カボチャの栽培方法|プランターで育てるポイントを初心者向けに詳しく紹介
カボチャの栽培方法|プランターで育てるポイントを初心者向けに詳しく紹介

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秋の味覚としてさまざまな料理やお菓子づくりに活躍するカボチャ。家庭菜園で人気がある野菜の一つで、初心者の方でも簡単に栽培できます。
本記事では、プランターでも手軽に育てられるカボチャの基本情報や栽培のコツを詳しくご紹介します。水やりのポイントや肥料の与え方、置き場所、収穫の注意点などを知って、おいしいカボチャに育てていきましょう。
目次
カボチャの基本情報
まず、カボチャの基本情報について確認していきましょう。
科名/td> | ウリ科 |
属名 | カボチャ属 |
和名 | 南瓜 |
英名 | Pumpkin, Squash |
別名 | 南京(ナンキン) |
原産地 | アメリカ大陸 |
分類 | 一年草 |
販売時期 | 種:3~6月 苗:4~6月 |
収穫時期 | 6~9月 ※日本カボチャは開花から30~40日、西洋カボチャは40日~50日で収穫 |
耐暑性 | やや強い ※品種により異なる |
耐寒性 | やや強い ※品種により異なる |
カボチャは日当たりと風通しの良い場所を好む、つる性の野菜です。栄養豊富で硬い皮を持つカボチャは、保存食としても親しまれてきました。
家庭菜園でも比較的育てやすいカボチャですが、プランター栽培ではミニカボチャなどの小型種を育てます。耐暑性や耐寒性は品種によって異なるため、初心者の方は地域に合ったカボチャを育てるといいでしょう。
特徴
カボチャは緑色や黄色の皮を持ち、中には甘くホクホクとした食感の果肉があります。日本へは16世紀中期に九州へ伝わり、日本中で栽培されるようになりました。
栄養価が高く、保存性が高いことも特徴の一つで、カロテン、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEが豊富に含まれています。収穫後は風通しの良い場所で2〜3か月ほど常温保存が可能です。カボチャは夏野菜ですが、追熟させることで甘味が増し、秋の味覚としても楽しめます。
また、カボチャの種類は「日本カボチャ」「西洋カボチャ」「ペポカボチャ」の大きく3つに分けられ、国内の生産量は全体の50%以上を西洋カボチャである「クリカボチャ」が占めています。
主な品種
カボチャにはさまざまな品種があり、お気に入りを見つけて育てる楽しさがあります。地方品種も多く、おもしろい形をしているカボチャを育てられる点も魅力的です。
プランター栽培に向く、初心者におすすめの主な品種をご紹介します。
- 坊ちゃん(※西洋カボチャ)
手のひらサイズのミニカボチャで、プランター栽培に向く家庭菜園の人気品種。500gほどの大きさで調理がしやすく、開花から40日ほどで収穫できる早生(わせ)品種の一つです。
- ほっこり姫(※西洋カボチャ)
高粉質で緻密な果肉をしており、食味にすぐれているミニカボチャの人気品種。600〜800gほどの大きさでプランター栽培に向いています。
- バターナッツカボチャ(※ペポカボチャ)
ひょうたんの形をしており、濃厚な甘みとねっとりとした食感が特徴の品種です。スープやお菓子づくりに適しています。500g〜1kgほどの大きさで、プランター栽培も可能です。
家庭菜園で人気のカボチャは、新品種がつぎつぎと登場しています。苗や種の選び方に迷う場合は、実の大きさや植え付け時期を確認して選ぶといいでしょう。
カボチャ栽培に必要なもの
カボチャを育てるために必要なものは以下のとおりです。
- カボチャの種または苗
- プランター(幅65cm、深さ30cm以上)
- 培養土
- 鉢底石と鉢底ネット
- 肥料
- スコップ
- ジョウロ
- 園芸ハサミ
- マルチング材(バークチップなど)
- 支柱
- ひも(麻ひもなど)
