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ジンチョウゲの育て方!枯らさずに楽しむコツや剪定時期・挿し木の手順を解説

ジンチョウゲの育て方!枯らさずに楽しむコツや剪定時期・挿し木の手順を解説

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まだ肌寒い早春に、甘く上品な香りを漂わせ、春の訪れを教えてくれるジンチョウゲ。その香りの良さから、クチナシ、キンモクセイと並んで「三大香木」と称され、古くから多くの人々に愛されてきました。

丈夫で育てやすい性質から、ガーデニング初心者の方にもおすすめの花木ですが、いくつかのポイントを押さえることで、より健やかに、毎年美しい花を楽しむことができます。この記事では、ジンチョウゲの基本的な育て方から、植え替えや剪定のコツ、増やし方まで、初心者の方が枯らさずに楽しむための秘訣を詳しくご紹介します。

ジンチョウゲはどんな植物?

ジンチョウゲ

ジンチョウゲは、春に香りの良い花を咲かせる常緑低木です。艶やかな緑の葉と、枝先にこんもりと集まって咲く花のコントラストが美しく、庭木や鉢植えとして人気があります。まずは、そんなジンチョウゲの基本的な情報から見ていきましょう。

ジンチョウゲの基本情報

ジンチョウゲの栽培を始める前に、基本的な特徴をまとめた情報をご覧ください。耐寒性や耐暑性を知ることで、ご自宅の環境で育てられるかどうかの目安になります。

科名 ジンチョウゲ科
属名 ジンチョウゲ属
和名 ジンチョウゲ(沈丁花)
英名 Winter daphne
学名 Daphne odora
別名 チョウジグサ、ズイコウ(瑞香)
原産地 中国南部、ヒマラヤ
分類 常緑低木
販売時期 10月~4月(苗木)
開花時期 2月~4月
収穫時期 なし
耐暑性 普通
耐寒性 普通

三大香木の一つで春を告げる香り

ジンチョウゲの最大の魅力は、その心安らぐ豊かな香りです。まだ花の少ない早春に、どこからともなく漂う甘い香りに、春の訪れを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。その香りは、香木の「沈香(じんこう)」のように心地よく、花の形がスパイスの「丁子(ちょうじ)」に似ていることから、「沈丁花」と名付けられたと言われています。

一般的に知られるジンチョウゲの花は、外側が可愛らしいピンク色で、内側は清らかな白色をしています。花びらのように見える部分は、実は花びらではなく「萼(がく)」が変化したものです。肉厚で光沢のある葉との組み合わせも上品で、和風・洋風どちらのお庭にも良くなじみます。

代表的な種類と選び方

ジンチョウゲには、いくつかの種類があります。それぞれに違った魅力があるので、お好みに合わせて選んでみましょう。

最もポピュラーなのが、花の外側がピンク色になる赤花種です。香りが強く、華やかな印象を与えます。清楚な雰囲気がお好みなら、花全体が真っ白な白花種もおすすめです。また、葉の縁に白い斑が入る斑入り品種は、花のない時期でも葉の美しさを楽しむことができ、お庭を明るく彩ってくれます。

苗を選ぶ際は、葉の色が濃く、つややかで、枝が間延びせずがっしりとしているものを選びましょう病害虫の被害がないか、葉の裏までよく確認することも大切なポイントです。

ジンチョウゲを育てる前の準備

ジンチョウゲ
ジンチョウゲを健やかに育てるためには、育てる環境を整えることが大切です。特に、根がデリケートな植物なので、最初の植え付けが肝心です。ここでは、鉢や土、植え付けの場所選びについて解説します。

栽培に適した鉢と土の用意

ジンチョウゲは水はけの良い土を好むため、鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を利用するのが手軽でおすすめです。ご自身で土を作る場合は、赤玉土(小粒)6と腐葉土4を混ぜ合わせたものなどが適しています。水はけをさらに良くするために、鉢底石を敷くことを忘れないようにしましょう。

地植えの場合は、植え穴を掘った土に腐葉土や堆肥を2〜3割ほど混ぜ込み、土壌を改良しておきます。これにより、水はけと水もちのバランスが良く、ジンチョウゲの根が健やかに育つ環境が整います。

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栽培方法 用土の種類
鉢植え 市販の草花用培養土、または赤玉土と腐葉土の混合土
地植え 掘り上げた土に腐葉土や堆肥を混ぜ込む

