【獣医師監修】猫の留守番は何日まで？安心して外出するための準備と注意点を解説

愛する猫を家に残して外出するのは、飼い主さんにとって心配なことでしょう。特に初めて猫を飼う方や、長い時間家を空ける予定がある方は、「何日までなら大丈夫だろうか」「どんな準備をすればいいのか」と不安に思うかもしれません。しかし、適切な準備と対策をすれば、猫も飼い主さんも安心して留守番の時間を過ごすことができます。この記事では、猫の留守番の限界日数から、具体的な準備、注意点、そして便利なグッズまでを詳しく解説します。

猫の留守番は何日までが限界？

猫だけでお留守番ができる日数は、猫の年齢や健康状態、性格によって大きく異なります。まずは、一般的な目安を理解し、ご自身の猫に合った判断をすることが重要です。ここでは、猫の状況別に留守番の限界について解説します。

健康な成猫は1泊2日が目安

心身ともに健康な成猫の場合、留守番の限界は一般的に1泊2日、時間にして24～48時間程度とされています。猫は環境の変化に敏感な動物ですが、縄張り意識が強いため、ペットホテルなどに預けられるよりも住み慣れた自宅で過ごす方がストレスが少ない場合も多いです。ただし、これはあくまで食事や水、トイレの環境が適切に整えられていることが前提となります。普段から飼い主がいない状況に慣れているかどうかも、大切な判断材料になるでしょう。

2泊3日以上は事前の対策が必須

2泊3日以上の長期間にわたって家を空ける場合は、事前の対策が必須です。自動給餌器や自動給水器、複数設置したトイレだけでは、衛生面の悪化や万が一のトラブルに対応できません。3日以上の留守番をさせるのであれば、家族や友人に様子を見に来てもらうやペットホテルを利用する、あるいはペットシッターを依頼するなど、人の手を借りることを検討すべきです。専門家にお願いすることで、猫の安全を確保できるだけでなく、飼い主の精神的な負担も大きく軽減されます。

子猫や老猫の長時間の留守番は避ける

生後1年未満の子猫や7歳以上の老猫（シニア猫）に長時間の留守番をさせるのは避けるべきです。子猫は消化器官が未発達で、一度に多くの量を食べられないため、食事の回数を分ける必要があります。また、体温調節機能も未熟で、予期せぬ事故に遭う可能性も成猫より高いです。一方、老猫は持病を抱えていたり、体調が急変しやすかったりします。体力も衰えているため、食事や水の摂取、トイレが思うようにいかないことも考えられます。子猫や老猫の場合は、できるだけ誰かがそばにいる環境を整えることが理想です。

外出前にすべき留守番の万全な準備

愛猫が安全で快適に留守番を過ごすためには、飼い主による事前の準備が何よりも大切です。食事や室温、安全対策など、出発前に必ず確認すべきポイントは多岐にわたります。ここでは、万全な準備を整えるための具体的な項目を一つずつ見ていきましょう。

食事と水を十分に用意する

留守番中の食事は、腐敗の心配が少ないドライフードが適しています。家を空ける日数分よりも少し多めの量を、複数の皿に分けて用意しておくと安心です。一か所にまとめて置くと、猫が一気に食べてしまう可能性があります。水も同様に、新鮮なものを複数の場所に置いておきましょう。器を倒してしまう可能性も考えて、重さのある器を選ぶなどの工夫も有効です。衛生面を考慮し、出発の直前に新しいものと交換してください。自動給餌器や自動給水器の使用も検討するといいでしょう。

▶自動給餌器｜ホームセンターコーナンの通販サイト

猫が快適に過ごせる室温と湿度を保つ

猫が快適に過ごせる室温は、一般的に25℃程度と言われています。夏場は26～28℃、冬場は23～25℃を目安にエアコンの温度を設定して外出するのが望ましいです。湿度は40～60％を保つようにしましょう。停電や故障のリスクも考慮し、夏はひんやりするマット、冬は暖かい毛布など、猫自身が体温調節できる場所を用意してあげると、より安心できます。

