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【初心者向け】畑の土作り|家庭菜園で失敗しないための土の作り方

【初心者向け】畑の土作り|家庭菜園で失敗しないための土の作り方

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庭に小さな畑スペースができたり、市民農園を借りたりして、「さあ、野菜作りを始めよう!」と意気込んでいる方も多いのではないでしょうか。美味しい野菜を収穫するために最も大切なのが「土作り」です。野菜作りは土作りで決まると言っても過言ではありません。土の状態が良いと、野菜の根がしっかりと張り、病気にかかりにくく、甘くて美味しい野菜が育ちます。逆に、土作りをおろそかにすると、どんなに良い苗を植えても枯れてしまったり、実がならなかったりすることがあります。この記事では、初心者の方でも迷わずに実践できる、基本の土作りの方法を丁寧に解説します。

野菜作りにおける良い土とは?

野菜
野菜にとっての「良い土」とは、根がスムーズに伸び、水分や栄養を十分に吸収できる土を指します。専門的には「物理性」「化学性」「生物性」の3つのバランスが整っていることが重要だと言われています。これらが揃うことで、野菜はストレスなく健康に成長することができます。

要素 特徴 役割
物理性 三相分布のバランスが良い 根が呼吸しやすく、水を適度に保つ
化学性 適切なpHと保肥力 野菜が栄養を吸収しやすい環境を整える
生物性 微生物の多様性 有機物を分解し、病害虫の発生を抑える

物理性:通気性・保水性・排水性が良好なふかふかの土

物理性の良い土とは、通気性、排水性、保水性のバランスが取れている状態を指します。土壌は「固相(土の粒子)」「気相(空気)」「液相(水)」の3つで構成されており、これを三相分布(さんそうぶんぷ)と呼びます。野菜作りにおいて理想的な比率は、固相40%、気相30%、液相30%程度です。このバランスを実現するのが「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」です。団粒構造とは土の粒子同士が小さな団子状にまとまっている状態を指します。団子の内部に水分を蓄え(保水性)、団子同士の隙間を余分な水や空気が通る(排水性・通気性)構造になっていることで、根は酸素を十分に取り込みながら、必要な水分も確保できるのです。

化学性:各野菜に適したpHと土壌養分

化学性は、土の酸性度(pH)や、土が肥料分を蓄える力(保肥力)に関わります。日本の土壌は雨の影響で酸性に傾きがちですが、多くの野菜はpH6.0〜6.5の弱酸性を好みます。pHが適切でないと、根が肥料成分をうまく吸収できず、生育不良(生理障害)を起こすことがあります。また、土壌養分としては、窒素・リン酸・カリウムなどの必須要素がバランスよく含まれていることが大切です。以下の表を参考に、育てたい野菜に合わせて酸度を調整しましょう。

pH範囲 該当する主な野菜
酸性
5.0〜6.0
ジャガイモ
弱酸性
5.5〜6.0
サツマイモ、トウモロコシ、パセリ、ダイコン、さつまいも、スイカ
微酸性
6.0〜6.5
トマト、ナス、キュウリ、ピーマン、ニンジン、キャベツ、ブロッコリー、
レタス、かぼちゃ、リーフレタス、いちご
中性
6.5〜7.0
ホウレンソウ、スナップエンドウ、えだまめ、タマネギ、ゴボウ、アスパラガス

生物性:病害虫が少なく微生物が多い

生物性の良い土とは、多種多様な微生物や小動物が生息している土のことです。細菌、糸状菌(カビ)、放線菌、藻類などが豊富にいると、落ち葉や堆肥などの有機物がスムーズに分解され、野菜が吸収できる栄養分に変わります。また、特定の病原菌だけが増殖するのを防ぐ拮抗作用(きっこうさよう)が働き、病気が発生しにくくなります。ミミズがいる土が良いとされるのは、ミミズが有機物を食べて豊かな土を作り、その通り道が通気性を高めるためです。多様な生態系が維持されている土は「地力(ちりょく:作物を生育させる力)」が高く、連作障害のリスクも軽減します。

畑の土作りに必要な道具と資材

農具
土作りを始める前に、最低限必要な道具と資材を揃えましょう。ホームセンターや園芸店で手軽に入手できるものばかりです。最初から高価な農機具を揃える必要はありませんが、用途に合ったものを選ぶことで作業がぐっと楽になります。

