人気のタグ

コーナンTips

園芸

じゃがいもの栽培方法|育て方の手順と注意点を解説

じゃがいもの栽培方法|育て方の手順と注意点を解説

Featured Image
クリップボードにコピーしました
         

スーパーでは年中売られているじゃがいもですが、栽培に適した季節や植え付け時期があります。そのため、じゃがいもを栽培する際は時期に注意して育てることが重要です。

また、じゃがいもをうまく育てるためには、正しい手順を踏むだけではなく、適切な種いも選びも欠かせません。初めてじゃがいもを育てる場合、どの種いもがよいのか分からないこともあるでしょう。

そこで本記事では、じゃがいも栽培のポイントや具体的な手順、注意点を分かりやすく解説します。

じゃがいも栽培のポイント

複数のじゃがいもを手に持った画像

科名 ナス科
属名 ナス属
和名 じゃがいも
英名 Potato
学名 Solanum tuberosum L.
別名 馬鈴薯(ばれいしょ)
原産地 中国西部、中央アジア北部、バイカル地方
分類 多年草
原産地 南米アンデス高地
分類 多年草
(※園芸上は一年草)
苗の植え付け時期
(一般地)
春植え:2月下旬〜4月上旬
秋植え:8月下旬~9月上旬
収穫時期
(一般地)
春植え:5月上旬〜7月上旬
秋植え:11月上旬~12月中旬
※植え付けから3~4か月で収穫
生育適温 15~24℃

じゃがいもは、南アメリカ原産の野菜です。日本に伝わってきたのは17世紀初め頃。オランダ船によってジャワ島のジャカルタから伝わったことから、「ジャガタライモ」と呼ばれていました。その後、「ジャガイモ」という名前に変化したといわれています。

荒れた土地でもよく育ち、収穫後も長期間の保存が効くじゃがいもは、「飢饉の救世主」として栽培が広まりました。

そんなじゃがいもは、現代の家庭菜園においても人気の野菜です。プランター栽培も可能なので、ベランダなど限られたスペースでも栽培を楽しめます。

品種によって、食感や味が大きく異なるため、好みに合わせて選ぶといいでしょう。

じゃがいも栽培のポイント

じゃがいも栽培ではじめに考慮すべき重要なポイントは以下の2つです。

  • 植え付ける場所
  • 種いもの選び方

じゃがいもは、しっかりとポイントさえ押さえられていれば、初心者でもおいしく育てられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

植え付ける場所

じゃがいもを育てる前に、まずは植え付ける場所を決めます。自宅での栽培であれば、プランターを使うのが一般的です。庭などにスペースがある場合は、畑を作ってもよいでしょう。

また、培養土の袋にそのまま植え付ける方法もあります。プランターや畑よりも収穫できる数は減ってしまいますが、袋の底に排水できる穴を開けるだけで栽培できるようになり、手軽でおすすめの方法です。

以下でそれぞれの育て方を詳しく掘り下げているので、ぜひ参考にしてみてください。

プランター

プランターを使用する場合は、深さが30cm以上の菜園用プランターを選んでください。じゃがいもは土の中で育つ植物なので、深さが重要となります。

1株ごとに30〜40cm程度の間隔をあけて植え付けましょう。使用する土は、あらかじめ適切に配合されているじゃがいも用の培養土がおすすめです。

プランター栽培におすすめの野菜については、下記の記事で詳しく解説しています。

 

関連記事

家庭菜園はプランターで!ベランダ菜園のはじめ方とおすすめ野菜10選

畑でじゃがいもを栽培する場合は、酸性の土を作ることが大切です。通常、土を作る際に石灰を入れて酸度を調節しますが、じゃがいもの場合は必要ありません。

1㎡あたり完熟堆肥2〜3kg、成分8-8-8程度の化成肥料や有機配合肥料を100gを加えて、よく耕しておきましょう。

pHが7.0を超えるとソウカ病になってしまうため、pHの目安は5.0〜6.0です。土を作る際は、植え付けの1週間以上前までにおこなってください。

培養土の袋

販売されている培養土の袋でじゃがいもを育てる場合は、袋の表裏と側面の下部にドライバーなどで穴をあけ、水やりの際に排水できるようにしましょう

穴の大きさは直径1cmほど、5〜10cm間隔で20〜30箇所あけてください。

プランターに続いて簡単に育てることができ、見た目もかわいい方法です。初めてじゃがいもを栽培する人はぜひ挑戦してみてください。

種いもの選び方

種いもは一見普通のじゃがいものように見えるため「普通のじゃがいもを使ってもよいのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、食用のじゃがいもを種いもとして植え付けることは推奨されていません

