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【獣医師監修】猫の耳掃除は必要?正しい頻度と安全なやり方を初心者向けに解説!

【獣医師監修】猫の耳掃除は必要?正しい頻度と安全なやり方を初心者向けに解説!

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愛猫の耳を見て、「汚れているかも?」「耳掃除ってした方がいいのかな?」と疑問に思ったことはありませんか。しかし、やり方が分からなかったり、猫が嫌がって暴れたりしたら傷つけてしまうかもしれないと、不安に感じる飼い主さんは少なくありません。

この記事では、猫の耳掃除の本当の必要性から、初心者の方でも安心してできる正しいケアの方法、そして注意点までを詳しく解説します。愛猫との信頼関係を深めながら、健やかな毎日をサポートしてあげましょう。

猫の耳掃除は基本的に不要って本当?

耳掃除されている猫

「猫の耳掃除は毎日するもの」と思われがちですが、実は多くの猫にとって、頻繁な耳掃除は必ずしも必要ではありません。むしろ、やりすぎは耳のトラブルを招く可能性もあります。まずは、猫の耳が持つ素晴らしい能力と、耳掃除が必要になるケースについて理解を深めましょう。

ケアの必要性 特徴 具体例
特にケアが必要 折れ耳、垂れ耳の猫種 スコティッシュフォールド、アメリカンカールなど
長毛種の猫 ペルシャ、ヒマラヤンなど
高齢の猫、アレルギー体質の猫 個体差による
基本的に不要 短毛種で立ち耳の健康な猫 ほとんどの雑種、アメリカンショートヘアなど

猫の耳が持つ自浄作用の仕組み

猫の耳には、本来「自浄作用」という機能が備わっています。これは、耳の内部の皮膚が鼓膜の方から外側に向かって少しずつ新陳代謝で生まれ変わり、古い角質や分泌物などの耳垢を自然に外へと排出する仕組みです。そのため、健康な猫であれば、無理に耳の奥まで掃除をしなくても、耳の中は清潔に保たれるのです。

耳掃除が必要になる猫の特徴とは

座っている猫

ほとんどの猫は自浄作用によって耳の健康を保てますが、猫種や個体差によっては、耳のケアが必要になる場合があります。
特に、スコティッシュフォールドに代表されるような折れ耳の猫は注意が必要です。折れ耳の猫は耳の中の通気性が悪く、湿気がこもりやすいため、耳垢が溜まりやすく細菌や真菌(しんきん)が繁殖しやすい環境になりがちです。
また、長毛種の猫や、アレルギー体質、高齢でセルフグルーミングが十分にできなくなった猫も、耳のトラブルが起こりやすくなるため、定期的なチェックとケアが推奨されます。

ケアの前に確認!猫の耳の健康チェック

耳を掃除中の猫

耳掃除を始める前に、まずは愛猫の耳が今どのような状態にあるのかを確認することが非常に重要です。正常な状態を知っておくことで、いざという時の異常に素早く気づくことができます。

状態 臭い 耳垢 猫の様子
健康な耳 薄いピンク色 ほぼ無臭 ほとんどないか、少量 落ち着いている
異常な耳 赤く腫れている 甘酸っぱい、または腐敗臭 大量、黒い、黄色いなど 頭を振る、しきりに掻く

これが正常!健康な猫の耳の状態

健康な猫の耳は、内側がほんのりとしたピンク色をしており、目立つ汚れや気になる臭いはほとんどありません。耳のしわの溝に、少量の黒っぽい耳垢がうっすらと付着している程度であれば、それは生理的なものであり、特に心配する必要はないでしょう。まずは、この健康な状態を基準として覚えておきましょう。

すぐに病院へ!危険な耳の異常サイン

もし、耳の内側が赤く腫れていたり、黄色や緑色の膿のような耳だれが出ていたりするサインが見られた場合は、単なる汚れではなく外耳炎などの病気が隠れている可能性があります。また、コーヒーかすのような黒く乾いた耳垢が大量にある場合や、普段と違う強い臭いがする場合、頻繁に頭を振ったり後ろ足で耳をしきりに掻いたりする場合も同様です。自宅でケアしようとせず、速やかに動物病院を受診してください。

これらの症状は、猫にとって強いかゆみや痛みを伴うことがあります。早期発見・早期治療が、愛猫の負担を和らげる鍵となります。

猫の耳掃除に最適な頻度は?

