コーナンTips 園芸 レモンの育て方|苗木から育てる手順と注意点を初心者向けに解説 レモンの育て方|苗木から育てる手順と注意点を初心者向けに解説 園芸 クリップボードにコピーしました レモンの育て方|苗木から育てる手順と注意点を初心者向けに解説 この記事をシェアする! クリップボードにコピーしました スッキリとした味わいとさわやかな柑橘系の香りが特徴のレモン。レモンの近縁種であるシトロンの別名が「枸櫞(くえん)」といい、クエン酸の名前の由来でもあります。 レモンは鉢植え・庭植えのどちらでも栽培が可能です。ベランダや玄関先などの狭いスペースでも育てられます。 本記事では、初心者の方にもわかりやすく、レモンを苗木から育てる手順と注意点を解説します。 レモンは料理やお菓子、ジュースの材料など幅広く活用できる万能な果物です。ぜひレモンの栽培に挑戦して、フレッシュな味わいを楽しんでみてください。 目次 レモンの基本情報主な品種レモンを育てるために必要なものレモンの育て方日当たり・置き場所・温度植え替え方水やりの仕方肥料のやり方【初心者向け】レモンを苗木から育てる手順1.苗木をプランターに植えつける2.支柱を立てる3.剪定をする4.摘花(摘蕾)・摘果をする5.収穫をするレモンを育てるときの注意点良い苗木を選ぶ若木のうちに樹形を作っておく冬越し時は防寒対策をするレモンの病害虫対策家庭でおいしいレモンを育てよう! レモンの基本情報 まずは、レモンの基本情報を確認していきましょう。 科名 ミカン科 属名 ミカン属 和名 檸檬(レモン) 英名 lemon 学名 Citrus limon 別名 枸櫞(クエン) 原産地 インド(ヒマラヤ東部) 分類 柑橘類 販売時期 秋~翌春 開花時期 5月、7月、9〜11月の年3回 収穫時期 10月〜2月(遅くても4月頃まで) 耐暑性 強い 耐寒性 やや弱い 主な品種 家庭でのレモン栽培に向いている、主な品種をご紹介します。 名前 特徴 リスボンレモン ・もっともメジャーで育てやすい・寒さに比較的強い・さわやかな香り・酸味が強い 璃の香(りのか) ・リスボンと日向夏(ひゅうがなつ)を掛け合わせた品種・病害虫に強いため初心者でも育てやすい・果実は重さ200g程度で、レモンの中では大きめ マイヤーレモン ・オレンジとレモンの掛け合わせでできた品種・通常のレモンよりも酸味が少ない 品種によって味や香り、適した気候などが異なります。好みや住んでいる地域に合わせて、育てやすい品種を選んでみてください。 レモンを育てるために必要なもの レモンの栽培を始める前に、必要な道具をそろえていきましょう。 レモンを育てる際に必要なものは、以下のとおりです。 レモンの苗木 プランターや鉢 培養土 鉢底石と鉢底ネット 肥料 スコップ ジョウロ 園芸ハサミ マルチング材(バークチップなど) 支柱(1.5m程度) レモンの苗木は、ホームセンターや園芸用品店などで購入できます。鉢は、深さが30cmほどある10号サイズを選ぶといいでしょう。 培養土は市販の果樹用培養土を使用してください。 Tips ホームセンター等で販売されている苗は、購入時にすでに果実がついている場合があります。 成熟しすぎると皮が厚くなり酸味や果汁が減ってしまうため、早めに収穫しましょう。 レモンの育て方 レモンをうまく育てるためのポイントについて、以下の項目に分けて解説します。 日当たり・置き場所・温度 植え付け方 水やりの仕方 肥料のやり方 レモンは初心者の方でも育てやすい果樹ですが、適切な方法で管理をしないと枯れてしまうことがあります。お手入れをしっかりとおこない、丈夫に育てていきましょう。 日当たり・置き場所・温度 まずはレモンが育ちやすい環境を整えましょう。 レモンの栽培に適した環境は以下のとおりです。 日当たり:日当たりの良い場所 置き場所:鉢植え・庭植え(半日以上日が当たる場所) 温度:平均気温15℃以上、最低気温−3℃ レモンは柑橘類のなかでは耐寒性がありません。−3℃以下になると枯れて葉が落ちてしまうため、冬場に最低気温を下回る場合は室内へと移動させましょう。室内で育てるときは、受け皿も忘れずに用意してください。 植え替え方 レモンの苗木は、鉢の大きさや生育具合にもよりますが、通常2〜3年に1回(少なくとも3年に1回)は植え替えが必要です。植え替えをすることで、根詰まりを防ぎ、通気を良くします。植え替えをする場合は、3月下旬〜4月中旬(遅くても6月下旬まで)の間におこないましょう。 植え替えの手順は以下のとおりです。 