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栗の育て方で失敗しない!植え付けから剪定、収穫までの手順

栗の育て方で失敗しない!植え付けから剪定、収穫までの手順

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庭で採れた栗で栗ご飯やモンブランを作れたら、素敵だと思いませんか。秋の味覚の代表である栗は、家庭菜園でも育てることができ、毎年豊かな実りをもたらしてくれます。「桃栗三年柿八年」と言われるように、収穫までには少し時間が必要ですが、その分、初めて実を収穫したときの喜びは格別です。

この記事では、これから栗の栽培を始めたいと考えている方のために、品種選びから植え付け、日々の管理、そして収穫まで、失敗しないための育て方の手順を分かりやすく解説します。この記事を読めば、きっとあなたも美味しい栗を育てる第一歩を踏み出せるはずです。

栗栽培を始める前の基本情報

カゴにつまれた栗

栗の木は1本だけでは実がなりにくい性質(自家不和合性)を持っているため、基本的には2本以上の異なる品種を近くに植える必要があります。異なる品種を植えることで、お互いの花粉が受粉しやすくなり、たくさんの実をつけることができます。

初心者にもおすすめの主な品種

家庭菜園で栗を育てるなら、育てやすくて美味しい品種を選びたいものです。ここでは、初心者におすすめな代表的な品種を3つご紹介します。

品種名 収穫時期 特徴
丹沢(たんざわ) 早生(9月中旬) 甘みと香りが良く、育てやすい早生品種の代表格。
筑波(つくば) 中生~晩生(9月下旬~10月上旬) 大粒で甘みが強く、多収穫が期待できる人気の品種。
ぽろたん 早生(9月上旬~中旬) 加熱すると渋皮がぽろっと剥ける画期的な品種。家庭調理用に人気。
Tips
受粉の相性が良いとされる栗の品種の組み合わせの例は以下の通りです。

  • 「丹沢(たんざわ)」と「森早生(もりわせ)」
  • 「筑波(つくば)」と「銀寄(ぎんよせ)」
  • 「ぽろたん」と「ぽろすけ」

栗を育てる前に知りたい注意点

剥き途中の栗

栗の栽培を始める前に、いくつか知っておきたい大切なポイントがあります。

まず、栗の木は最終的に10m以上に大きく成長する可能性がある樹木です。そのため、庭植えの場合は、将来の木の大きさを考慮し、電線や隣家に影響のない十分なスペースを確保できる場所を選びましょう

また、苗木を植えてから実がなり始めるまでには、一般的に3年から4年ほどの年月がかかります。 長期的な視点で、じっくりと木を育てていく楽しみと捉えましょう。

そして最も重要なのが、前述した「自家不和合性」です。同じ品種の花粉では受粉しにくいため、確実に実を収穫するためには、開花時期が合う2品種以上を植えることが成功の鍵となります。

栗を育てるために必要なもの

栽培途中で木になっている栗

栗の栽培を始めるにあたり、事前に準備しておきたい基本的な道具や資材があります。地植えか鉢植えかによっても必要なものが少し異なりますが、ここでは主なものをリストアップしました。

必要なもの 用途・選び方のポイント
栗の苗木 ホームセンターや苗木店で購入できます。病気に強く、健康な苗を選びます。2品種以上用意するのがおすすめです。
培養土・園芸用土 水はけの良い土を好みます。市販の果樹用培養土か、赤玉土と腐葉土を混ぜたものなどを使います。
肥料 有機質肥料や化成肥料。元肥と、冬・秋の追肥用に使います。
剪定ばさみ・のこぎり 冬の剪定作業に必須です。枝の太さに合わせて使い分けます。
支柱 植え付け後の若い木を支え、強風などから守るために使用します。
鉢(鉢植えの場合) 直径、深さともに40cm以上の大型の鉢を選びましょう。
Tips
一般的に販売されている栗の苗木は、接木苗(つぎきなえ)です。栗の実から発芽させた実生苗(みしょうなえ)は結実するまで7~8年かかりますが、接木苗であれば2~3年で結実します。