カテゴリ 名称 主な用途
道具 クワ(鍬) 土を深く耕す、畝を立てる
スコップ(シャベル) 土を掘り起こす、資材を混ぜる
資材 苦土石灰(くどせっかい) 土の酸度(pH)を調整する
堆肥(牛ふん・腐葉土等) 土をふかふかに改良する
化成肥料 野菜の栄養分を補給する

土を耕すためのクワやスコップ

固くなった地面を掘り起こし、ふかふかの状態にするために欠かせないのがクワやスコップです。広い畑の場合はクワが便利です。振り下ろして手前に引くことで、土を耕したり、畝(うね)を作ったりすることができます。平クワや備中クワなど種類がありますが、一般的な家庭菜園なら平クワが万能です。小さなスペースやプランター栽培の土を再利用する程度なら、剣先スコップ(先の尖ったシャベル)でも十分代用できます。体重をかけて深く掘り返すことがポイントです。

クワ|ホームセンターコーナンの通販サイト

スコップ・シャベル|ホームセンターコーナンの通販サイト

 

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酸性度を調整するための石灰類

前述の通り、日本の土は酸性になりやすいため、アルカリ性の石灰を撒いて中和します。初心者におすすめなのは「苦土石灰(くどせっかい)」です。これは酸度調整の効果が穏やかで、植物の根を傷めにくいのが特徴です。また、植物の光合成に必要なマグネシウム(苦土)も補給できます。一方、「消石灰」や「生石灰」は作用が強力ですが、取り扱いに注意が必要で、撒いてから植え付けまでの期間を長く取る必要があります。まずは扱いやすい苦土石灰を選びましょう。

苦土石灰|ホームセンターコーナンの通販サイト

土壌環境を整えるための堆肥

堆肥(たいひ)は、牛ふんや鶏ふん、落ち葉などを発酵させたものです。主な役割は土壌改良、つまり土をふかふかにすることです。初心者には「牛ふん堆肥」や「腐葉土」がおすすめです。これらは繊維質が多く、土に混ぜることで団粒構造を作りやすくします。「完熟」と書かれた、完全に発酵が終わっているものを選んでください。未熟な堆肥を使うと、土の中でガスが発生して根を傷める原因になります。なお、「鶏ふん」は肥料成分が多いので、土壌改良というよりは肥料に近い役割で使われます。

堆肥|ホームセンターコーナンの通販サイト

 

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野菜の成長を助ける肥料

堆肥にも多少の栄養は含まれていますが、野菜が大きく育つには十分ではありません。そこで必要なのが肥料です。大きく分けて「化成肥料」と「有機肥料」があります。化成肥料は粒状で扱いやすく、成分バランスが整っているため初心者におすすめです。「8-8-8」と書かれているものは、窒素・リン酸・カリウムが均等に入っている汎用性の高い肥料です。有機肥料は油かすや骨粉などで、ゆっくり長く効くのが特徴です。元肥(もとごえ)として最初に土に混ぜ込んでおきます。

化成肥料|ホームセンターコーナンの通販サイト

 

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土作りを始める適切な時期とスケジュール

土壌
思い立ったらすぐに苗を植えたくなりますが、良い土を作るには少し準備期間が必要です。資材を入れてすぐに植え付けると、土の中で化学反応が起きたり、熱が発生したりして野菜に悪影響を与えることがあります。余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

時期 行う作業 目的
2週間前 石灰を撒いて耕す 酸度の調整、土の中和
1週間前 堆肥・肥料を撒いて耕す 土壌改良、栄養補給、土に馴染ませる
当日 畝を立てて植え付け 排水対策、栽培スタート

植え付けの2週間以上前から始める

理想的な土作りは、植え付け予定日の2週間前からスタートします。まず最初に行うのは石灰による酸度調整です。石灰が土に馴染んで酸度が安定するまでには、1週間から2週間程度の時間がかかります。特に苦土石灰はゆっくりと反応するため、早めに撒いて雨や土中の水分と反応させておくことが大切です。この期間をしっかり取ることで、野菜が植えられた直後から快適に根を伸ばせる環境が整います。

