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【獣医師監修】ミニチュア・ダックスフンドの特徴|性格や飼い方のポイントを解説

【獣医師監修】ミニチュア・ダックスフンドの特徴|性格や飼い方のポイントを解説

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ミニチュア・ダックスフンドは、胴長短足の体型と愛くるしい顔が特徴の犬種です。小型犬ですが、もともと狩猟犬であったことから体はたくましく、飼い主さんにも忠実。飼いやすいペットとして日本では人気があります。これからお迎えしたいと思っている方もいるのではないでしょうか。

今回は、ミニチュア・ダックスフンドの基礎知識や飼い方のポイント、かかりやすい病気について紹介します。ミニチュア・ダックスフンドについて理解を深め、万全の状態でお迎えしましょう。

ミニチュア・ダックスフンドの特徴

ミニチュア・ダックスフンドの特徴
ドイツ語で「アナグマ犬」という意味を持つダックスフンドは、巣穴にいるアナグマを狩る狩猟犬として改良された犬種です。発達した胸や筋肉質で引き締まった体型が特徴的で、面長の顔や垂れた耳、アーモンドアイがチャームポイント。穴を掘ったり、匂いを嗅いで獲物を追いかけたりするなど、狩猟犬としての気質が色濃く残っています。

ダックスフンドは、体格によってスタンダード・ミニチュア・カニンヘンの3つに分けられ、もっとも多く飼われているのがミニチュア・ダックスフンドです。日本においてはトイプードルやチワワに次ぐ人気の種類で、多くの飼い主さんを魅了しています。

ルーツ

ドイツが原産のダックスフンド。名前の由来は、ドイツ語でアナグマを意味する「ダックス(Dachs)」と犬を意味する「フント(Hund)」です。

ダックスフンドの歴史は古く、16世紀にはスタンダードのダックスフンドがアナグマの狩猟犬として活躍していたといわれています。ミニチュア・ダックスフンドが登場したのは19世紀以降で、イタチやウサギを狩るために、スタンダードよりも小型の狩猟犬として改良され誕生しました。

1988年にはダックスフンド愛好者たちによって「ドイツ・テッケルクラブ(Deutsche Teckelklub)」が創立され、ダックスフンドの繁殖に力を注ぎました。日本には明治時代に入ってきたとされており、1955年ごろに広まりました。2000年代は長年にわたりJKC登録犬種数第1位をキープし、現在も人気の高い犬種です。

大きさ

ダックスフンドは、生後15カ月を経過した時点で胸囲を計測し、数値によってスタンダード・ミニチュア・カニンヘンに分類されます。なお、計測はほかの犬種と異なり、体高よりも胸囲が重視されています。

  • スタンダード:オス 37cm超~47cm以下・メス 35cm超~45cm以下 /体重:約9~12㎏
  • ミニチュア:オス 32cm超~37cm以下・メス 30cm超~35cm以下 /体重:5㎏以下
  • カニンヘン:オス 27cm超~32cm以下・メス 25cm超~30cm以下 /体重:3~3.5kg

体重はあくまで理想です。いずれの種類も胴長短足の外見ながら、頑丈な骨と筋肉、柔軟性があり、高い運動能力を備えています。

平均寿命

ミニチュア・ダックスフンドの平均寿命は13〜16歳。人間に換算すると、68〜80歳です。

犬は大きさによって平均寿命が異なり、小型犬ほど長生きするといわれています。ミニチュア・ダックスフンドは長寿の部類に入り、近年は18歳くらいまで生きるなど、平均寿命を優に超えることも珍しくありません。

小型犬のなかでも、比較的長生きする犬種といえるでしょう。

 

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ミニチュア・ダックスフンドの被毛と性格

ミニチュア・ダックスフンドの被毛と性格
ミニチュア・ダックスフンドは、活発で遊びが大好き。ほかの飼い主さんやほかの種類の犬とも仲良くできるフレンドリーな性格をしていますが、以下の毛質によって性格が異なります。

  • スムースヘアー
  • ロングヘアー
  • ワイヤーヘアー

それぞれの特徴と性格についてご紹介します。

スムースヘアー

スムースヘアー
スムースヘアーは、短く縮れのない、まっすぐな毛質のミニチュア・ダックスフンド。ほかのヘアーに比べると、抜け毛が少ないため、お手入れも楽なタイプです。

