ほうれん草の栽培方法・育て方|初心者向けに種まきから収穫までの手順を解説
ほうれん草の栽培方法・育て方|初心者向けに種まきから収穫までの手順を解説

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栄養価が高くさまざまな料理に活用できるほうれん草は、家庭菜園でも栽培可能な緑黄色野菜です。この記事では、初心者向けにほうれん草の栽培方法をわかりやすく解説していきます。
ほうれん草の基本情報や栽培に必要なもの、育て方のポイント、初心者向けの栽培手順までを解説しますので、ぜひ挑戦してみてください。また、ほうれん草の栽培で気をつけたいことや失敗しないためのポイント、病気・害虫対策もご紹介します。
自宅で手軽に、栄養たっぷりのほうれん草を育てていきましょう。
目次
ほうれん草の基本情報
まず、ほうれん草の基本情報についてみていきましょう。
科名 | ヒユ科 |
属名 | ホウレンソウ属 |
和名 | 菠薐草・法蓮草 |
英名 | Spinach |
学名 | Spinacia oleracea |
原産地 | 中央アジア |
分類 | 一年草 |
販売時期 | 種:通年 |
収穫時期 | 通年 ※種まきから30~50日で収穫(品種や栽培時期によって異なる |
耐暑性 | やや弱い |
耐寒性 | 強い |
ほうれん草には、中東からシルクロードを伝ってアジアに広がった「東洋種」と、16世紀ごろに欧米から伝わってきた「西洋種」があります。もともとアカザ科に属しているとされていたほうれん草ですが、ヒユ科へ分類が見直されました。
春と秋、年2回の栽培が可能で耐寒性が強く、寒さに当たると甘くなるのが特徴です。
主な品種
葉の切れ込みがあるのが「東洋種」、切れ込みがないのが「西洋種」です。ほうれん草には多くの品種がありますが、秋まきは「日本ホウレンソウ」とも呼ばれる東洋系、春まきは西洋系の品種が向いているとされています。
また、ほうれん草は気温が下がると凍結しないように水分を減らし、糖分を蓄える性質があります。この性質を利用して栽培されるのが「ちぢみほうれん草(寒締めほうれん草)」です。葉はちぢれており、甘みが強く、えぐみは通常のほうれん草よりも少ないのが特徴です。
ほうれん草の種は春まき、夏まき、秋まきがあり、周年お店に並びます。トンネル栽培を駆使すれば、ほぼ通年栽培が可能です。
ほうれん草の栽培に必要なもの
ほうれん草を育てるために必要なものは以下のとおりです。
- ほうれん草の種
- プランターや鉢
- 培養土
- 苦土石灰とたい肥(地植えの場合)
- 鉢底石と鉢底ネット
- 肥料
- スコップ
- ジョウロ
- 園芸ハサミ
ほうれん草は、種から育てる方法が一般的です。家庭菜園であれば、1袋で十分な量のほうれん草を収穫できるでしょう。
初めてのプランター栽培では野菜用の培養土を使用するのがおすすめです。
深さ20cmほどの一般的なプランターを用意するといいでしょう。
地植えの場合は、苦土石灰とたい肥で土作りをすると、ほうれん草が好む環境を整えられます。
【初心者向け】ほうれん草の栽培方法
ほうれん草などの葉物野菜は、成長が早く手軽に栽培できることから、初心者にもおすすめです。しかし、家庭菜園では環境づくりを間違えてしまうとうまく育ちません。
ほうれん草が好む日当たりや水やり、肥料やりのポイントを解説します。栽培のコツを知って、おいしいほうれん草を育てていきましょう。
日当たり・置き場所・温度
ほうれん草の栽培に最適な環境は、日当たり〜半日陰で風通しの良い場所です。夜の外灯に当たると「トウ立ち」を起こして茎がかたくなるため、置き場所に注意しましょう。
生育適温は15〜20℃で、25℃を超えると生育が悪くなります。夏の暑さや冬の厳しい寒さは避け、適度な温度を保てる時期に栽培していきましょう。
土づくりの仕方
ほうれん草は、弱アルカリ性~中性の土壌を好みます。
プランター栽培の場合、市販の野菜用培養土を使用すれば問題ありません。
地植えにする場合、日本の土壌は酸性に傾きがちなので、アルカリ性の苦土石灰などで酸度を調整してください。
また、ほうれん草は水はけの良い土を好むため、水はけが悪い場合は畝の高さで調整してください。
種まきの仕方
ほうれん草には様々な品種があり、通年種まきが可能ですが、初心者におすすめなのは3〜5月の春まきと9〜11月の秋まきです。ほうれん草の発芽適温は15〜20℃のため、一般地の上記の時期であれば保温対策や寒さ対策をすることなく栽培できるでしょう。