苗の植え付け時期と場所の選定

ジンチョウゲの植え付けに適した時期は、春の3月〜4月か、秋の9月〜10月です。この時期は気候が穏やかで、植え付けによる根への負担が少なく、スムーズに根付きやすくなります。

植え付け場所は、その後の生育を大きく左右する重要なポイントです。ジンチョウゲは、強い日差し、特に西日を嫌います。そのため、午前中は日が当たり、午後は日陰になるような「半日陰」の場所が最適です。また、風通しが良い場所を選ぶことで、病害虫の発生を抑えることができます。一度植え付けると移植を嫌う性質があるため、場所選びは慎重に行いましょう。

ジンチョウゲの基本的な育て方

ジンチョウゲ
植え付けが終わったら、日々の管理が始まります。ジンチョウゲは比較的丈夫な植物ですが、水やりや肥料のタイミングを適切に行うことで、花付きが良くなり、株も元気に育ちます。ここでは、季節ごとのお手入れのポイントを見ていきましょう。

季節ごとの水やりの頻度

ジンチョウゲは根が浅く乾燥に弱い性質があるため、水やりは重要な管理作業の一つです。鉢植えの場合は、土の表面が乾いているのを確認したら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。特に、新芽が伸びる春と、乾燥しやすい夏は水切れに注意が必要です。

地植えの場合は、基本的に雨水で十分ですが、晴天が続いて土が乾燥しているようであれば、適宜水やりをします。いずれの場合も、水のやりすぎは根腐れの原因になるため、土の状態をよく観察することが大切です。

栽培方法 水やりの目安
鉢植え 土の表面が乾いたらたっぷりと与える
地植え 基本的に不要だが、乾燥が続く場合は与える

肥料を与える時期と種類

ジンチョウゲに肥料を与えることで、株の成長を助け、花付きを良くすることができます。肥料は、年に3回与えるのが基本です。

まず、春の花が終わった後のお礼肥として、緩効性化成肥料を与えます。次に、株が充実する9月頃に同じく緩効性化成肥料を施します。そして、冬の1月〜2月には、寒肥として有機質肥料を株元に施すと、春からの成長がより一層良くなります。肥料の与えすぎはかえって株を弱らせる原因になるため、規定量を守りましょう。

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日当たりと最適な置き場所

前述の通り、ジンチョウゲは西日の当たらない半日陰の場所を好みます。強い日差しは葉焼けの原因となり、株を弱らせてしまう可能性があります。理想的なのは、家の東側の庭や、落葉樹の木漏れ日が差し込むような場所です。

また、風通しの良さも病気を防ぐ上で重要です。壁際や植物が密集している場所は避け、空気がよどまない場所を選んであげましょう。鉢植えの場合も同様に、夏場は直射日光を避けられる涼しい半日陰に移動させるなど、季節に応じて置き場所を調整すると元気に育ちます。

ジンチョウゲの植え替え方法

ジンチョウゲ
ジンチョウゲは、一度植えた場所から動かされることを非常に嫌う植物です。しかし、鉢植えで育てている場合は、根詰まりを防ぐために植え替えが必要になることもあります。ここでは、ジンチョウゲの植え替えに関する注意点と、どうしても必要な場合の手順について解説します。

植え替えは基本的に避けるべき理由

ジンチョウゲの根は、細くて柔らかく、非常にデリケートです。植え替えの際に根が傷ついてしまうと、水分や養分をうまく吸収できなくなり、最悪の場合、そのまま枯れてしまうことがあります

特に、地植えにしてから数年経った大きな株は、根が広範囲に張っているため、移植はほぼ不可能と考えた方が良いでしょう。このような性質から、ジンチョウゲは「移植を嫌う」植物として知られています。最初の植え付け場所を慎重に選ぶことが、長く楽しむための最も重要なコツです。

鉢植えで根詰まりした場合の手順

鉢植えの場合、数年育てていると鉢の中で根がいっぱいになり、根詰まりを起こすことがあります。鉢底から根が見えていたり、水を与えても土にしみ込みにくくなったりしたら、根詰まりのサインです。

植え替えは、3月下旬から4月または9月下旬から10月が適期です。手順としては、まず現在の鉢より一回り大きな鉢を用意します。そして、元の鉢から株をそっと引き抜き、根鉢(根と土が一体化したもの)を絶対に崩さないように注意しながら、新しい鉢へ移します。隙間に新しい土を足し、水をたっぷりと与えれば完了です。この「根鉢を崩さない」という点が、成功させるための最大のポイントです。