トイレは清潔に数を多く用意する

猫はきれい好きな動物です。そのため、トイレが汚れていると排泄を我慢してしまい、膀胱炎などの病気の原因になることがあります。留守番をさせる際は、普段使っているトイレをきれいに掃除するのはもちろん、追加で新しいトイレを設置するのが理想です。目安としては、「現在使用しているトイレの数にプラス1個」を用意すると良いでしょう。猫が安心して排泄できる環境を整えることは、健康維持のために不可欠です。

▶猫用トイレ｜ホームセンターコーナンの通販サイト

誤飲や事故につながるものを片付ける

留守番中は、飼い主の目が行き届かないため、思わぬものが事故につながる危険があります。猫が口にしてしまいそうな小さな物、例えばアクセサリーや輪ゴム、薬などは必ず引き出しの中にしまいましょう。ビニール袋や電気コードも、猫がじゃれているうちに首に絡まったり、感電したりする恐れがあるため、しっかりと片付けてください。また、観葉植物の中には猫にとって有毒なものも多いため、猫が近づけない場所に移動させる必要があります。

ドアや窓の戸締りを徹底する

猫の脱走事故を防ぐため、外出前にはすべてのドアや窓の戸締りを徹底的に確認してください。特に、網戸は猫が簡単に開けてしまうことがあるため、市販の網戸ロックや網戸ストッパーなどで対策しましょう。また、お風呂場やクローゼット、押し入れなどに猫が閉じ込められてしまう事故も少なくありません。猫に入ってほしくない場所のドアは必ず閉めておき、猫がどこにいるかを確認してから家を出る習慣をつけましょう。

▶網戸ロック（サッシ用補助錠）｜ホームセンターコーナンの通販サイト

猫は一つの部屋に閉じ込められるとストレスを感じやすくなります。また万が一夏場に停電が起きた場合、締め切った部屋だと熱中症になるリスクが高まります。そのため、猫が入っても問題ない部屋はドアストッパーで固定するなどして、自由に行き来できるようにしておくと安心です。

留守番中に起こりうる事態と対策

どれだけ万全に準備をしても、留守番中には予期せぬ事態が起こる可能性があります。しかし、あらかじめ起こりうるトラブルを想定し、対策を講じておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。ここでは、留守番中によくある問題とその対策について解説します。

寂しさによるストレス行動への対策

飼い主と離れることで、猫が寂しさや不安を感じ、ストレス行動を起こすことがあります。例えば、過剰に自分の体を舐める「過剰グルーミング」や、トイレ以外で排泄してしまう「粗相」、大きな声で鳴き続けるといった行動です。これらの対策として、飼い主の匂いがついた毛布や服をベッドに置いてあげると、猫が安心して過ごせることがあります。また、一人でも遊べるおもちゃを用意し、退屈を紛らわせる工夫も効果的です。

盗み食いやゴミ箱漁りへの対策

お腹が空いたり、退屈したりすると、猫は普段はしないような行動をとることがあります。キッチンに残された人間の食べ物を盗み食いしたり、ゴミ箱を漁ってしまったりするのはその一例です。人間の食べ物の中には、猫にとって有害なものが多く含まれています。留守番をさせる際は、食品を必ず戸棚や冷蔵庫にしまい、ゴミ箱は必ず蓋つきのものを選びましょう。猫の届かない場所に移動させておくと、さらに安全です。

エアコンのリモコン誤操作への対策

快適な室温を保つためにエアコンをつけて外出したのに、猫がリモコンを踏んでしまい、設定が変わったり電源が切れたりするケースがあります。特に夏場や冬場にこれが起こると、猫の命に関わる事態になりかねません。対策としては、リモコンを猫の手が絶対に届かない場所に置くのが最も確実です。壁掛けホルダーに設置したり、引き出しにしまったりするのを忘れないようにしましょう。リモコンの誤操作を防ぐカバーを利用するのも良い方法です。

