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ナスの育て方|初心者向けに失敗しない栽培のポイントを解説

ナスの育て方|初心者向けに失敗しない栽培のポイントを解説

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5〜10月ごろの初夏から秋にかけて旬を迎えるナスは、麻婆茄子や煮びたしなど、さまざまな料理に使える野菜です。旬が長いため、家で栽培するのに適しています。

本記事では、ナスの育て方や必要なもの、注意点などを初心者向けに解説します。ぜひ参考にして、おいしいナスを収穫しましょう。

ナスの基本情報

ナスの基本情報
まずは、ナスの基本情報について見ていきましょう。

科名 ナス科
属名 ナス属
和名 ナス
英名 Eggplant、Aubergine
学名 Solanum melongena
別名 ナスビ
原産地 インド東部
分類 一年草
販売時期 苗:3月下旬~6月上旬
開花時期 5月中旬~9月中旬
収穫時期 6月下旬~10月上旬
耐暑性 やや強い
耐寒性 やや弱い

ナスは6〜10月に旬を迎えます。夏に収穫するのが基本ですが、遅植えや更新剪定を行うと秋ナスとして収穫することもできるので、旬が長いのが特徴です。食物繊維が多く、カリウムや葉酸、ポリフェノールなども含まれている野菜です。

ナスが紫色になるのは、ポリフェノールの一種であるナスニンという色素の影響ですが、品種によっては皮が白色や緑色などのものもあります。

大きさや形は品種によってさまざまで、大きいものでは40〜50cmにも生長します。

原産地はインド東部で、高温性の野菜のため、夏の暑さや雨には強いのが特徴。反対に、水が不足すると収穫量が減ったり、ツヤがなくなったりするおそれがあるため注意が必要です。

Tips
「ナスビ」という呼び方は現在関西圏で多く使用されています。
元々はナスビという呼び方が全国的に普及していましたが、関東圏では江戸時代に「ナス」という呼び方が発生し、現代まで普及しているとされています。

主な品種

ナスは形や大きさ、色などによって多くの種類に分かれ、それぞれの種類ごとに品種も豊富にあります。
はじめてナスを育てる方には、最もポピュラーで育てやすい中長ナスがおすすめです。

主な種類と代表的な品種は以下のとおりです。

  • 中長ナス(長卵形ナス)
  • 【特徴】
    ・長さ12~15cmほど。
    ・スーパーで一般的に売られている品種。
    ・実付きが良くたくさん収穫できる。

    【代表的な品種】
    ・千両二号
    ・黒秀

  • 長ナス
  • 【特徴】
    ・長さ20cm以上になる細長いナス。
    ・柔らかい肉質で、焼きナスや煮びたしに向く。

    【代表的な品種】
    ・築陽
    ・とげなし長輝

  • 大長ナス
  • 【特徴】
    ・長さ40cm以上になる大型のナス。
    ・柔らかい肉質で、焼きナスや煮びたしに向く。

    【代表的な品種】
    ・庄屋大長

  • 丸ナス
  • 【特徴】
    ・球状の形のナス。
    ・実が引き締まっており、煮崩れしにくい

    【代表的な品種】
    ・加茂なす
    ・とろ丸

  • 小丸ナス
  • 【特徴】
    ・球状の形で、丸ナスよりも小型のナス。

    【代表的な品種】
    ・民田なす
    ・梵天丸

  • 水ナス
  • 【特徴】
    ・果肉に水分を多く含むナス。
    ・浅漬などに利用される。

    【代表的な品種】
    ・ごちそう

  • 米ナス
  • 【特徴】
    ・アメリカ産の品種を日本で改良して作出されたナス。
    ・皮と実が固く引き締まっており、煮物やステーキに適している。

    【代表的な品種】
    ・くろわし

    ナスを育てるために必要なもの

    ナスを育てるために必要なも
    ナスを育てるために必要となる基本的な道具は以下のとおりです。

    必要なもの
    ・ナスの苗
    ・プランターや鉢(深さ30cm以上のもの)
    ・培養土(プランターの中で深さが20cm程度になる量)
    ・鉢底石と鉢底ネット
    ・肥料(化成肥料)
    ・スコップ
    ・ジョウロ
    ・園芸ハサミ
    ・支柱(長さ150cm程度のもの)
    ・麻ひも(ビニールひもなどでもOK)

    ナスは縦に育つ植物のため、支えるための支柱や麻ひもが必須です。また、培養土は野菜用のものを使用すると手間が少なく済むでしょう。

    ナスの苗は、本葉が7〜9枚ほどあり、一番下に双葉が残っているものを選んでください。幹が太くて全体にずんぐりしており、葉脈は鮮やかな紫色、根がポットの底から出そうなくらいしっかりと張っている苗がおすすめです。

