コーナンTips 園芸 ツツジの育て方のコツとは?剪定時期や失敗しないポイントを解説 ツツジの育て方のコツとは?剪定時期や失敗しないポイントを解説 園芸 クリップボードにコピーしました ツツジの育て方のコツとは?剪定時期や失敗しないポイントを解説 この記事をシェアする! クリップボードにコピーしました 春の庭を鮮やかに彩るツツジは、古くから日本の庭木として親しまれてきました。種類が豊富で、初心者でも育てやすい丈夫な植物ですが、来年も美しい花を楽しむためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。特に剪定のタイミングを間違えると、翌年の花が咲かなくなってしまうこともあるため注意が必要です。ここでは、ツツジの基本的な育て方から、失敗しない剪定のコツ、病害虫対策までを詳しく解説します。 目次 ツツジの基本情報代表的なツツジの品種ツツジとサツキの違いツツジの栽培に必要な道具用土は酸性土壌を選ぶツツジの年間の栽培カレンダー初心者も安心なツツジの育て方日当たりや置き場所の条件苗木の植え付けの手順水やりの頻度とタイミング肥料を与える時期と種類翌年も花を咲かせる剪定手順ツツジの増やし方(挿し木)挿し木の時期挿し木の手順栽培で失敗しないための注意点花芽の形成時期を意識する乾燥と水切れに注意する気をつけたい病気や害虫葉が白くなるグンバイムシ花腐菌核病やもち病まとめ ツツジの基本情報 ツツジは、春の訪れとともに色鮮やかな花を咲かせ、日本の風景になじみ深い庭木です。常緑性のものから落葉性のものまで種類が豊富で、育てやすさから初心者にも人気があります。その基本的な情報を以下にまとめました。 項目 内容 科名 ツツジ科 属名 ツツジ属 和名 躑躅(ツツジ) 英名 Azalea 学名 Rhododendron 原産地 日本、中国、アジア東部など 分類 落葉低木、常緑低木 販売時期 2月〜6月、9月〜11月※開花株は春に多く出回ります 開花時期 4月〜5月※品種や地域により異なります 耐暑性 普通〜強い※夏の西日や極端な乾燥は苦手です 耐寒性 強い※寒冷地でも育つ品種が多いです 代表的なツツジの品種 ツツジには数多くの品種が存在し、それぞれ花の大きさや色、開花時期が異なります。庭の雰囲気や好みに合わせて選ぶ楽しさがあるのもツツジの魅力です。 代表的な品種としては、まず「ヤマツツジ」が挙げられます。日本の野山に自生するもっともポピュラーな品種で、朱色の花が特徴的です。次に「クルメツツジ(久留米ツツジ)」は、花が小ぶりで花付きが非常によく、満開時には株全体が花で覆われるほど鮮やかになります。江戸時代に久留米藩で改良された品種群です。 また、「ヒラドツツジ(平戸ツツジ)」は、長崎県の平戸で生まれた品種で、花が大きく成長も早いため、公園や街路樹としてよく利用されます。 ツツジとサツキの違い 似た仲間である「サツキ(サツキツツジ)」は、ツツジよりも少し遅い5月下旬頃から開花し、葉が小さいのが特徴です。サツキもツツジ属の一種ですが、園芸上は区別して扱われることが一般的です。 ツツジの栽培に必要な道具 ツツジを健康に育て、美しい花を咲かせるためには、適切な道具を準備することが大切です。特別な道具は必要ありませんが、剪定や土作りに必要なアイテムを揃えておくことで、作業がスムーズに進みます。 栽培に必要な主な道具は以下の通りです。 道具名 用途・特徴 剪定ハサミ 枝を切って形を整えたり、不要な枝を取り除くために使用します。 刈り込みハサミ 生垣など、広い範囲を平らに整える際に役立ちます。 スコップ・シャベル 植え付けや植え替えの際に土を掘るために使います。 ジョウロ 水やりの際に使用します。ハス口がついていると優しく水やりができます。 肥料 花後のお礼肥や冬の寒肥として使用する緩効性肥料や油かすなど。 用土 酸性土壌を作るための鹿沼土やピートモス、ツツジ専用培養土など。 用土は酸性土壌を選ぶ ツツジを育てる上で最も重要なポイントの一つが「土選び」です。多くの植物は中性から弱酸性の土を好みますが、ツツジは明確に「酸性土壌」を好む植物です。これは、ツツジの根が栄養分(特にマンガンや鉄分など)を吸収する際、酸性の環境でないとうまく吸収できない性質を持っているためです。アルカリ性の土壌では葉が黄色くなる欠乏症を起こし、生育不良になることがあります。 鉢植えの場合は、鹿沼土をメインにした配合が適しています。例えば、鹿沼土とピートモス(酸度未調整のもの)を7対3程度の割合で混ぜたものや、市販されている「ツツジ・サツキ専用の培養土」を使うのが確実で安心です。