栗の栽培時期と作業カレンダー

木になっている収穫前の栗

栗の栽培は、年間を通していくつかの大切な作業があります。適切な時期に適切な作業を行うことが、健康な木を育て、美味しい実を収穫するためのポイントです。以下に年間の主な作業スケジュールをまとめました。

時期 主な作業 内容
11月~3月 植え付け・剪定 苗木の植え付けに最適な時期です。また、木の休眠期である冬は、剪定のベストシーズンです。
12月~2月 元肥 寒肥(かんごえ)とも呼ばれ、春からの成長に備えて有機質肥料などを施します。
5月~6月 開花 独特の香りの花が咲きます。この時期に受粉が行われます。
9月~10月 追肥・収穫 実を収穫した後に、お礼肥(おれいごえ)として肥料を与えます。

初心者でも安心!栗の育て方

木になっているまだ成熟していない収穫前の栗

ここからは、実際の育て方の手順を詳しく見ていきましょう。日当たりや水やり、肥料の与え方など、基本的な管理方法を一つひとつ解説します。

日当たり・置き場所・温度

栗は日光を非常に好む植物です。そのため、庭植えでも鉢植えでも、一日中よく日が当たる場所で育てることが大切です。日当たりが悪いと、実の付きが悪くなる原因になります。また、水はけが良く、腐植質に富んだ土壌が適しています。日本の気候には比較的強いですが、過湿には弱いため、水はけの悪い場所では土を盛り上げた「畝(うね)」を作ってから植え付けると良いでしょう。

植え付けの手順

栗の植え付けは、葉が落ちた後の休眠期である11月から12月に行うのが最適です。 春にも植え付けは可能ですが、秋に植える方が根の張りが良くなります

地植えの場合

  1. 直径80cm~100cm、深さ50cm~90cmほどの大きな植え穴を掘ります。
  2. 掘り上げた土に、腐葉土や堆肥などの有機質肥料を混ぜ込みます。
  3. 苗木の根を広げるように穴に入れ、土を戻していきます。このとき、接ぎ木部分が土に埋まらないように注意してください。
  4. 植え付け後、苗木を地面から40cm~50cmの高さで切り戻します。
  5. 最後に水をたっぷりと与え、必要であれば支柱を立てて固定します。

鉢植えの場合
鉢植えでは、赤玉土7、腐葉土3の割合で混ぜた用土などがおすすめです。 植え付けの手順は地植えと同様ですが、鉢の底に鉢底石を敷いて水はけを良くすることが大切です。

水やりの頻度とタイミング

地植えの場合、植え付け直後と、雨が降らずに土が乾燥する夏場以外は、基本的に水やりの必要はありません。

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。 特に夏場は水切れしやすいので、土の状態をこまめに確認しましょう。ただし、常に土が湿っている状態は根腐れの原因になるため、水のやりすぎには注意が必要です。

肥料の種類と与え方

美味しい栗を育てるためには、適切な時期に適切な肥料を与えることが重要です。肥料は主に年に2回、冬と秋に施します。

  • 元肥(冬肥): 12月から2月にかけて、有機質肥料や緩効性化成肥料を木の周りに溝を掘って施します。これは「寒肥(かんごえ)」とも呼ばれ、春からの木の成長を支える大切な栄養源となります。
  • お礼肥(秋肥): 9月から10月の収穫後、木が消耗した体力を回復させるために速効性の化成肥料などを与えます。

 

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鉢植えの場合は、これに加えて5月ごろにも追肥を行うと効果的です。

収穫量を左右する剪定のコツ

栗の剪定は、木を健康に保ち、美味しい実をたくさん収穫するために欠かせない作業です。剪定をしないと枝が混み合い、日当たりや風通しが悪くなって病害虫の原因にもなります。