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ジンチョウゲの剪定について

ジンチョウゲ
ジンチョウゲは自然に樹形が丸く整うため、頻繁な剪定は必要ありません。しかし、枝が込み合って風通しが悪くなると、病害虫の原因になることもあります。ここでは、適切な剪定の時期と方法について説明します。

剪定は花が終わった直後が最適

ジンチョウゲの剪定は、花が咲き終わった直後の4月〜5月に行うのがベストタイミングです。なぜなら、ジンチョウゲは夏に来年の花芽を作る性質があるからです。

もし夏以降に剪定をしてしまうと、せっかくできた花芽を切り落としてしまうことになり、翌春に花が咲かなくなってしまいます。花が終わったらなるべく早く、遅くとも5月中には剪定を済ませるように心がけましょう。

込み合った枝を間引く程度に留める

ジンチョウゲの剪定は、強い切り戻しは行いません。樹形を乱すように伸びすぎた枝や、内側に向かって伸びている枝、枯れてしまった枝などを根元から切り取る「間引き剪定」が基本です。

枝が込み合っている部分を間引くことで、株の内側まで日差しが届き、風通しが良くなります。これにより、病気の予防につながり、株全体が健康に育ちます。あくまでも樹形を整え、風通しを良くする程度に留めることが、ジンチョウゲの剪定のコツです。

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ジンチョウゲの増やし方

ジンチョウゲ
お気に入りのジンチョウゲを、もう一株増やしてみませんか。ジンチョウゲは「挿し木」という方法で比較的簡単に増やすことができます。また、株には寿命があるため、もしもの時に備えておくという意味でも、挿し木は有効な手段です。

挿し木の時期と手順

挿し木に適した時期は、4月の「春挿し」か、7月〜8月の「夏挿し」です。まず、その年に伸びた新しい枝を10〜15cmほどの長さに切り取ります。先端の葉を2〜3枚残して下の葉は取り除き、切り口を斜めにカットします。

切り取った枝(挿し穂)を1〜2時間ほど水に浸けて吸水させた後、挿し木用の清潔な土に挿します。土が乾かないように日陰で管理すると、1〜2ヶ月ほどで根が出てきます。十分に根が張ったら、鉢に植え替えて育てましょう。

株の寿命に備えておく

ジンチョウゲは、他の庭木に比べると寿命が比較的短く、20〜30年ほどと言われています。また、はっきりとした原因がなくても、ある日突然枯れてしまうこともあります

大切に育ててきたジンチョウゲと長く付き合っていくためにも、元気なうちに挿し木でバックアップの株を作っておくと安心です。親株が万が一枯れてしまっても、挿し木で育てた子株があれば、引き続きその美しい花と香りを楽しむことができます。

注意すべき病気と害虫

ジンチョウゲ
ジンチョウゲは比較的病害虫に強い植物ですが、全くかからないわけではありません。特に注意したい病気と害虫について、その予防と対策を知っておきましょう。早期発見と早期対応が、株を守る鍵となります。

根が枯れる白紋羽病の予防

白紋羽病は、土の中にいる菌が原因で発生し、根を腐らせてしまう病気です。感染すると、葉が黄色くなって落ち始め、やがて株全体が枯れてしまいます。一度発症すると治療が困難なため、予防が最も重要です。

この病気は、過湿な環境で発生しやすいため、水はけの良い土で育てることが一番の予防策になります。また、同じ場所にジンチョウゲを植え続けると発生リスクが高まるため、地植えの場合は場所を変えるなどの工夫も有効です。

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新芽につくアブラムシの対策

春になると、新芽や若い茎にアブラムシが発生することがあります。アブラムシは植物の汁を吸って株を弱らせるだけでなく、病気を媒介することもあるため、見つけ次第すぐに対処することが大切です。

数が少ないうちは、テープなどに貼り付けて取り除くか、牛乳を薄めたスプレーなどを吹きかけると効果があります。大量に発生してしまった場合は、市販の園芸用殺虫剤を使用して駆除しましょう。定期的に葉の裏などをチェックする習慣をつけると、早期発見につながります。

 

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まとめ

ジンチョウゲ
ジンチョウゲの育て方について、基本的な知識から少し専門的な内容までご紹介しました。いくつかの大切なポイントを押さえることで、初心者の方でもきっと美しい花を咲かせることができます。春の訪れを告げる甘い香りに包まれる、豊かなガーデニングライフを楽しんでください。

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