耳を掃除中の猫

猫の耳掃除は、やりすぎてもやらなすぎてもいけません。愛猫の猫種や耳の状態に合わせて、最適な頻度で行うことが大切です。ここでは、基本的な推奨頻度と、特に注意が必要な猫種について解説します。

猫のタイプ チェックの頻度 掃除の頻度
立ち耳の猫 週1回~月1回 汚れが気になったとき
垂れ耳の猫 3日に1回 週1回程度
耳トラブル経験のある猫 獣医師の指示に従う 獣医師の指示に従う

基本は月1回程度のチェックで十分

健康な立ち耳の猫の場合、本格的な耳掃除は頻繁に行う必要はありません。まずは週に1回から月に1回程度、耳の中を覗いて汚れや臭いがないかチェックする習慣をつけましょう。そして、「少し汚れてきたな」と感じたタイミングで掃除してあげるくらいが丁度良い頻度です。汚れてもいないのに頻繁に掃除をすると、かえって耳の皮膚を傷つけ、トラブルの原因になることもあるので注意が必要です。

スコティッシュフォールドは特に注意が必要

垂れ耳が特徴のスコティッシュフォールドは、他の猫種に比べて耳のトラブルを起こしやすい傾向にあります。垂れた耳が蓋の役割をしてしまい、内部の通気性が悪くなることで、湿度が高まり細菌などが繁殖しやすくなるためです。そのため、3日に1回程度のこまめなチェックと、週に1回程度の定期的な掃除を心がけると、病気の予防につながります。

 

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猫の耳掃除で準備するものリスト

耳掃除中の猫

安全で効果的な耳掃除のために、適切な道具を準備しましょう。人間用のものは猫にとって刺激が強すぎたり、サイズが合わなかったりするため、必ず猫専用のものを用意してください。

準備するもの 選び方のポイント 役割
イヤークリーナー 猫専用、アルコールフリー、低刺激性 耳垢を浮かせて汚れを落としやすくする
コットン・ガーゼ 柔らかい素材のもの 浮かせた汚れを優しく拭き取る
おやつ 猫のお気に入りのもの ケアを良い印象にし、習慣化を助ける

耳掃除用の洗浄液(イヤークリーナー)

猫の耳掃除には、専用のイヤークリーナーを使用します。アルコール成分が含まれているものは刺激になる可能性があるため、アルコールフリーで低刺激性の製品を選ぶと良いでしょう。洗浄液は耳垢を柔らかくして、汚れを浮き上がらせる効果があり、こびりついた汚れも優しく取り除くことができます。

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汚れを拭き取るためのコットンやガーゼ

洗浄液で浮かせた汚れを拭き取るために、コットンやガーゼを用意します。猫の耳の皮膚は非常にデリケートなため、柔らかくて優しい素材のものを選んでください。ティッシュペーパーは硬く、繊維が耳の中に残りやすいため避けましょう。コットンは、指に巻きつけて使うのに便利です。

ケア後のご褒美になるおやつ

耳掃除は、多くの猫にとって得意なことではありません。そこで重要になるのが、ケア後のご褒美です。耳掃除が終わった後に、大好きなおやつを与えたり、たくさん褒めてあげたりすることで、「耳掃除=良いことがある」と学習し、次回からのケアがスムーズになります。

 

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自宅でできる!猫の耳掃除の正しい手順

耳掃除中の猫

道具が準備できたら、いよいよ耳掃除の実践です。猫にストレスを与えず、安全に行うための手順とコツを4つのステップで紹介します。焦らず、飼い主さん自身がリラックスして臨むことが成功への第一歩です。

手順 内容 コツ・注意点
ステップ1 猫をリラックスさせる 撫でたり優しく声をかけたりして安心させる
ステップ2 コットンを洗浄液で湿らせる 液が垂れない程度に、たっぷりと湿らせる
ステップ3 見える範囲の汚れを拭う 耳の奥には入れず、優しく撫でるように拭く
ステップ4 褒めてご褒美をあげる ケアを良い体験として記憶させる

手順1:まず愛猫をリラックスさせる

耳掃除を始める前に、まずは愛猫が安心できる環境を整えましょう。猫が撫でられて気持ちよさそうにしている時や、うとうとしている時がチャンスです。優しく声をかけながら、まずは耳以外の部分を撫でてリラックスさせてあげてください。

手順2:コットンに洗浄液を湿らせる

リラックスしているのを確認したら、コットンやガーゼにイヤークリーナーをたっぷりと染み込ませます。この時、液が垂れないように軽く絞るのがポイントです。洗浄液を直接猫の耳に注ぎ込む方法もありますが、嫌がる猫が多いため、まずはコットンに湿らせて拭う方法から試してみるのが良いでしょう。

手順3:見える範囲の汚れを優しく拭う

洗浄液を染み込ませたコットンを指に巻き、猫の耳を優しくめくって、見える範囲の汚れを拭き取っていきます。この時、汚れを耳の奥に押し込まないように、内側から外側に向かって優しく拭うのがコツです。ゴシゴシと強くこすると皮膚を傷つけてしまうので、撫でるような力加減で行いましょう。

手順4:終わったらたくさん褒めてあげる

耳掃除が終わったら、すぐに解放してあげましょう。そして、「よく頑張ったね」「えらかったね」とたくさん褒めて、とっておきのおやつをご褒美として与えます。このポジティブな締めくくりが、猫の「耳掃除嫌い」を防ぐ最も重要なポイントです。

 

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これだけは守って!耳掃除のNG行動

耳を掃除中の猫

愛猫の耳を想うあまりの行動が、かえって耳を傷つけたり、猫に恐怖心を与えてしまったりすることがあります。ここでは、耳掃除を行う際に絶対に避けるべきNG行動を3つ紹介します。