カラーのバリエーションは豊富で、レッド・ブラックタン・イエロー(クリーム)・チョコタン・シルバー系(ダップルなど)があり、カラーパターンは100を超えるといわれています。

性格は、好奇心が旺盛で活発。飼い主さんの指示に従う、忠実な性格をしていることも特徴的です。

狩猟犬として活躍していた初期のダックスフンドの特徴を強く残しており、ミニチュア・ダックスフンドの基礎犬ともいえる種類です。

ロングヘアー

ロングヘアー
ロングヘアーのミニチュア・ダックスフンドは、優しい性格で知られるスパニエル系の犬と交配して生まれたこともあり、温厚でおっとりとした性格です。

一方で、何事にもマイペースで自由奔放な面があり、いたずらも大好き。人懐っこく、犬界の楽天家とも呼ばれています。

カラーはスムーズヘアーと同じくバリエーションが豊富で、レッド・クリーム・ブラックタン・チョコタンなどさまざま。

毛質は長くて柔らかく、ウェーブしている部分もあります。とくに、耳や胸回り、前足やしっぽの辺りは伸びやすいため、毛が絡まらないよう定期的なお手入れが必要です。

ワイヤーヘアー

ワイヤーヘアー
ワイヤーヘアーは、活発なテリア系の犬と交配して生まれたミニチュア・ダックスフンドです。自立心が強くやんちゃで、運動が大好きな性格をしています。

剛毛で少しくるくるとしており、長めの毛が密集している毛質は、藪や巣穴などに入っても傷つかないように発達したもの。狩猟犬としての気質がよく表れており、眉毛のように見える毛はテリア系の犬らしさが残っています。

他の毛質と比べて、独特なカラーバリエーションがあり、くすんだ灰色に黒い差し毛をしたワイルドボア、黒と白が均一に混ざったようなドライ・リーフ、薄い小麦色のウィートンなどが挙げられます。

関連サイト

ショップにいるミニチュア・ダックスフンドを見てみる|pet Plazaコーナン

ミニチュア・ダックスフンドの特徴をふまえた飼い方

ミニチュア・ダックスフンドの特徴をふまえた飼い方
明るく陽気で、人懐っこいミニチュア・ダックスフンド。毎日元気良く過ごしてもらうには、飼育環境やお手入れに気を配る必要があります。飼い主さんとの良好な関係を築くために、しつけをしっかりとすることも大切です。

ここでは、ミニチュア・ダックスフンドの特徴をふまえて、飼い方やお手入れのポイントを解説します。

飼育環境

胴長短足のミニチュア・ダックスフンドは、椎間板ヘルニアなどの腰の病気にかかりやすい犬種です。階段の上り下りやジャンプなどの動作は腰に負担を与えてしまうため、滑りにくい床材にしたり、大きな段差を極力なくしたりして飼育環境を整えてあげましょう。

また、ミニチュア・ダックスフンドはもともと狩猟犬だったこともあり、本能的に何かを追う習性があります。小さなものは遊んでいるうちに誤飲するおそれがあるため、手の届かないところに置きましょう。

しつけ

ミニチュア・ダックスフンドは順応性が高く、飼い主さんと一緒に行動することが好きな犬種です。そのため、しつけも比較的しやすいといわれています。

一方で、獲物に対して吠えたり噛んだりする狩猟犬の性格が残っていることから、吠え癖や噛み癖がつきやすい犬種でもあります。これらの癖をつけないようにするためには、子犬のころからしつけることが大切です。

吠え癖をなくすための方法の一つとして何かを要求して吠えているときはかまわず、吠えるのを止めたときに褒めてあげるというやり方があります。吠えるのをやめさせるためにおやつをあげると、「吠えたらおやつをもらえる」と勘違いして、さらに吠えてしまうこともあるため気を付けましょう。人や電話などの生活音に吠える姿を見たら、飼い主さんが目を見て短く「ダメ」と叱りましょう。吠えるのを止めたら目いっぱい褒めてあげてください。

噛み癖をつけないようにするには、子犬のころからしつけることが大切です。子犬のころに甘噛みする癖がつくと、成犬になったときに、攻撃的になってしまうため注意しましょう。甘噛みする素振りを見せたら制止し、歯固め用のおもちゃなどを与えてください。それを噛んだら褒め、噛んではいけないものを噛んだら叱ります。これを繰り返すことで、噛み癖がなくなるでしょう。