種いもとして販売されるのは、3種類の害虫(ジャガイモガ、ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモシロシストセンチュウ)と7種類の病気(馬鈴薯ウィルス、輪腐病、青枯れ病、そうか病、輪状そうか病、黒あざ病、疫病)の検査に合格したじゃがいもです。

食用じゃがいもは検査を受けることなく流通するため、それらを種いもとして使用すると、病気を畑に招き入れるリスクが高くなります。必ず種いもとして売られているものを選んでください。

種いもは春と秋の2回販売されます。初心者の方は、春に購入するのがおすすめです。市販されている種いもは、農林水産省の検査機関による検査に合格したもので、品質が保証されているため問題ありません。

またじゃがいもは品種によって、休眠期間(目の成長が一時的に止まる期間)の長さが変わってきます。春植えには休眠期間の長い品種、秋植えには短い品種が適しています。

春植え、秋植えにそれぞれ向いている品種は下記のとおりです。

春植えにおすすめの品種 秋植えにおすすめの品種
・男爵
・メークイン
・キタアカリ
・デジマ
・アンデスレッド
・ニシユタカ

さらにできるだけ失敗を防ぐためには、種いものサイズ選びも重要です。50g以上の種いもは芽出し後に切り分ける必要がありますが、切り口から腐ってしまうリスクがあります。初心者の方は切らずに植えられる、30〜50g未満の種いもを選ぶといいでしょう。

じゃがいもの栽培時期

じゃがいもは、春と秋の2回栽培できます。春植えと秋植えの違いや、地域別の植え付け時期について見ていきましょう。

春植え・秋植えの違い

春植えじゃがいもは2月下旬~4月上旬に植え付けし、5月上旬〜7月上旬に収穫します。

ある程度の雨量と温暖な気候のもとで育つため、水はけと通気性の良い土壌が必要です。

秋植えじゃがいもは8月下旬~9月上旬に植え付けし、11月上旬〜12月中旬に収穫します。肌寒い気候にさらされることで、甘みが増すのが特徴です。

ただし、秋植えの種いもは気温が高い時期に植え付けるため、暑さで腐りやすい点に注意しましょう。また、冬が早く到来すると、じゃがいもが大きく育たない場合もあります。収穫前の時期になると急激に冷え込むことがあるため、霜対策も必要です。これらの理由から、初心者の方には春植えでの栽培をおすすめします。

地域別の植え付け時期

じゃがいもは耐寒性がありますが、霜には弱いため、地域によって植え付けに適した時期が異なります。地域別の植え付け時期の目安は以下のとおりです。

春植え
九州・四国・中国 1月下旬~3月下旬
関東・関西・中部 2月下旬~4月上旬
北海道・東北 4月中旬~5月上旬
秋植え
九州・四国・中国 9月上旬~9月下旬
関東・関西・中部 8月下旬~9月上旬
北海道・東北 8月上旬~8月下旬

じゃがいも栽培の手順

じゃがいも栽培の流れ

次に、じゃがいもを栽培する一般的な流れについて解説します。

  1. 種いもの芽出しをする
  2. 植えつける
  3. 芽かきをする
  4. 追肥と土寄せをする(1回目)
  5. 追肥と土寄せをする(2回目)
  6. 花を摘む
  7. 収穫をする

手順ごとに、ポイントや注意点を見ていきましょう。

種いもの芽出しをする

種いもを購入したら、植え付けの2~3週間前から芽出しが必要です。種いもはホームセンターや園芸店、ネット通販などで入手できます。

朝から夕方くらいまで日が当たる場所に種いもを並べ、太陽光に当てる作業を毎日おこないましょう。夜は寒さによって傷むおそれがあるため、室内に取り込んでください。

2週間ほど続けると、芽が出ているのを確認できます。緑や赤、紫色の硬い芽が出ていれば成功です。

芽出しは必ずしなければいけない作業ではありませんが、芽出しをすることで発芽率が高まり、生育が良くなる傾向があります。

また、種いもの切り方についても確認しておきましょう。小さい種いもであれば切らずにそのまま植え付けが可能ですが、50g以上の大きい種いもは、芽出しをしたあと大きさに合わせて切る必要があります。