NG行動 理由 正しい対処法
綿棒を耳の奥に入れる 耳道(じどう)を傷つけたり、汚れを押し込む危険性がある 見える範囲をコットンで優しく拭う
人間用ウェットティッシュの使用 成分が刺激になり、皮膚トラブルの原因になる 猫用イヤークリーナーや水で湿らせたコットンを使う
無理やり押さえつける 猫がトラウマになり、ケアが困難になる 嫌がるそぶりを見せたら中断し、日を改める

綿棒を耳の奥に入れるのは絶対NG

人間用の綿棒を猫の耳に使うのは非常に危険です。猫の耳道はL字型に曲がっており、人間の耳とは構造が異なります。綿棒を奥に入れると、耳垢をさらに奥へと押し込んでしまったり、デリケートな耳の皮膚や鼓膜を傷つけてしまったりするリスクが非常に高いです。掃除は必ず、指が届く見える範囲だけにしてください。

人間用のウェットティッシュは使わない

人間用に作られたウェットティッシュや、アルコール成分を含む消毒シートなどは、猫の皮膚にとって刺激が強すぎる場合があります。かぶれや炎症を引き起こす可能性があるため、絶対に使用しないでください。耳掃除には、必ず猫専用に作られたイヤークリーナーや、水で湿らせたコットンを使用しましょう。

無理やり押さえつけて掃除しない

猫が嫌がって暴れているのに、力ずくで押さえつけて掃除を強行するのはやめましょう。猫にとって耳掃除がトラウマとなり、今後耳を触られること自体を極端に嫌がるようになってしまいます。一度で完璧にやろうとせず、少しでもできたら褒めて終わりにするくらいの気持ちで臨むことが大切です。

愛猫が耳掃除を嫌がるときの対処法は?

耳掃除されている猫

どんなに優しく試みても、耳を触られること自体を嫌がる猫は少なくありません。そんな頑固な「耳掃除嫌い」の愛猫には、どう対処すれば良いのでしょうか。焦らずに試せる3つの方法をご紹介します。

対処法 具体的な方法 ポイント
少しずつ慣らす 短時間耳に触る→ご褒美、を繰り返す 焦らず、ポジティブな経験を積み重ねる
2人がかりで行う 一人が保定し、もう一人がケアする 優しく支え、素早く終わらせる
プロに相談する 動物病院やペットサロンに依頼する 無理せず、専門家の力を借りることも大切

短い時間から少しずつ慣らす

まずは「耳に触る=嫌なことじゃない」と覚えてもらうことから始めましょう。普段リラックスしている時に、ほんの数秒だけ耳を優しく触ってみます。できたらすぐにご褒美をあげてください。これを繰り返し、少しずつ触る時間を延ばしていきます。耳掃除本番も、まずは片耳の見えるところをサッと拭くだけで終わりにするなど、ハードルを下げて段階的に慣らしていくことが成功への近道です。

2人がかりで協力して行う

どうしてもじっとしていられない猫の場合は、家族など2人で協力して行うのも有効な方法です。一人が猫を優しく抱きかかえて安心させながら動きをコントロールし、もう一人が素早くケアを行います。この時も、押さえつけるというよりは、優しく体を支えてあげるイメージで行うのがポイントです。

どうしても無理な場合は動物病院に相談する

いろいろ試しても自宅でのケアが難しい場合や、飼い主さんがケアをすること自体に強いストレスを感じてしまう場合は、無理をする必要はありません。動物病院やトリミングサロンなど、プロに任せるという選択肢もあります。専門家であれば、猫を安全かつ上手に保定し、手際良くケアをしてくれます。また、定期的にプロに状態を見てもらうことで、病気の早期発見にもつながります。

関連サイト

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猫の耳のトラブルに関するよくある質問

耳掃除中の猫

ここでは、猫の耳に関して飼い主さんからよく寄せられる質問にお答えします。気になる症状がある場合は、自己判断せずに獣医師に相談することが基本です。

黒い耳垢は耳ダニが原因ですか?

黒い耳垢が見られる場合、耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の感染が疑われます。耳ダニに感染すると、乾燥した黒いコーヒーかすのような耳垢が大量に出るのが特徴で、非常に強いかゆみを伴います。ただし、黒っぽい耳垢は、マラセチアという真菌(しんきん)の一種が増殖した場合にも見られることがあります。原因によって治療法が異なるため、黒い耳垢に気づいたら、まずは動物病院で正確な診断を受けることが重要です。

耳掃除をしても頭を振るのはなぜですか?

耳の見える範囲をきれいに掃除しても、まだ頭を頻繁に振ったり、耳を気にしたりする様子が見られる場合は、外耳炎が悪化して中耳炎や内耳炎にまで炎症が及んでいる可能性があります。耳の奥のトラブルは、家庭での耳掃除では対処できません。治療が遅れると聴力に影響が出ることもあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

まとめ

毛づくろいしている猫

猫の耳掃除は、必ずしも全ての猫に頻繁に必要なわけではありません。まずは愛猫の耳の状態を定期的にチェックし、汚れが気になるときに、正しい方法で優しくケアしてあげることが基本です。もし異常が見られたり、自宅でのケアが困難だったりする場合は、決して無理せず動物病院を頼ってください。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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