帰宅後に確認したい愛猫の様子

無事に帰宅したら、まずは愛猫の様子をしっかりと確認し、不安な時間を過ごした心を癒してあげることが大切です。留守番によるストレスや体調の変化は、すぐに行動に表れるとは限りません。些細なサインを見逃さないよう、注意深く観察しましょう。

ストレスサインを見逃さない

帰宅後は、まず猫の全体的な様子を確認してください。食欲はいつも通りか、水は飲んでいるか、トイレは正常に排泄できているか、といった基本的な健康状態のチェックは欠かせません。加えて、しきりに体を掻いていたり、毛が抜けていたりしないか、あるいは部屋の隅に隠れて出てこない、攻撃的になっているなど、行動に変化がないかも観察しましょう。下痢や嘔吐といった分かりやすい症状だけでなく、こうした細かな変化がストレスのサインである可能性があります。

優しく声をかけスキンシップをとる

飼い主の帰宅に興奮している猫もいれば、少しそっけない態度をとる猫もいます。どんな反応であっても、まずは焦らず、猫のペースに合わせてあげましょう。大きな声を出したり、無理に抱きしめたりするのではなく、「ただいま」「良い子で待ってたね」と優しく声をかけることから始めてください。猫が自分からすり寄ってきたら、たくさん撫でてあげたり、お気に入りのおもちゃで遊んであげたりして、コミュニケーションの時間を楽しみましょう。留守番を頑張った愛猫を労い、安心させてあげることが何より大切です。

留守番の不安を解消する便利グッズ

最近では、技術の進歩により、飼い主の留守番に対する不安を軽減してくれる便利なペット用品がたくさん登場しています。これらのグッズをうまく活用することで、猫はより快適に、飼い主はより安心して外出することができます。ここでは、特におすすめの3つのグッズを紹介します。

自動給餌器で定時定量のご飯

自動給餌器（オートフィーダー）は、設定した時間になると自動で決まった量のフードが出てくる便利なアイテムです。これを使えば、食事の時間を気にすることなく、猫はいつも通りの時間に新鮮なご飯を食べられます。特に、一気に食べてしまう癖のある猫や、肥満気味で食事管理が必要な猫にとっては、健康維持の強い味方となるでしょう。製品によっては、飼い主の声を録音して再生できる機能もあり、猫に安心感を与えられます。

▶自動給餌器｜ホームセンターコーナンの通販サイト

見守りカメラで外出先から確認

見守りカメラ（ペットカメラ）を設置すれば、スマートフォンのアプリなどを通じて、外出先からいつでも愛猫の様子を確認できます。元気で過ごしているか、何か変わったことはないかと、リアルタイムで姿を見られるだけで、飼い主の心配は大きく和らぎます。製品には、カメラの角度を遠隔操作できるものや、マイクを通じて声をかけられるもの、さらにはおやつをあげられる機能がついたものまであり、留守番中のコミュニケーションツールとしても役立ちます。

退屈させない電動おもちゃ

猫が一人で留守番をしている時間は、退屈しがちです。運動不足やストレスが溜まると、問題行動につながることもあります。そこで役立つのが、猫が一人でも遊べる電動のおもちゃです。光や羽がランダムに動くものや、ボールが転がり続けるものなど、様々な種類があります。猫の狩猟本能を刺激し、楽しみながら運動不足を解消できるでしょう。タイマー機能付きの製品を選べば、飼い主がいない間だけ作動させることも可能です。

▶猫用おもちゃ｜ホームセンターコーナンの通販サイト

まとめ

猫の留守番は、健康な成猫であれば1泊2日が目安ですが、最も重要なのは日数の長さではなく、事前の準備です。食事や水、トイレ、室温管理といった環境を万全に整え、愛猫の安全と快適さを最優先に考えましょう。この記事で紹介した準備や対策を参考にして、飼い主さんも猫も安心して過ごせる留守番を実現してください。