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【初心者向け】オリーブの木の育て方|必要なものと栽培・剪定手順、注意点について

【初心者向け】オリーブの木の育て方|必要なものと栽培・剪定手順、注意点について

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オリーブオイルの原料としても知られるオリーブは、庭に植えられる木として注目されています。その優美な枝ぶりと光沢のある葉は、シンボルツリーにぴったりです。

この記事では、オリーブの木を健康に育てるための栽培方法や剪定手順を詳しくご紹介します。オリーブが好む土づくりのポイントや栽培の注意点を知って、美しいオリーブの木に育てていきましょう。

オリーブの基本情報

オリーブの基本情報
まず、オリーブの基本情報についてみていきましょう。

科名 モクセイ科
属名 オリーブ属
和名 オリーブ、阿列布(漢字名)
英名 Olive
学名 Olea europaea
別名 オリーブノキ、オレーフノキ、オレイフ
原産地 地中海沿岸
分類 常緑高木樹
開花時期 5~6月
収穫時期 9~2月
耐暑性 強い
耐寒性 半耐寒性

地中海沿岸が原産のオリーブは、あたたかさと乾燥に強く、潮風に耐える性質があります。耐寒温度は-3~5℃で、関東北部以西では地植えで育てられますが、寒冷地では鉢植えが向いています。

また、オリーブは日光を好む「陽樹」のため、日照不足にならない場所で育てるのがおすすめです。収穫した実は、ピクルスやオイルなどにして食べることができ、ミネラルたっぷりのヘルシーフルーツとして楽しめます。

歴史・由来

オリーブの野生種は、地中海沿岸から北アフリカに自生し、5000〜6000年前からトルコやシリアで栽培されていたそうです。

日本にはじめてオリーブの実が伝わったのは、安土桃山時代。その後、明治時代に香川県小豆島の果樹試験場で育成されたのがオリーブ栽培の最初とされており、小豆島ではオリーブの歴史に触れることができます。

また、オリーブの木は平和の象徴として描かれています。「ノアの箱舟」に登場する鳩が、オリーブの枝をくわえて戻ってきて、洪水が終わり平穏が訪れたことを知らせたという話が由来です。

主な品種

オリーブにはさまざまな品種があり、お気に入りを見つけて育てる楽しさがあります。果実の大きさや結実のしやすさなど、品種の特徴を確認しながら、庭に合うオリーブを選んでください。

初心者におすすめの主な品種をご紹介します。

マンザニロ

スペイン原産で、大きな果実をたくさん付けるのが特徴。ピクルスに向いており、実の数が年によって差が出る隔年結果(かくねんけっか)が起こりにくいオリーブの人気品種です。

ネバディロ・ブランコ

花粉量が多く、受粉樹として適している品種。観賞用としても人気が高く、オイルを採るのにも適しています。

ピクアル

他の種類と比較して育てやすく成長も早いため、初心者の方におすすめの品種です。スパイシーかつフルーティーな良質なオイルになります。

オリーブを育てるために必要なもの

オリーブを育てるために必要なもの
オリーブを育てるために必要なものは以下のとおりです。

  • オリーブの苗木
  • プランターや鉢
  • 鉢底石と鉢底ネット
  • 培養土
  • 肥料
  • スコップ
  • ジョウロ
  • 園芸ハサミ
  • マルチング材(バークチップなど)
  • 支柱

オリーブの木は大きく育つため、鉢植えでは苗木の2〜3倍大きい鉢を用意しましょう。用土は、果樹用培養土がおすすめです。

オリーブの若木は根が浅いため、しばらくは支柱で支えると安心です。剪定用の園芸ハサミは、細い枝用のほかに太い枝が切れる種類を用意しておくとよいでしょう。

オリーブの育て方

オリーブの育て方
比較的丈夫で育てやすいオリーブですが、はじめての栽培ではわからないことも多いでしょう。ここでは、オリーブが好む置き場所や温度から、水やりの仕方、剪定の仕方までをご紹介します。

オリーブを健康に育てるための、ポイントを押さえていきましょう。

日当たり・置き場所・温度

地中海沿岸が原産地のオリーブは、カラッとした温暖な気候を好みます。また、日光を必要とする陽樹のため、1日6時間以上の明るさ確保を目安に、日当たりと風通しの良い場所を選んでください。