比較的苗を入手しやすいカボチャですが、珍しい地方品種などは苗での流通量が少ないため、種から入手する方法もおすすめです。定番品種の栽培に慣れてきたら、ぜひ種からの栽培にも挑戦してみてください。
また、本来は畑の土を這うように生育するため、プランター栽培ではつるを巻き付けるための支柱とひもを用意しましょう。カボチャのつるは太いため、太い支柱でしっかりと支えることが大切です。
苗の選び方
カボチャの苗は、ポットで根詰まりを起こす前に入手することがポイントです。苗を選ぶ際には、以下のポイントを押さえておくといいでしょう。
- 葉に厚みがあり鮮やかな緑色をしている
- 茎が太くしっかりとしている
- 病害虫が付いていない
カボチャは育苗期間が短いため、小さなポット苗を購入したら、なるべく早く植え付けをおこなってください。種から育てる場合は、1ポットに1〜3粒をまき、勢いのある1本を残して1か月ほど育苗してからプランターに定植できます。
プランターの選び方
カボチャ栽培で使用するプランターは、根を十分に伸ばせるよう、大きくて深いタイプが望ましいです。深さが30cm以上あるプランターを用意してください。
形や幅はさまざまですが、つるを巻きつけるための支柱を立てる必要があるため、幅が広い長方形タイプがおすすめです。また、カボチャは大きく育つため、初心者の方は軽くて扱いやすいプラスチック製を選ぶといいでしょう。
カボチャの栽培方法
大きな実を付けるカボチャは、適切な環境で育てることが大切です。プランターで育てる場合、つるの整枝や摘花、受粉などの手入れが必要となります。
カボチャ栽培に適した置き場所から収穫まで、初心者の方でもカボチャを上手に育てるためのポイントをご紹介します。
日当たり・置き場所・温度
カボチャ栽培では、日当たりと風通しの良い場所にプランターを置いてください。つるが伸びても風通しを確保できるように、鉢まわりのスペースを十分に確保すると病害虫予防につながります。
カボチャの生育に適した温度は17〜20℃で、気温が10℃以下になると生育が悪くなり枯れてしまうおそれがあります。とくに、植え付け後の苗が寒さに当たることに注意し、地域に合った時期を守って栽培しましょう。
植え付け方
カボチャの苗を植える時期は4〜6月が一般的で、霜の心配がなくなったころが適しています。種から育てる場合は3月ごろに育苗をはじめますが、発芽温度の25〜30℃前後を保つためにビニールなどで保温するといいでしょう。
株間は40cmを目安に植え付けをおこないます。プランター栽培では幅65cmで1〜2株を目安に植え付け、十分な日当たりを確保してください。
水やりの仕方
カボチャの水やりは、表土が乾いたタイミングでたっぷりと与えてください。プランターに植え付けた後、しっかりと根が付くまでは毎日の水やりは不要です。
植え付けから1か月ほどは、株の様子を見ながら水やりの頻度を上げていきましょう。カボチャは乾燥を好むため、梅雨時期は水の与えすぎに注意します。
株が大きくなり気温が上昇する夏は、プランターに根がいっぱいになっているため、水切れに注意しましょう。朝または夕方の涼しい時間帯に水を与えてください。
肥料のやり方
大きな実を収穫するカボチャは、肥料が欠かせません。しかし、肥料過多になると葉ばかりが茂って実が育ちにくくなるため、規定量を守って与えることが大切です。
以下を目安に、適切なタイミングで肥料を与えましょう。
- 元肥
植え付け時には土に元肥として化成肥料を混ぜ込みます。初心者の方は、元肥の入った野菜用培養土がおすすめです。
- 追肥
植え付けから1か月後の5〜6月、1回目の追肥から2週間〜1か月後の2回を目安に、化成肥料を株のまわりにまきます。このとき、かさが減った分の土を足して、株が倒れないように支えてあげましょう。
追肥のやり方を解説|野菜や花を大きく元気にする肥料の重要性
整枝・摘花の仕方
適切なタイミングで整枝・摘花をおこなうことも、カボチャの栽培を成功させるポイントです。ほったらかしにするとつるが伸びすぎて株全体に日光が当たらなくなり、実が育たなくなってしまいます。