    病害虫や伝染病を防ぐためにも、接ぎ木苗を選ぶといいでしょう。

    ナスの栽培時期

    ナスの栽培カレンダー

    ナスの植え付けに適した時期は、4月下旬~5月中旬ごろです。寒さや霜で株が傷んでしまうため、十分に気温が上がってから植え付けてください。

    順調に育てば、6月上旬ごろから夏ナスの収穫を始めることができます。
    また、夏ナスの収穫後に更新剪定を行うことで、9月から10月上旬ごろまで秋ナスの収穫を楽しむことができます。

    Tips
    植え付けの適期を逃してしまっても、7月上旬ごろまでは遅植えの株として植え付けて栽培することができます。

    【初心者向け】ナスの育て方

    【初心者向け】ナスの育て方
    次に、ナスの具体的な育て方を確認していきましょう。プランターの置き場所や植え付け方、水やりや収穫の方法を解説します。

    日当たり・置き場所・温度

    ナスの生育適温は22〜30℃ほどとされています。また、日向を好む植物のため、プランターは日がしっかりと当たるところに置いてください。

    日照時間が長くて日射量が多いほど、ナスは収穫量が増えるため、日をたっぷりと浴びせましょう。

    植え付け方

    プランターをよく洗ってから鉢底石を入れ、培養土を20cmの深さになるまで入れてください。そして、苗ポットよりも少し大きい穴を掘り、水をたっぷりと注ぎこみます。

    水が引いたら苗を植え、根元部分を軽く押さえて安定させましょう。また、ナスの苗を複数植える場合は、株間を50cm前後開けるようにしてください。

    支柱の立て方

    ナスを栽培するときは、苗から10〜15cmほど離れたところに、長さ150cmほどの支柱を真っすぐに立ててください。

    誘引する際は、支柱の高さが15cmくらいのところに麻ひもをかけます。ナスは育つと茎が太くなるため、きつくせずに優しく結んでください。

    ひもを数回ねじってから支柱に結びます。
    最後に、たっぷりと水を与えたら植え付けと支柱立ては完了です。

    水やりの仕方

    植え付け後は、表面の土が乾き切る前に水をあげてください。夏の暑い日はとくに乾きやすいため、朝と夕方の2回水やりをするといいでしょう。

    くもりの日であれば、午前中に1回与えるだけで問題ありません。ナスは水を好む植物ですが、多湿になると病気を引き起こすおそれがあるため、水の与えすぎにも注意が必要です。

    肥料のやり方

    肥料は植え付け約1か月後から、2週間に1回与えます。1回目の追肥では、1株あたりに化成肥料を一握り、株元に円を描くようにして与えてください。

    2回目以降は、1株あたり一握りの化成肥料を株元から離れたところに追肥します。そして、スコップで肥料と土を混ぜてから、株元へ土寄せしてください。

    整枝・摘芯の仕方

    次に、整枝と摘芯をおこないます。整枝は、6月上旬〜中旬ごろを目安にしてください。株が成長すると枝葉が混んでくるため、養分を分散させないためにおこなう工程です。

    1番花の下にある元気な側枝を残して、その下にあるわき芽をすべて摘み取ります。整枝をしたあと、側枝が重くてぐらついてしまう場合は、90cmほどの支柱を斜めにして追加するといいでしょう。
    整枝・摘芯の仕方
    また、ナスの栽培では摘心もおこないます。剪定用のハサミは、枝に負担をかけないように切れ味の良いものを選んでください。

    摘心は7月中旬ごろにおこない、枝の軸となる頂点部分を切り詰めます。わき芽の生長が促されるため、摘心をすることで収穫量の増加が見込めます。

    秋までナスを収穫したい場合は、更新剪定もおこないましょう。更新剪定の目的は、新しくて元気な芽を出させること。ナスは収穫すると「なり疲れ」という元気のない状態になることが多くあります。更新剪定によって元気を取り戻させ、秋ナスを収穫できるようにします。

    伸びている枝から2分の1〜3分の1の長さを目安に、バッサリと枝を切ってください。葉はすべて切らないようにして、1つの枝に2枚以上の葉を残すようにしましょう。そして、株元から30cmほど離れたところにスコップを深く差し込み、土の中で広がっている根を切ります。最後に、化成肥料をまいて更新剪定は終了です。

