理しましょう。

土作りをする

連作障害を防ぐには土作りや土壌消毒のほか、畑を休ませることも大切です。

土作りとしておすすめなのは有機物を混ぜ込むこと。小麦の表皮であるふすまや、米ぬかなどを土に加えると、微生物が活性化されます。そのほか、ピートモス・バーク堆肥・土壌改良材など、土壌改善用に販売されている市販品を活用する方法もおすすめです。

有機物を混ぜ込んで適切に管理すれば腐葉土ができます。腐葉土は微生物が活性化された土で、連作障害の対策におすすめです。

▼詳しくは下記の記事をご覧ください。

 

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深刻な連作障害が発生した場合は、土壌の消毒で改善できる可能性があります。消毒は夏の暑い時期におこないましょう。土を十分に湿らせて全体をビニールで覆い、日光でビニールの中を60℃以上にして有害な菌を死滅させる方法です。

また、土を深く掘ってふすまや米ぬかを入れ、水をたっぷりと含ませて日光を当てる方法もあります。有機物を使った方法はニオイが発生しやすい点が特徴です。また、市販の薬剤を散布しても同様の効果が期待できます。

さらに、植物の力を借りて連作障害を緩和する、畑を休ませる方法も有効です。畑を休ませて雑草を生やすだけで簡単に実践できます。より高い効果を得たい方は、マメ科のクローバーやイネ科のソルゴーなどといった、緑肥作物を植えるのもおすすめです。

Tips
緑肥作物とは主に有機物や肥料成分を供給することを目的として栽培する植物を指します。収穫せずに畑にすき込む(土と一緒に耕す)ことで土壌を改善することができます。

接ぎ木苗を使う

接ぎ木苗を使う

接ぎ木苗とは、野菜の枝を、病気に強いほかの品種の台木に接いだ苗です。病害虫に強くなるように工夫を施すため、連作障害も発生しにくいといわれています。

ただし、土台となる品種と野菜は同じ科であるケースが多く、連作障害を完全に避けることはできません。連作障害の対策として接ぎ木苗を取り入れてもいいですが、完全な対策にはならない点に注意が必要です。

コンパニオンプランツを育てる

コンパニオンプランツを育てる

コンパニオンプランツとは、野菜の近くに植えると良い影響をもたらす植物を指します。野菜同士だけでなく、野菜とハーブを組み合わせることもできます。
相性の良いコンパニオンプランツの組み合わせ例と期待される効果は以下のとおりです。

育てたい野菜 相性の良いコンパニオンプランツ 期待される効果
トマト バジル 害虫予防
キュウリ ニラ 害虫予防、つる割病予防
ピーマン マリーゴールド 害虫予防
ダイコン エダマメ 成長促進
ニンジン カブ 害虫予防、成長促進
ジャガイモ ネギ 害虫予防

野菜のプランター栽培と連作障害

野菜のプランター栽培と連作障害

プランター栽培の場合は、1年ごとに新しい培養土を使用することで簡単に連作障害を防げます。新しい培養土は栄養バランスが整っているため、自力で調整する必要がありません。

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▼培養土の詳細や選び方は以下の記事をご覧ください。

 

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古い培養土を別のプランターに移せば、ほかの草花を育てることもできます。そのほか、堆肥作りに使用するのもおすすめです。連作障害を起こしやすいトマトやナスは、プランターでの栽培も視野に入れてみてください。

野菜の連作障害は計画的な栽培で防げる

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病気や害虫を誘発させる連作障害。病気だけではなく、栄養素の偏りが原因で発生する症状もあり、見分けづらいことが難点です。家庭菜園に慣れてきたものの、最近は生育の調子が悪いという方は連作障害を疑ってみてください。

連作障害が発生した場合、原因である土壌環境の乱れを正す必要があります。ただし、土の環境を調整することは難しいため、ローテーションを組んだ輪作やプランター栽培などで連作障害自体を防ぐ方法も検討しましょう。

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