犬種や個体の性格によっても様々なしつけのアプローチがありますので、色々な方法を試してみてください。

散歩

小さな体をしているミニチュア・ダックスフンドですが、とてもスタミナがあり、運動量が多いのが特徴です。毎⽇、朝⼣20分程度の散歩をさせてあげましょう。

散歩の時間が短いとストレスがたまるだけではなく、肥満のリスクも高まります。肥満になると腰に負担がかかり、椎間板ヘルニアを発症するおそれがあるため注意が必要です。

散歩に行けない雨の日は、室内で一緒に遊んであげましょう。おもちゃを投げて取りに行かせるなど、体を動かす遊びが効果的です。ロープの引っ張り合いなども喜んでくれますよ。

お手入れ

ミニチュア・ダックスフンドの健康を守るためには、日々の細やかなお手入れが欠かせません。ここでは、基本のお手入れを4つご紹介します。

ブラッシング

ブラッシングは毛艶を保つだけではなく、血行促進や皮膚トラブルの防止、しこりの発見など、犬の健康維持のために大切なお手入れです。なるべく毎日、少なくとも週1〜2回はおこないましょう。

ミニチュア・ダックスフンドの種類別のブラッシング方法は以下のとおりです。

  • スムースヘアー:毛が短いため、ブラッシングは比較的簡単です。ただし、ブラシの毛先が肌に直接当たりやすいため、毛先の柔らかい獣毛ブラシで、汚れ落とす程度にブラッシングしましょう。
  • ロングヘアー:長毛で絡まりやすいため、丁寧にブラッシングしてあげましょう。とくに、手足の付け根は毛がこすれて毛玉になりやすいため、重点的におこなってください。
  • ワイヤーヘアー:ゴワゴワしていてブラシが通りにくいため、ピンブラシやスリッカーブラシを使って優しくといてあげましょう。トリミングをしてお手入れを簡単にする飼い主さんもいます。

爪切り

爪切りは、事故やケガを防ぐために必要なお手入れです。伸びたままにすると、肉球に負担がかかって歩けなくなったり、根本から爪が折れて血管や神経が露出し、痛い思いをさせてしまったりすることがあります。常に適切な長さを保ちましょう。

フローリングを歩くときに、爪がカチャカチャと当たる音がしたら爪切りのサイン。体を優しく抱え込み、犬専用の爪切りで丁寧に切りましょう。犬の爪は円柱状になっていて分厚いため、角度を変えながら数回に分けて切るとスムーズにいきます。頻度は月に1回程度が目安ですが、伸びやすさには個体差もあるため、2〜3週間ごとに様子を見てください。

また、足裏の毛のケアも大切です。肉球の間から毛が伸びていると滑りやすくなり、転倒につながりかねません。足裏の毛は見逃しやすい部分のため、爪切りと一緒におこなうと忘れないでしょう。

歯磨き

あごや鼻が長いミニチュア・ダックスフンドは、歯周病になりやすい犬種です。歯の健康は寿命にもかかわるため、毎日歯磨きをしてあげましょう。

ミニチュア・ダックスフンドは口が小さく、奥歯までケアするのが難しいため、より丁寧に歯磨きをする必要があります。歯磨きを嫌がらないよう、最初は指に巻きつけたガーゼで軽く撫でる程度から始めてみてください。慣れてきたら、歯ブラシで歯と歯茎の間を優しくブラッシングしましょう。

耳掃除

ミニチュア・ダックスフンドのような垂れ耳は耳内の通気性が悪く、悪臭や汚れが発生しやすくなります。放っておくと雑菌が繁殖して炎症を起こすおそれがあるため、こまめに耳掃除をすることが大切です。

基本的には、濡れたタオルで拭く程度で問題ありませんが、汚れや匂いが気になる場合は、イヤーローションで拭き取りましょう。人間用の綿棒は、耳の中を傷つけることがあるため、使用しないでください。

頻度の目安は、週1回程度です。日ごろからこまめに耳の中をチェックし、必要に応じて掃除しましょう。

体重管理

ミニチュア・ダックスフンドは食欲が旺盛で、肥満になりやすい犬種です。肥満は椎間板ヘルニアのリスクを高めるだけではなく、心臓病や糖尿病、高血圧症を引き起こすおそれがあるため、飼い主さんは体重管理に気をつける必要があります。