    収穫の仕方とタイミング

    ナスは開花して20〜25日ほどで、収穫するのが理想です。朝の涼しい時間帯に、ヘタの上をハサミで切って収穫します。
    ナスを収穫する際は、必ず軍手をはめるようにしてください。ナスにはトゲがあるため、怪我を防ぐ必要があります。

    Tips
    ナスの生育に勢いがない場合、はじめに実る一番果を小さいうちに収穫してしまいましょう。一番果を取ることで株が疲れにくくなるため、その後の生育が良くなるとされています。
    生育の具合は、花の状態で見分けることができます。雌しべが雄しべよりも長く育っていたら、順調に成長している証です。反対に、雌しべと雄しべが同じくらいの長さになっている場合、水やりや肥料が不足している可能性があります。

    ナスを育てるときの注意点

    ナスを育てるときの注意点
    ナスは高温多湿を好む植物ですが、水不足と高温障害には注意しなければなりません。また、おいしいナスを収穫するためには、害虫対策や収穫時期についてもしっかりと確認しておくことが大切です。

    ナスを育てるときの注意点をご紹介します。

    連鎖障害の影響が出やすい

    ナスは、連作障害の影響が出やすいとされています。連作障害とは、同じ科の野菜を作り続けることで生育不良となり、収穫量が減るトラブルです。

    ナス科野菜の連作は避け、同じ場所で栽培する場合は3~4年ほどの期間をあけるようにしてください。連続して育てたいのであれば、ほかの場所を選びましょう。

    連作すると土壌の中の微生物に偏りが出るため、生育に悪影響を及ぼすだけではなく、病害虫も発生しやすくなります。プランター栽培では培養土を使いまわさず、常に新しい培養土を使用してください。

    Tips
    春夏の家庭菜園で人気のナス・トマト・じゃがいも・ピーマン・シシトウは、全てナス科の植物です。ナス科の植物を育てた後の土地では、キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の植物や、ヒガンバナ科のタマネギといった科の違う植物であれば、連作障害なく栽培することができます。

    収穫が遅れると味が落ちる

    ナスは、基本的に開花してから20〜25日で収穫します。収穫が遅くなると味が落ちるため注意が必要です。

    また、株の勢いが衰えている場合も、実が小さい間に収穫をおこなってください。早いうちに収穫することで、おいしいナスを味わえます。

    こまめに害虫対策をおこなう

    ナスは虫がつきやすい野菜のため、食品成分由来の薬品でこまめに対策をおこなってください。

    とくに、8月ごろになると害虫がつきやすくなります。薬品を使って対策しているからと気を抜かず、注意深く観察しておきましょう。

    害虫を見つけたら、すみやかに駆除してほかへの被害を防いでください。また、防虫ネットや寒冷紗などの使用も害虫対策として効果的です。

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    ナスの病気・害虫対策

    ナスの病気・害虫対策
    ナスは、病害虫に注意しなければならない植物です。そのため、栽培の難易度がやや高いといわれていますが、しっかりと病害虫対策をすれば、初心者の方でも安心して育てられます。

    ナス栽培で注意すべき病害虫は以下のとおりです。

    病気
    ・うどんこ病
    ・青枯病
    ・石ナス
    ・つやなしナス

    害虫
    ・アブラムシ
    ・アザミウマ
    ・ハダニ

    うどんこ病は、葉の表面に白色の斑点が現れる病気です。これはカビの一種で、徐々に拡大していって円形病斑となり、多発するとうどん粉をまぶしたように白くなります。うどんこ病は日照不足により発生しやすいため、十分な日射量を確保しましょう。

    青枯病は、株全体の葉が急激にしおれていく病気です。被害株の基部を切断して水中に挿すと、細菌泥の噴出がみられます。感染力が高く、周囲の株にも大きな影響を及ぼすため注意が必要です。薬剤による土壌消毒やハサミの消毒をおこなって伝染を回避しましょう。

    石ナスは果実の生育不良により、かたくて小さい実がなる病気です。完全に受精していないことが原因で発生するため、ホルモン処理などをおこなうと防止できます。

    つやなしナスは、全体的に光沢がなくなる病気です。水不足によって表面に凹凸ができ、つやがないように見えます。主な対策は、育成に応じた水やりを徹底することです。

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    夏秋に向けてナスを栽培しよう!

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    ナスは病害虫に注意が必要ですが、旬が長く、工夫次第でたくさんの実を収穫できる野菜です。

    また、ナスにはさまざまな品種があり、味や適した調理方法が異なります。そのため、作りたい料理に合わせて、品種を選んでみるのもおすすめです。
    ぜひお近くの店舗で苗を購入して、ナスの家庭菜園に挑戦してみてください。

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