オリーブの木を室内で育てる際は、日当たりが良い窓際に置きます。冬に室内へ取り込む地域では、0〜10℃を保てる環境を整えてあげましょう。

植え付け方

オリーブの植え付けは、4〜5月と9〜10月が適期です。3m以上に成長するオリーブの木は、最終樹高をイメージして植える場所を決めていきましょう。

地植え

オリーブの根は太い根を深くまで伸ばさずに、横に根を広げるタイプの植物のため、強風に弱いため支柱を立ててあげるようにしましょう。植え付け後はたっぷりと水を与えてください。

鉢植え

鉢底石と培養土を入れた鉢に苗木を植え付けます。主幹と鉢の高さが同じくらいの場所で、主幹を切る「切り返し」をおこなうと樹形バランスが良くなります。

水やりの仕方

乾燥を好むオリーブの水やりは、水を与えすぎないことがポイントです。鉢植えでは、土がしっかりと乾いたタイミングで水をたっぷりと与えましょう。

地植えでは、根が十分に付いたあとの水やりは基本的に必要ありません。ただし、1年目の苗木は水切れに注意が必要です。雨が降らない日が1週間以上続く夏、雨や雪が降らない冬は、乾燥による水切れが起こりやすくなります。

肥料のやり方

オリーブの木を元気に育てるためには、適切な肥料を与える必要があります。

地植えの場合は、植え付け2週間ほど前に腐葉土と堆肥を土に混ぜ込んでおきましょう。鉢植えは、元肥が入った果樹用培養土がおすすめです。

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オリーブに肥料は必要?元肥・追肥のタイミングと与え方を解説

剪定・切り戻しの仕方

適切なタイミングで剪定・切り戻しをおこなうことも、オリーブの栽培を成功させるポイントです。成長スピードが比較的早いオリーブは、ほったらかしで育てると樹形バランスが崩れてしまいます。

オリーブの剪定時期は、以下を参考にしてください。

強剪定:1〜3月

太い枝や大きくなったオリーブの木を切り詰めたいときは、休眠期の1〜3月におこないます。オリーブは、中心の主幹を止めることで高さを抑えられます。

間引き剪定:3~4月

春の新梢(しんしょう)が伸びてくるころには、間引き剪定をおこないます。樹形バランスを整え、株の風通しを良くすることで、病害虫予防につながります。

新梢の切り戻しは、枝の先から2〜3節を残して剪定してください。オリーブの木は小枝が多く発生するため、込み合っている枝や弱い枝を剪定し、すっきりとさせていきましょう。

【初心者向け】オリーブを苗から育てる手順

【初心者向け】オリーブを苗から育てる手順
オリーブの木は結実するまで3〜5年ほどかかります。初心者は、ある程度大きく育った勢いのある苗を入手して失敗を防いでいきましょう。

土づくりから収穫まで、初心者の方でもオリーブを上手に育てるための手順をご紹介します。

1.土を作る

オリーブ栽培を成功させるためのコツは、土づくりを念入りにおこなうことです。地植えで排水性が悪い場所は、赤玉土や腐葉土などを事前に混ぜ込み、しっかりと耕してください。

また、オリーブは弱アルカリ性の土を好む性質があります。植え付け2週間前までを目安に、苦土石灰を土に混ぜ込んでおくといいでしょう。

2.植え付ける

オリーブの木は、根がしっかりと伸びるまで支柱で支えてあげると成功しやすくなります。初心者は、根が付きやすい3〜4月の春に植え付けるのがおすすめです。

鉢植えは、苗の成長に合わせて植え替えをおこなう必要があります。植え替え回数や最終樹形を想定しながら、鉢の種類や大きさを選んでください。

3.剪定して樹形を整える

毎年適切なタイミングで剪定をおこなうことも、オリーブの栽培で重要なポイント。オリーブの剪定は、休眠期の1月から芽が動き出す4月までに終わらせましょう。

剪定時期が遅れると、傷口から病気になったり枯れたりするおそれがあります。また、間引き剪定をおこなうことで、風通しが良くなり害虫が発生するのを防げます。

オリーブの見た目を美しく維持するために、毎年の剪定を忘れないようにしましょう。

4.人工授粉をする

オリーブの実は、結実するために受粉が必要です。受粉を助けてくれるミツバチなどの虫が少ない地域では、花が咲いても結実しないことがあります。

オリーブの実付きが悪いときは、花が咲く5〜6月に人工授粉をして、成功確率を高めていきましょう。オリーブは品種によって結実のしやすさが異なるため、違う品種を2本植えることで実付きを良くする方法も有効です。