まずは「へそ」と呼ばれる、元の種いもとつながっていた部分を切り落としてから、芽が出ている部分をよけて縦に半分に切りましょう。その後、腐りやすい切り口がコルク状になるまで2〜3日ほど風通しが良い場所で乾燥させてから植え付けてください。

植え付ける


次に、種いもを植え付けます。幅60〜70cmで深さ10cmくらいの植え溝を掘り、30cm間隔で植えてください。種いもを切り分けた際は、切り口を下に向けて植え付けましょう。

土の中で育つじゃがいもですが、深く植え付けすぎると芽が出づらくなるため注意してください。目安は、種いもの上に土が5cm乗っている状態です。

芽かきをする


じゃがいもの芽が伸びてきたら、芽かきが必要です。硬くてよい芽を2~3本程度残して、残りの芽は引き抜きます。

種いもが動いてしまわないようにしっかりと押さえて、芽だけを引き抜くようにしてください。

地中で育つじゃがいもの数は、出てきた芽の数に比例します。芽を残しすぎると、数が多くなる代わりに小さいじゃがいもしか育たなくなるため、思い切って芽かきしましょう。

芽かきのあとは、残した芽が安定するように土寄せします。

Tips
芽かきで取れた芽を挿し木することで、株を増やせます。

一般的な挿し木をおこなう要領で畑の開いた場所に挿し木するか、場所が決まってなければ栽培用のビニールポットに挿し木をして置いて発根させてから畑に植えても大丈夫です。

発根させるときは用土と挿し枝が土と密着するように押さえ、たっぷりと水を与えて数日間は日陰~半日陰で管理します。葉がピンと立ったら挿し木成功です。

挿し木苗は種いもに比べて一株あたりの収穫量は少ないですが、通常よりも+αで収穫量を増やせます。難易度は比較的高いため、慣れてきたら挑戦してみてください。

追肥と土寄せをする(1回目)

芽かきが終わったらすぐに、土寄せ(増し土)をおこないます。土寄せはじゃがいもの根元に土を寄せて盛る作業で、このとき土に追肥を混ぜ込むと育ちやすくなります。

土寄せをおこなう理由は、根が露出するのを防ぐためです。縦に伸びてくると根元から折れてしまう可能性があるため、土寄せをして倒れるのを防ぎます。

追肥と土寄せをする(2回目)

草丈が30cmまで伸びてきたら、2回目の追肥と土寄せをおこないましょう。方法は1回目と同じで、追肥した土をじゃがいもの根元部分に盛ります。

2回目ではじゃがいもが大きくなっていて、土から出てしまう危険性があります。じゃがいもは太陽の光に当たると有害物質であるソラニンが増えるため、じゃがいもが土から出ていたら埋めるようにしてください。

ソラニンは食中毒を引き起こします。土寄せがうまくおこなわれておらず、緑色に変色してしまったじゃがいもは食べないようにしましょう。

花を摘む

しばらくすると、じゃがいもの花が咲きます。花が咲くと、極めてまれにトマトのような形の実がなることもあります。

そのまま放っておいても害はありませんが、実のほうに栄養を吸い取られてしまい、じゃがいもの生育に影響を及ぼすおそれがあります。大きいじゃがいもを育てたいのであれば、花はできるだけ取り除くことをおすすめします。

収穫をする

最後に、育ったじゃがいもを収穫します。3~4月頃に植え付けた場合、6月中旬頃に収穫が可能です。ただし、品種や地域、その年の天候によっても収穫時期は前後するため、収穫する目安を知っておきましょう。

じゃがいもを収穫する目安は、葉の7〜8割が黄色くなって枯れてきた頃です。水に触れると腐りやすくなるため雨の日や雨上がりは避け、晴れの日が続いているときに収穫してください。

また、収穫できたじゃがいもは土が落ちるくらいにまで乾かし、中へ取り込みましょう。日に当たりすぎるとシワシワになったり、ソラニンが増えたりするため注意してください。ソラニンは、早く収穫しすぎても残る性質を持っています。