石灰と肥料を同時に撒かない理由

初心者がよく疑問に思うのが、「面倒だから石灰と堆肥と肥料を全部一度に混ぜてはダメなの?」という点です。実は、これらを同時に混ぜると不都合が生じることがあります。特に、石灰類と窒素を含む肥料(アンモニア態窒素)が混ざると化学反応を起こし、アンモニアガスが発生してしまうことがあります。このガスは野菜の根に有害なだけでなく、せっかくの肥料成分(窒素)がガスとなって空気中に逃げてしまうため、肥料の効果が薄れてしまいます。苦土石灰と完熟堆肥であれば同時施用も可能と言われていますが、失敗を防ぐためには、やはり「石灰を撒いて1週間待つ」→「堆肥・肥料を入れてさらに1週間待つ」という手順を踏むのが最も確実で安全です。

初心者でも失敗しない土作りの手順

耕す人

では、具体的な土作りの手順を5つのステップで解説します。この流れに沿って作業を進めれば、誰でも良い土を作ることができます。

手順 作業内容 ポイント
1 雑草・石の除去 根までしっかり取り除く
2 クワで深く耕す 30cm程度の深さまで掘り返す
3 酸度調整 苦土石灰を撒いて混ぜる(2週間前)
4 堆肥・元肥投入 完熟堆肥と肥料を混ぜる(1週間前)
5 畝立て 水はけを良くするためのベッド作り

手順1 雑草や石を取り除く

まずは畑の土をきれいにします。雑草や石のほか、以前育てていた野菜の残骸(根や茎)なども丁寧に取り除きましょう。石が多いと根が二股に分かれてしまう原因(特に大根や人参など)になります。

Tips
取り除く石の大きさは1cm以上(根菜類を植える際は4mm以上)が目安です。土ふるいがあれば便利です。

土ふるい|ホームセンターコーナンの通販サイト

手順2 クワで土を深く耕す

表面がきれいになったら、クワやスコップを使って土を掘り起こします。これを「天地返し(てんちがえし)」とも言います。深さは30cmくらいが目安です。野菜の根は意外と深く伸びるため、深い部分の土まで柔らかくしておくことが重要です。掘り起こした土の塊は、クワの背などで叩いて細かく砕きましょう。この作業で土に空気が入り、ふかふかの状態に近づきます。冬場であれば、掘り起こした土を寒風に晒しておくことで、土の中の病原菌や害虫を減らす効果も期待できます。

手順3 石灰を撒いて酸度を調整する

植え付けの2週間前になったら、苦土石灰を畑全体に均一に撒きます。目安は1平方メートルあたり100g〜150g程度(大人の手で2〜3掴みくらい)ですが、今の土の酸度によって調整が必要です。ホームセンターで売っている簡易的な酸度測定液などを使うと安心です。石灰を撒いたら、クワを使って土とよく混ぜ合わせます。表面だけでなく、作土層(根が張る深さ)全体に行き渡るようにしっかり耕しましょう。

手順4 堆肥と元肥を混ぜ込む

石灰を撒いてから1週間ほど経ったら(植え付けの1週間前)、次は堆肥と肥料を入れます。目安は1平方メートルあたり完熟牛ふん堆肥なら2kg〜3kg、化成肥料なら100g程度です。これらを土の上に撒き、再びクワでよく混ぜ込みます。堆肥を入れることで土の中に有機物が補給され、微生物が活性化して団粒構造が作られやすくなります。肥料は野菜の初期生育を支える大切なエネルギー源となります。

手順5 畝(うね)を立てて整える

肥料を混ぜて1週間ほど馴染ませたら(植え付け当日)、最後に「畝(うね)」を作ります。畝とは、通路よりも一段高くした栽培スペースのことです。周りの土を寄せて高さ10cm〜20cm程度の台形を作ります。畝を作ることで水はけが良くなり、根腐れを防ぐことができます。また、通路との区別がつくため作業もしやすくなります。表面を平らにならせば、いよいよ種まきや苗の植え付けの準備完了です。

良い土になっているか確認する方法

土壌
手順通りに土作りをしたけれど、本当にこれで良い土になったのか不安になるかもしれません。簡易的なチェック方法で確認してみましょう。

手で握った時の土の固まり具合

適度な湿り気がある状態で、土を片手で軽く握ってみてください。ギュッと握った時に形が崩れず団子状になり、それを指先で軽くつっつくとハラリと崩れる状態が理想的です。握っても固まらないサラサラの砂土だと保水力が足りず、逆に握ると粘土のように固まって崩れない場合は排水性や通気性が悪い可能性があります。団粒構造ができている土は、この「固まるけど崩れる」絶妙なバランスを持っています。