ミニチュア・ダックスフンドの理想体重は、体型や年齢、性別によっても異なりますが、一般的には約4~5kgと言われています。上から見たときにウエストがくびれていたり、横から見たときに腹部からお尻にかけて細くなったりしていれば問題ありません。逆に、ウエストがくびれていない場合や、腹部が丸く垂れている場合は肥満傾向にあります。

肥満を防ぐためのポイントは、体重に応じた量の主食のフードを与え、オヤツは最低限にとどめることです。犬にとって人間の食事は味が濃すぎるため、与えないようにしてください。

ミニチュア・ダックスフンドがかかりやすい病気

ミニチュア・ダックスフンドがかかりやすい病気
ミニチュア・ダックスフンドは、その体型から椎間板ヘルニアを発症しやすく、さらに目の病気にもかかりやすい犬種です。病気予防のためにも早期発見を心がけ、小さな異変を見逃さないようにしましょう。日ごろからよく観察し、何か異変を感じたら、速やかに獣医師に相談してください。

ミニチュア・ダックスフンドがかかりやすい代表的な病気をご紹介します。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、激しい運動や肥満などで脊椎を連結している椎間板に負担がかかり、麻痺や痛みなどの神経症状を引き起こす病気です。

ミニチュア・ダックスフンドは若いうちから発症しやすく、進行すると足に麻痺が出て、自力での排尿や排便が困難となります。症状が軽いうちは薬や注射などによる内科的治療で改善しますが、重度になると外科手術が必要となるケースもあります。

椎間板ヘルニアを予防するためには、階段の上り下りや高低差のあるジャンプなど、激しい運動をさせないことが大切です。フローリングなどで滑りやすい床は脊髄に負担がかかりやすくなるため、カーペットを敷くなどして滑らないようにしましょう。

また、先述のとおり肥満も椎間板ヘルニアにつながります。食事の量に気をつけ、適正体重を保ちましょう。

進行性網膜委縮症

進行性網膜萎縮症は、網膜細胞が萎縮する目の病気です。ミニチュア・ダックスフンドに多く見られる病気で年齢に関係なく起こり、若い段階で発症することも少なくありません。

進行は緩やかで、初期は暗い場所で目が見えにくくなります。そのため最初は「行動がどんくさくなった」と感じる程度ですが、進行するとさらに視力が低下し、昼間でも見えなくなって、最終的には失明に至ります。

残念ながら、進行性網膜萎縮を完治させる治療方法は今のところありません。しかし、犬は視覚以外の臭覚や聴覚も優れているため、見えにくくなっても徐々に慣れていく可能性があります。触る前や、何かにぶつかりそうになったときは声をかけるなどして配慮しましょう。

白内障

白内障は、瞳の水晶体が白く濁ることで視力が低下する目の病気です。生まれつき水晶体が濁っている先天的白内障と、外傷や加齢などが原因で発症する後天的な白内障があり、いずれも徐々に進行し、やがて失明に至ります。

初期の段階では視覚への影響はほとんどなく、通常の診察でも気づきにくいでしょう。進行すると白濁が水晶体全体に広がり、視覚に影響が出ます。初期であれば点眼薬などで進行を遅らせることができますが、進行している場合は外科的手術が必要です。

白内障も進行性網膜委縮症と同じく、スムーズに行動できるよう、声かけなどのサポートをしてあげることが大切です。

ミニチュア・ダックスフンドの特徴を知って大切に育てよう

ミニチュア・ダックスフンドの特徴を知って大切に育てよう
ドイツで誕生した狩猟犬の血を引くミニチュア・ダックスフンド。性格は明るく活発で、小型犬ながら運動量が多く、毎日のお散歩が欠かせません。

また、食いしん坊な犬種でもあり、油断すると肥満から椎間板ヘルニアを発症するリスクが高まります。食事の量には十分に気をつけましょう。

お迎えする際は、腰に負担を与えないよう、部屋の環境を整えることが大切です。事故や病気を防ぐためにも、日ごろからこまめに体のケアをしてあげてください。

今回ご紹介した、被毛ごとに異なる性格や飼い方のポイントも参考にして、楽しいペットライフを送ってくださいね。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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