購入した種袋の裏面を確認してから、まく時期を決めるようにしましょう。春まきでは、気温が上がる前に種まきを終えるのが上手に育てるためのコツです。
ほうれん草の種がうまく発芽しない場合は「発芽処理」をおこなうのもおすすめ。一晩水につけた種をキッチンペーパーなどで包み、冷蔵庫で数日保管してからまくと発芽率が上がります。
種まきは、地植えの場合は15cmの株間を目安に、一般的な標準プランター(約60cm×25cm)では10cmの株間を目安に2列のまき筋を作ります。種はパラパラと筋まきにするか、1cm間隔を目安にまいてください。
種をまいたら軽く土をかぶせて、種と土が密着するようにおさえ、種が流れないようにやさしくたっぷりと水やりをしましょう。
水やりの仕方
ほうれん草は適度な湿度を好むため、乾燥させ過ぎないように管理するのがポイントです。プランター栽培の場合は、土の表面が乾いたら水をたっぷりと与えましょう。水やりは午前中に1回が目安です。
地植えの場合は、基本的に水やりは不要。ただし、種まきをしたらたっぷりの水を与えて、発芽するまで乾燥を防ぐことが大切です。また、乾燥が続く時期はよく観察し、必要に応じて水やりをするといいでしょう。
間引きの仕方
発芽後、ほうれん草が一定の大きさに育ったら「間引き」をおこないます。勢いのある株を選別し、栄養や光が均等に行き渡るようにするためのとても重要な手入れです。
発芽後、本葉が1〜2枚出たころが1回目の間引きのタイミング。隣の葉と触れ合う程度に、3cm間隔にしていきましょう。草丈が5〜6cmになったら、5〜6cmの間隔を目安に2回目の間引きをおこないます。
間引きのコツは、茎が太くしっかりしている株を残すこと。間引きが遅れると根元に日が当たらずに、ひょろひょろとした株になってしまうため注意しましょう。
間引きした葉っぱは、ベビーリーフとしてみそ汁などでおいしく味わえます。
肥料のやり方
ほうれん草を植え付ける前には、土に元肥を混ぜ込んでおきましょう。はじめから元肥が入った培養土を使うのもおすすめです。
本葉が成長し、草丈が10cmほどまで育ったら、成長を促すために追肥として速効性の化成肥料を与えましょう。10gくらいを目安に株元に与えてください。
肥料を与える際には、土をほぐしながら肥料を混ぜ込み、株元をおさえてほうれん草が倒れないように土寄せをおこなうのがポイントです。
収穫の仕方とタイミング
ほうれん草が20〜30cmの大きさに成長したら収穫の時期です。大きく成長している株から順に収穫していきましょう。
根元の部分を持って引き抜くか、生え際をハサミなどで切り取ります。ほうれん草は間引きした葉っぱもおいしく食べられるので、毎日少しずつ収穫して新鮮な状態を長く楽しむのもおすすめです。
ほうれん草の病気・害虫対策
病害虫に強く、無農薬栽培も可能なほうれん草ですが、土壌環境が悪いとべと病やアブラムシなどの病害虫が発生するおそれがあります。
ほうれん草栽培で注意する病害虫と対策について確認しておきましょう。
べと病
ほうれん草の栽培でもっとも注意すべき病気が「べと病」です。5〜10月に多く発生し、葉の裏に淡黄色の斑紋がつきます。
病気の葉っぱを見つけたら、すみやかに取り除いていきましょう。対策としては、風通しを良くする、過湿にならないようにする、病気に強い品種を選ぶなどが挙げられます。
病気を防ぐためにも適切なタイミングで間引きをおこない、風通しの良い環境を保つことが大切です。また、地植えの場合は、毎年同じ場所で育てる「連作栽培」を避けることも病気の予防につながります。
アブラムシ類・ヨトウムシ類
アブラムシ類やヨトウムシ類は、ほうれん草の新芽や葉を食害する害虫です。アブラムシは小さな群れをつくって植物の汁を吸い、ヨトウムシは葉を食べてしまいます。
定期的に葉の裏を確認し、なるべく早く発見して駆除することが大切です。また、間引きをおこない、常に風通しが良い環境をつくることも害虫対策として欠かせません。
健康な株は病害虫がつきにくくなります。健康で元気な株に育てて、病害虫を防いでいきましょう。
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食卓に彩りを与えてくれるほうれん草は、初心者の方でも簡単に栽培できる野菜です。家庭菜園で育てれば、新鮮で栄養価の高いほうれん草を手軽に収穫できます。
ほうれん草栽培のポイントは、酸性土壌や植え替えを避け、適切なタイミングで種まきや間引きをおこなうこと。春まきでも秋まきでも育てられるため、本記事を参考に、ぜひほうれん草の栽培を始めてみてください。