ひと回り大きい鉢を用意し、水はけを良くするために鉢底石と鉢底ネットを敷く 新しい土を用意する 掘り上げるときは、根を傷つけないように注意して引き抜く 少し根をほぐしてから新しい鉢へと植え替える 植え替え方は、後述する「苗木をプランターへ植え付ける」方法とほとんど同じなので、そちらも参考にしてみてください。 水やりの仕方 レモンへの水やりの仕方は以下のとおりです。 鉢植え:土の表面が乾いたタイミングで、鉢底の穴から少し流れ出るぐらいの水を与える 庭植え:基本的には不要。夏場に何日か日照りが続くようであれば水を与える レモンは、6月〜8月頃に果実を作る準備期間に入ります。この期間は水をたっぷりと与えてください。柑橘系は乾燥を嫌うため、常に土に少し湿り気があるくらいでも問題ありません。 肥料のやり方 レモンの苗木は保水性や排水性が高い土を好むため、鉢植えか庭植えかによって、用土を用意するときの肥料が異なります。 用意する肥料は以下のとおりです。 鉢植え 緩効性化成肥料:用土(市販用土であれば腐葉土 2〜3:赤玉土小粒7〜8配合のもの) 庭植え 速効性化成肥料か有機質肥料:用土(掘った土5:腐葉土3:赤玉土小粒2:1株当たり300g程度の粒状肥料) レモンの苗木を鉢植えで育てるときは、生育時期前の2~3月、果実が成長してくる6~7月、果実に栄養補給するための9月という3回にわたって、緩効性化成肥料を施します。 庭植えの場合は、3月に速効性化成肥料か有機質肥料を元肥として施してください。その後、6月と11月に速効性化成肥料を追肥しましょう。 肥料は、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の3要素がバランス良く含まれているものを選ぶことがポイント。 レモンが健康的に育ち、結果として収穫量を増やせます。柑橘系専用の肥料を使えば3要素がバランス良く配合されているため、そちらを使っておけば間違いありません。 【初心者向け】レモンを苗木から育てる手順 鉢植えと庭植えのどちらでも育てられるレモンですが、初心者の方は移動や温度管理がしやすい鉢植えから始めるといいでしょう。 レモンを苗木から鉢植えで育てる手順は以下のとおりです。 苗木をプランターに植える 支柱を立てる 剪定をする 摘花(摘蕾)・摘果をする 収穫をする 手順ごとに、育て方のポイントを詳しく解説します。 1.苗木をプランターに植えつける まずはレモンの苗木をプランターや鉢に植え付けましょう。 植え付ける時期は3月中旬〜4月中旬がおすすめ。10月から冬の時期にかけての植え付けは避けましょう。 苗木をプランターに植え付ける手順は以下のとおりです。 根をほぐして直根を鉢の高さに合わせて切り詰め、周りの根も長さを合わせてカットする 鉢の底が見えなくなるくらいの鉢底石をいれる 鉢に用土を少しいれる 用土に肥料をいれて混ぜる 植木鉢の中心に苗木を置き、根を分散させるようにしてほぐす 根の隙間に用土が入るようにしてかぶせる(鉢の上端から約3cm下まで) このとき、苗木の接木(つぎき)部位が鉢の上端よりも高い位置にくるようにする 支柱を立てる 鉢底から流れ出るくらいを目安に、水をたっぷりと与える 水やりで土の表面がへこんだときは用土を少しかぶせ、上から肥料をまいて再び軽く水をかける レモンの苗木を植え付ける前日に土を取っておき、根の部分に水を付けて水揚げしておくと、しっかりと根をおろしてくれます。 2.支柱を立てる レモンの苗木を植え付けたら、1.5mほどの支柱を立てます。支柱とは、物を支えるための柱です。支柱を立てることで、強風で茎が折れたり、倒れたりするトラブルを防げます。 苗木の背丈を高く育てたい場合は、苗木の横に支柱を立ててください。強風などで鉢が転倒しないよう、壁側に寄せるなどの対策をしておくと安心でしょう。 3.剪定をする レモンの苗木は3月頃に剪定をおこないます。剪定をする理由は、新芽を吹かせて実付きを良くさせるためです。植え付けから3年までは、病害虫の影響を受けた枝のみを切り落とすようにしてください。 3年目以降は、前年に果実がなった枝、勢いよく真上に伸びる枝、他の枝と平行に伸びている枝を剪定しましょう。また、風通しや日当たりが悪くなってきたと感じる箇所も切り落とします。 剪定をする際は、開心自然形(※1)仕立てにするのがおすすめです。地上から垂直に伸びる枝を3本だけ伸ばし、ほかの枝はカットしてください。また、主枝の真ん中に出ている元気な枝は、先端を少しだけ切り戻しましょう。 ※1 開心自然形:若木から主枝を3〜4本を伸ばし、結果枝(けっかし)・側枝(そくし)・亜主枝(あしゅし)を出す仕立て方のこと 4.摘花(摘蕾)・摘果をする レモンの苗木に摘花(てっか)/摘蕾(てきらい)・摘果(てきか)をします。