整枝で残すつるは品種によって異なるため、事前に確認しておきましょう。西洋カボチャは実の付きやすい親づるを残し、日本カボチャは親づるを摘心して、勢いのある子づるを2〜3本残します。
摘花は、おいしいカボチャを育てるためにおこなう手入れで、株元から9節目までの花をすべて摘み取ります。1株からたくさんの花が咲きますが、育てるカボチャを選別して、大きく育てていきましょう。
受粉の仕方
カボチャは、雌花(めばな)と雄花(おばな)の2種類の花が咲きます。見分け方は簡単で、花の付け根あたりが丸くふくらんでいるのが雌花(めばな)です。
自然ではハチなどの虫が花粉を運んで受粉しますが、ベランダや梅雨時期などの虫が少ない環境では、人工授粉をして結実させる必要があります。花が咲いたら、雄しべに付いた花粉を筆や綿棒で取り、雌花の雌しべにまんべんなくこすり付けて、人工授粉をおこないましょう。
人工授粉を成功させるためのポイントは、なるべく早朝におこなうことです。花粉を付ける際は、雄花の花びらを取り除いておくと作業がしやすくなります。
収穫のタイミングと保存の仕方
かぼちゃの葉が黄色く枯れてきたら、いよいよ収穫していきます。品種や植え付けのタイミングによって異なりますが、6〜9月が収穫の適期です。
収穫の目安は以下を参考にしてください。
- 品種の収穫目安と一致している
まず、植え付けた品種の収穫時期を確認しましょう。かぼちゃの収穫時期は、開花からの日数が目安となります。例えば、プランター栽培に向く「坊ちゃん」は、ミニカボチャの早生品種のため、開花から40日ほどで収穫時期をむかえます。
- ヘタがコルク化し実の色艶が良い(※西洋カボチャ)
西洋カボチャは、ヘタが茶色に変色してコルク化したら収穫のタイミングです。また、実の色艶が良く、爪を立てても傷つかないことで収穫適期を判断できます。
- 皮の色がオレンジ色(※バターナッツカボチャ)
日本カボチャやペポカボチャはヘタがコルク化しないため、品種の収穫時期と皮の色で判断します。例えば、プランター栽培におすすめのバターピーナッツカボチャは、皮の色が白色からオレンジ色に変化したら収穫のタイミングです。
収穫後は「キュアリング」と呼ばれる「追熟」をおこなうことで、かぼちゃの甘味が増し、切り口からの腐食を防ぐことにより保存性が増します。キュアリング(追熟)は、日陰の涼しい場所に2〜4週間ほど置き、切り口をしっかりと乾燥させることがポイントです。
カボチャ栽培での注意点
初心者の方でも比較的育てやすいカボチャですが、プランター栽培では株全体に日光が当たりにくい点がデメリットです。鉢まわりは十分なスペースを確保し、つるや葉が日光を奪い合ってしまわないように注意しましょう。
カボチャが結実したら、収穫までには日光が当たる場所を変える「玉直し」をおこなってください。玉直しをすることで皮の色付きが良くなります。
また、高い場所に付いた実は、ネットなどで保護して落下を防ぎましょう。土に接している部分は食品トレーなどを敷くと、病気予防につながります。
カボチャの病害虫対策
カボチャは風通しが悪いと、病害虫の被害を受けるおそれがあります。病気にかかったり害虫が付いたりすると、実がうまく育たずに枯れてしまうこともあるため注意してください。
主に、下記の病害虫への対策と駆除をおこないましょう。
- うどんこ病
うどんこ病は、発症すると葉っぱが白いうどん粉(小麦粉)をまぶしたような状態になります。風通しが悪く、葉が混みすぎている場合に発生しやすいため注意しましょう。伸びたつるの整理を定期的におこない、風通しを良くすることで発症を防げます。
- ウリハムシ
ウリハムシは、成虫が葉を食害し、幼虫が根を加害する害虫です。主に収穫前の6〜7月に注意する必要があります。体長7mmほどで黄褐色の成虫を見つけたら、すみやかに取り除きましょう。
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