Tips
自家結実性と自家不結実性について
オリーブはほとんどの品種が自家不結実性といって、同じ品種の花粉では受粉しても結実しません。1本の木から実を収穫したい場合は、ルッカ、ミッション、フラントイオといった自家結実性の品種がオススメです。

5.追肥する

オリーブの追肥を成功させるためのコツは、開花結実に合わせて与える回数を調整することです。年3回を目安に与えますが、実がまったく付かない時期に与えすぎると肥料過多になってしまいます。

オリーブの追肥タイミングは、以下のとおりです。

1回目

オリーブが成長期に入る前の3月上旬に、有機質肥料を与えます。

2回目

花が咲き終わり、果実が成長する6月に追肥します。

3回目

実を収穫した10〜11月ごろには、お礼肥えを与えて体力を回復させます。ただし、まったく結実しなかった年は肥料過多になるため、与える必要はありません。

6.収穫する

オリーブの実は、用途に合わせたタイミングで収穫しましょう。また、必要に応じて摘果(てきか。結実した果実の一部を小さいうちに間引くこと。)をおこなうと、より大きな実を収穫できます。

収穫のタイミングは、以下を参考にしてください。

7~8月(摘果)

摘果に適したタイミングです。葉10枚に対して1つの実を目安におこないます。

9月中旬~10月(収穫)

開花後5か月ほどで成熟し、濃緑色〜やや黄色く色づいたら収穫できます。ピクルスや塩漬けは、まだ青いうちに摘み取って加工します。

11~12月中旬(収穫)

オイル用は、黒紫色にしっかりと熟したオリーブを収穫します。

オリーブを育てるときの注意点

オリーブを育てるときの注意点
丈夫で育てやすいオリーブですが、環境が合っていないと、株の勢いがなくなり実付きも悪くなってしまいます。

注意点を押さえて、美しいオリーブを育てていきましょう。

地中海沿岸特有の乾燥・温暖な気候を好む

地中海〜中東一帯が原産地といわれるオリーブは、温暖な気候を好み、乾燥には強い性質です。植える前に自宅の環境に合っているかを確認して、失敗を防いでいきましょう。

ただし、12〜1月ごろの平均気温が10度以下にならないと、オリーブの花芽が付きません。鉢植えは、気温を確認して室内に取り込むかどうかを判断することが大切です。

日光不足に注意する

光を好むオリーブは、日光不足に注意しましょう。日照不足になると葉が黒ずんだり、枯れてしまったりするおそれがあります。

1日の日照時間は6時間以上を目安に、たっぷりの日光が当たる場所で育ててあげましょう。全体に日光が当たるように間引き剪定をすることも大切です。

太い枝を切ったら保護材を塗る

強剪定に耐えられるオリーブですが、傷口からの腐食には注意が必要です。太い枝を切った際は、傷口に保護剤を塗って水分が出てしまうのを防いでください。

また、剪定時期が遅れると傷口から水分が出やすくなるため、太い枝は休眠期のうちに終わらせておくことも大切です。

オリーブの病気・害虫対策

オリーブの病気・害虫対策
オリーブの栽培で注意すべき主な病気や害虫は以下のとおりです。

炭疽(たんそ)病

黒褐色の病斑が葉っぱに現れるのが特徴。チッソ肥料の与えすぎに注意し、風通しを良くして発生を防ぎます。

梢枯(しょうこ)病

炭そ病菌によって新梢先端が枯れてしまうのが特徴。梢枯病は、とくに梅雨の時期に発生しやすくなります。オリーブは雨に弱いため、鉢植えは軒下に移動させるといいでしょう。

オリーブアナアキゾウムシ

樹皮や幹、枝を食害する害虫。発生すると木ごと枯れてしまうおそれがあります。オリーブアナアキゾウムシが潜伏する地際や枝の分岐部分を定期的に確認し、見つけたらすみやかに取り除きましょう。

庭の環境に合わせてオリーブを育ててみよう!

庭の環境に合わせてオリーブを育ててみよう!
オリーブの育て方のポイントや剪定方法、注意点についてご紹介しました。丈夫で育てやすいオリーブは、初心者でも簡単に栽培できるおすすめの木です。

オリーブ栽培を成功させるためのポイントは、十分な日当たりと風通しを確保すること。水のやりすぎに注意して、おいしい実を収穫するための追肥も忘れずにおこなってください。

オリーブの木を育てて、美しい樹形や果実の収穫を楽しみましょう。

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