最適な時期は、木の成長が止まる冬の12月から2月です。不要な枝を整理して木の形を整え、内部まで日光が当たるようにしましょう。

  • 不要な枝の除去: 枯れた枝、内側に向かって伸びる枝、他の枝と交差している枝などを根元から切り取ります。
  • 樹形を整える: 栗の木は自然に育てると高く伸びていきます。家庭で管理しやすくするため、数年かけて中心の幹(主幹)を切り、枝が横に広がる「開心自然形」という樹形に仕立てていくのが一般的です。
  • 高さの管理: 木が高くなりすぎると手入れや収穫が大変になるため、6年目頃から主幹を4mほどの高さで切り、高さを抑える「芯抜き」という作業を行うと良いでしょう。

 

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収穫のタイミングと保存方法

栗の収穫は、自然に地面に落ちたイガを拾うのが基本で、9月から10月中旬がシーズンです。 木からもぎ取るわけではないため、拾いやすい服装と道具を準備しましょう。

イガが落ちてくることもあるため、長袖・長ズボンと帽子を着用すると安全です。

拾う際は、イガを足で踏んで中の栗だけを取り出すか、火ばさみを使うと便利です。 鬼皮(おにかわ)に張りがあり、色が濃く、底が黒ずんでいないものがおいしい栗のしるしです。

栗は傷みやすいため、収穫したその日のうちに食べるのが一番ですが、冷蔵・冷凍での保存も可能です。詳しい方法は下記のとおりです。

【冷蔵保存】

皮を剥いてしまった場合は冷蔵で2~3日しか持ちませんが、皮つきのまま冷蔵庫のチルド室で保存すれば、約1か月ほど保存できます。

  1. 湿らせたキッチンペーパーで栗の表面の汚れを拭き取る
  2. 湿気防止のため、新聞紙などの紙で包む
  3. 保存袋に入れて冷蔵庫のチルド室で保存する
  4. 包んだ新聞紙が湿ってきたら取り替える(3日に1度が目安)

【冷凍保存】

栗は冷凍しても味や食感が損なわれにくいため、長期間食べない場合は冷凍保存がおすすめです。少し手間がかかりますが、皮つきのまま茹でて冷凍すれば約3か月ほど保存できます。

  1. たっぷりの水を入れたボウルに栗を半日ほど漬ける
  2. 弱火で50分ほど茹で、灰汁(アク)を取り除く
  3. ザルにあげて粗熱と水気を取る
  4. 保存袋に入れて冷凍庫で保存する
Tips
栗の鬼皮は植物学的には皮ではなく果肉にあたります。本当の皮はイガ部分で、私たちが食べる部分は種子です。

栗栽培で注意すべき病害虫対策

木になっている収穫前の栗

栗の木も、病気にかかったり害虫の被害に遭ったりすることがあります。日頃から木の様子をよく観察し、早期発見・早期対策を心がけることが大切です。特に注意したい代表的な病害虫とその対策をまとめました。

種類 病害虫名 主な症状と対策
病気 胴枯病 幹や枝の樹皮が枯れ、ひどい場合は木全体が枯死します。病気の部分を削り取り、保護剤を塗布します。
病気 炭疽病 葉や実に黒い斑点が現れます。伝染源となる枯れ枝などを剪定し、風通しを良くすることが予防になります。
害虫 クリタマバチ 新芽に寄生して「虫こぶ」を作り、枝の成長を妨げます。虫こぶを見つけたら、その枝ごと切り取って処分します。
害虫 モモノゴマダラノメイガ 幼虫がイガの中に侵入し、実を食い荒らします。被害を受けたイガは早めに拾い集めて処分することが重要です。

いずれの病害虫対策においても、剪定によって風通しと日当たりを良くしておくことが基本的な予防策となります。

まとめ

オシャレな黒い器に入れられた栗

栗の育て方は、品種選びから植え付け、剪定、病害虫対策まで、いくつかの重要なポイントがあります。特に、異なる品種を2本以上植えること、日当たりの良い場所を選ぶこと、そして冬の剪定を適切に行うことが、成功への近道です。

収穫までは数年かかりますが、手間をかけた分だけ、秋に美味しい実りとして応えてくれます。この記事を参考に、ぜひ家庭での栗栽培に挑戦してみてください。

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