じゃがいもの栽培をする際の注意点

じゃがいもの栽培をする際の注意点
じゃがいも栽培を成功させるために知っておくべき注意点を解説します。ここで解説する注意点を押さえておけば、じゃがいも栽培でありがちな失敗を避けることができます。

水やりは控えめにする

じゃがいもを畑に植えた場合、水やりは頻繁にしなくても大丈夫です。鉢植えや培養土の袋に植えた場合、土が乾いたら水を与えましょう。

じゃがいもは基本的に湿った環境を好まないため、水をやりすぎないように注意してください。

芽出しをおこなう

種いもを植え付ける前の芽出しはおこなった方が発芽率が上がります。

芽出しを省略すると土の中で芽が十分に伸びず、そのまま傷んでしまう場合があります。

じゃがいも栽培の流れで解説した手順を参考に、十分に芽出しをしてから植え付けましょう。

害虫はすぐに取り除く

じゃがいもにはニジュウヤホシテントウという害虫がつくことがあるため、見つけたら取り除き、野菜用の殺虫スプレーを散布してください。とくに、葉の裏をこまめに確認しましょう。

虫の卵や幼虫がいないかもチェックしておくと、大きな被害に遭うことがありません。

そのほか、センチュウ類、ヨトウムシなどの蛾の幼虫、アブラムシなどもじゃがいもにつく可能性があります。大きな被害を防ぐためには、大量に発生する前に見つけて駆除することが重要です。

また、植え付けには必ず種いもを使い、連作はしないなどの対策をおこなうと、病害虫の予防につながります。

ソウカ病の対策をする

じゃがいものかかりやすいソウカ病は、地温の高さ、pHがアルカリに傾きすぎ、連作、未熟堆肥の混ぜ込み、種いも以外の芋を使用したことなどが原因です。

じゃがいもに適したpHは5.0〜6.0と酸性に傾いているため、石灰を入れすぎないように注意しましょう。

なおソウカ病になってしまったも、病気になった箇所を厚めに剥けば食べることは可能です。

収穫後は通気性の良い容器で陰干しして保存する

収穫したじゃがいもは通気性の良い容器に入れましょう。そして、日の当たらない場所で2~3日ほど陰干しします。

じゃがいもは収穫後も呼吸をおこなっており、密閉された場所を嫌います。そのため、冷蔵庫で保存する際は袋に入れないようにしましょう。

FAQ(よくある質問)

白い背景とじゃがいもの画像
じゃがいもを実際に栽培するにあたって、いくつか疑問点が出てくることがあります。ここでは、よくある3つの質問と、その答えを記載しています。

種いもの切り口には草木灰をつけた方がいい?

草木灰をじゃがいもの切口に塗して植える利用方法が古くから一般的ですが、近年はゼオライト等の鉱物粉末を切口保護剤として利用する方法が普及しています

草木灰も古くから利用されている方法で大きな問題は発生しませんが、草木灰はアルカリ性が強く、多く使用すると土壌をアルカリ性に傾け過ぎてしまい、そうか病の発生要因になる場合もあるため注意が必要です。

余った種いもを食べても大丈夫?

基本的に食べない方がいいでしょう。種いもの場合は病気の予防に重点を置いて管理されます。病気や害虫の発生がないように通常よりも殺菌剤を多く散布されていることがあり、食用として適していません。

一度栽培に使った土を再利用できる?

じゃがいもは野菜の中でも連作障害(病気になりやすくなること)を起こしやすいといわれています。土は植え付けのたびに新しいものを用意するようにしましょう。

連作障害については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

 

関連記事

連作障害は防げる|野菜を効率良く育てる方法を詳しく解説

じゃがいもを栽培して美味しく食べよう

難しそうに見えるじゃがいも栽培ですが、慣れてしまえば初心者でも簡単に育てることができます。じゃがいも栽培のメリットは、何といっても省スペースでも育てられる点です。

賃貸のベランダでも育てられるため、これまで家庭菜園のハードルが高くて挑戦できていなかった方にもおすすめです。どんなレシピにも使える万能野菜のため、ぜひこの機会にじゃがいも栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。

関連記事 今話題の人気記事!

同じカテゴリから記事を探す

初心者家庭菜園