水を与えた時の浸透スピード

ジョウロで水をたっぷりかけてみましょう。水が土の表面に溜まらず、スーッと素早く染み込んでいけば合格です。いつまでも水たまりが残っている場合は排水性が悪い証拠です。その場合は、もう少し堆肥や腐葉土を多めに混ぜ込んで改善するか、畝を高くして水はけを確保する工夫が必要です。

土作りで初心者がやりがちな失敗

土壌
良かれと思ってやったことが、実は野菜にとって逆効果になることもあります。ここでは初心者が陥りやすい失敗例を紹介します。

石灰を入れすぎて土が硬くなる

「酸性土壌は良くない」と聞くと、つい石灰をたくさん入れたくなりますが、入れすぎは厳禁です。土がアルカリ性に傾きすぎると、鉄やマンガンなどの微量要素が吸収できなくなり、野菜の葉が黄色くなるなどの障害が出ます。また、石灰を過剰に入れると土が硬く締まってしまうこともあります。必ずパッケージに記載された規定量を守りましょう。毎年適当に入れていると過剰になることもあるので、定期的に酸度をチェックすることをおすすめします。

未熟な堆肥を使って根を傷める

堆肥は「完熟」したものを使うのが鉄則です。発酵が不十分な未熟堆肥を土に混ぜると、土の中で再発酵が始まり、熱やアンモニアガスが発生します。これらが野菜の根を直撃すると、根腐れや立ち枯れの原因になります。特に、臭いがきついものや、原料の形がはっきり残っているものは未熟な可能性があります。購入する際は袋の表示をよく確認し、黒っぽくて土のような匂いがする完熟堆肥を選びましょう。

雨の直後に耕して土を練ってしまう

週末しか作業できないと、前日に雨が降っても無理に耕したくなるかもしれません。しかし、水分をたっぷり含んだ重い土を無理にクワで混ぜると、土が練られて粘土遊びの泥団子のようになってしまいます。乾くとカチカチに固まり、通気性も排水性も最悪の状態になってしまいます。土作りは、土が適度に乾いている時に行うのが基本です。雨上がりは数日待ち、手で触ってサラッとしているのを確認してから作業しましょう。

プランターの土を畑に再利用できる?

土壌
ベランダ菜園などで使っていたプランターの土が余っている場合、それを畑に混ぜても良いか迷うことがあります。基本的には再利用可能ですが、そのまま捨てるように混ぜるのではなく、ひと手間かけることが大切です。

 

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古い土を混ぜる際のリサイクル処理

プランターの古い土は、野菜が栄養を吸い尽くして痩せていたり、団粒構造が崩れて微塵(みじん)になっていたりします。また、コガネムシの幼虫などが潜んでいることもあります。畑に混ぜる前に、まずはふるいにかけて古い根やゴミを取り除きましょう。夏場であれば、黒いビニール袋に入れて天日干しし、熱消毒すると安心です。その上で、新しい堆肥や「土のリサイクル材」などを混ぜて、ふかふかの状態に戻してから畑の土と合わせるようにしてください。

連作障害を防ぐための土の配置

古い土には、前に育てていた野菜特有の病原菌が残っている可能性があります。例えば、プランターでトマトを育てていた土を畑に撒き、その場所でまたトマトやナス、ジャガイモなどの「ナス科」野菜を育てると、連作障害(れんさくしょうがい)が起きやすくなります。プランターの土を再利用する際は、前に何を育てていたかを思い出し、畑のどこに混ぜるかを計画的に決めましょう。違う科の野菜(例えば小松菜やキャベツなどのアブラナ科)を育てる場所に混ぜるのが無難です。

 

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まとめ

土壌
野菜作りは土作りで決まると言われるほど重要ですが、手順とスケジュールさえ守れば決して難しくはありません。まずは身近な道具を揃え、焦らず計画的に土の準備を始めることから楽しんでみてください。ふかふかの土で育てた野菜は格別の美味しさですので、ぜひ自分だけの家庭菜園作りに挑戦しましょう。

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