花や蕾、実が付いたタイミングで、生育の良いものだけを残し、いくつかを間引きして実の数を少なくすることです。 摘花(摘蕾)・摘果をする時期は、以下を参考にしてください。 摘花:6〜7月(夏花)、9〜10月(秋花) 摘果:8月 摘花(摘蕾)・摘果をしないと、レモン一つひとつの果汁が少なく、実も小さくなる傾向があります。また、翌シーズンに弱ってしまい、収穫量が減るおそれもあります。 適切なタイミングで摘花(摘蕾)・摘果をおこなうことで、残った実のみに栄養が届き、元気な果実に育ちますよ。 5.収穫をする レモンの苗木に実がなったら収穫をおこないます。レモンの収穫時期は10月〜2月(遅くても4月まで)です。 レモンの実が直径6cmほどのサイズになったら収穫できます。果実の色が緑から黄色へと変わる途中が収穫のベストタイミングです。 収穫の際は、果実を傷つけないために2回に分けてカットします。まずはヘタと軸の間でカットしてください。このとき、ハサミで実を傷つけないよう、レモンの実から1〜2cm離れたところでカットします。そのあと残った軸を切り取りましょう。 軸までカットする理由は、ほかの実に傷が付くのを防ぐためです。レモンは実に傷があると、そこから腐敗しやすくなるため注意してください。 Tips 収穫した後は、常温であれば10日ほど保存が可能です。 収穫直後は酸味が強いため、3~4日ほど追熟させると酸味が落ち着いてきます。 レモンを育てるときの注意点 レモンを育てるときの注意点は以下のとおりです。 良い苗木を選ぶ 若木のうちに樹形を作っておく 冬越し時は防寒対策をする レモンの育て方や手順を間違えると、収穫時期になっても実がならないことがあるため、注意点をしっかりと確認しておいてください。 良い苗木を選ぶ レモンの苗木は、以下のポイントをチェックして選びましょう。 枝が多く、幹が太い 幹の近くに根がたくさん付いている きれいな濃い緑色の葉がたくさん付いている 芽がたくさん付いている 初心者の方は、3年以上育ててある大苗を選ぶのがおすすめです。大苗を選ぶと、早い段階で収穫できます。 若木のうちに樹形を作っておく レモンが若木のうちに、枝を広げるようにして樹形を作っておきましょう。日光が全体に当たるような形にしておくと育ちやすくなるほか、管理の手間も軽減します。 主軸となる枝を3本決め、上向きに伸びる枝が横倒しになるようにヒモで引っ張り固定しましょう。 レモンの木は、通常上へ上へと伸びていきますが、若木のうちに樹形を作っておくことで低く育てられます。 また、レモンの木は枝にトゲがあるため、先にハサミなどでカットしておくとスムーズに作業できます。 冬越し時は防寒対策をする レモンは寒さに弱いため、冬場は防寒対策が欠かせません。日中は暖かくても、夜中の冷え込みが−3℃を下回る地域では、夜になる前に室内へ移動させる必要があります。 不織布や寒冷紗(かんれいしゃ)をかぶせたり、室内で日当たりの良い場所に移動させたりして冬越しさせましょう。 レモンの病害虫対策 レモンを丈夫に育て、たくさんの実を収穫するためには、病害虫対策も重要です。 レモンの苗木に虫を発見したら、葉っぱごとちぎってしまいたくなるかもしれません。しかし、レモンは葉っぱの数に応じて花が咲き実をつけるため、害虫だけを取り除いて葉は残してください。 レモンの栽培で注意するべき害虫や病気は以下のとおりです。 害虫:カミキリムシ、アブラムシ、アオムシなど 病気:潰瘍病(かいようびょう) カミキリムシは木の根元に卵を産み付けるため、定期的に防除剤を散布し、見つけ次第すみやかに細長い棒で駆除しましょう。 潰瘍病とは、害虫の食害痕や傷口などから感染し、葉や枝、果実がかさぶたのように盛り上がり、落葉してしまう病気です。 柑橘類のなかでも、レモンはとくに潰瘍病に弱いため注意しましょう。強い雨風から守り、風通しを良くしておくことが重要です。感染した部分はすぐに切り取り、被害を拡大させないようにしてください。 病害虫は、新芽や花、弱っている木などに多く発生します。新芽が出たら、葉だけではなく木の幹もこまめに確認しましょう。 家庭でおいしいレモンを育てよう! レモンの育て方のポイントや具体的な手順、注意点をご紹介しました。 レモンは正しい方法で管理すれば丈夫に育ちやすく、初心者の方にもおすすめの果樹です。ただし、寒さには強くないため、冬場はしっかりと防寒対策をおこないましょう。 本記事を参考に、ぜひ家庭でおいしいレモンを育ててみてください。 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