地植えの場合、日本の土壌はもともと弱酸性の傾向がありますが、コンクリートブロックの近くなどはアルカリ性に傾いていることがあるため、植え付け場所にたっぷりと鹿沼土やピートモスを混ぜ込んで土壌改良を行うことをおすすめします。 ▶園芸用土|ホームセンターコーナンの通販サイト 関連記事 培養土とは?家庭菜園・ガーデニング初心者におすすめな選び方や使い方を解説 ツツジの年間の栽培カレンダー ツツジ栽培の年間スケジュールを把握しておくことで、適切な時期に必要な手入れを行うことができます。特に剪定のタイミングは花芽(はなめ)の形成に関わるため重要です。 ツツジは4月から5月にかけて開花し、花が終わった直後の5月から6月中旬までに剪定を行うのが鉄則です。夏場の7月から8月にかけて翌年の花芽が作られるため、この時期以降に剪定をすると花芽を切り落としてしまうことになります。植え付けや植え替えは、真夏と真冬を避けた春か秋に行うのが適しています。肥料は花後のお礼肥(おれいごえ)と、冬の寒肥(かんごえ)が基本となります。 以下に主な作業の目安となるカレンダーをまとめました。 月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 開花 ● ● 剪定 ● ● 肥料 ● ● ● ● ● 植え付け ● ● ● ● ● ● 初心者も安心なツツジの育て方 ツツジは環境さえ合えば、それほど手のかからない植物です。しかし、置き場所や水やりの基本を間違えると弱ってしまうことがあります。ここでは初心者の方でも安心して取り組める基本的な育て方の手順を解説します。 各工程の要点を以下の表に整理しました。 作業工程 ポイント 置き場所 日当たりと風通しの良い場所。西日は避けるのが無難。 水やり 根が浅いため乾燥に注意。夏場は特にたっぷりと。 肥料 花後(お礼肥)と冬(寒肥)に与える。 剪定 花が終わったらすぐに行うことが最大のコツ。 日当たりや置き場所の条件 ツツジは日光を好む植物ですので、基本的には日当たりの良い場所で育てます。日照不足になると花付きが悪くなったり、枝が徒長して弱々しくなったりします。ただし、夏の強い西日や乾燥する場所は苦手です。株元の乾燥を防ぐためにも、西日が強く当たらない場所や、半日陰になるような場所を選ぶと生育がスムーズです。また、風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなるため、適度に風が抜ける環境を整えてあげましょう。 苗木の植え付けの手順 苗木の植え付け適期は3月~6月上旬、もしくは9月下旬~10月です。植え付ける際は、根鉢(根と土の塊)を3分の1程度、崩して植えるのがポイントです。ツツジの根は細く、フェルト状に固まりやすい性質があります。そのため、ポットから出したら根鉢の周りを手で軽くほぐしたり、ハサミで切り込みを入れたりして、新しい土に根が伸びやすいようにしましょう。 植え穴は根鉢の2倍程度の大きさで掘り、底に鹿沼土やピートモスを混ぜた酸性の用土を入れます。植え付ける深さは、根鉢の上面が地面と同じか、やや高くなる「浅植え」を意識してください。深植えにすると根が呼吸できずに弱ることがあります。植え付け後はたっぷりと水をやり、株を安定させます。 水やりの頻度とタイミング ツツジは根が細く、地表近くに浅く張る性質があるため、乾燥に非常に弱い植物です。特に鉢植えの場合は水切れを起こしやすいので注意が必要です。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。夏場は朝と夕方の2回水やりが必要になることもあります。 地植えの場合は、根付いてしまえば自然の雨で十分なことが多いですが、夏場に雨が降らない日が続くようなら水やりを行います。葉がしんなりとしてきたら水切れのサインですので、速やかに水を与えましょう。冬場は休眠期に入りますが、極端な乾燥は避けるため、土の乾き具合を見て適宜水やりを行います。 肥料を与える時期と種類 肥料を与えるタイミングは、主に年3回あります。1回目は花が咲き終わった5月から6月頃で、これを「お礼肥(おれいごえ)」と呼びます。花の開花で消耗した体力を回復させ、新しい枝を伸ばすための栄養補給です。緩効性の化成肥料や油かすなどを株元に与えます。 2回目は9月下旬から10月頃で、翌年の花芽を充実させるための追肥を行います。そして3回目は1月から2月の休眠期に与える「寒肥(かんごえ)」です。寒肥は、春からの成長に向けて土の中でゆっくりと効く有機質肥料(油かすや骨粉など)を与えるのが一般的です。肥料を与える際は、幹に直接触れないよう、枝先の真下あたりの土に施すようにしましょう。 ▶肥料|ホームセンターコーナンの通販サイト 関連記事 追肥のやり方を解説|野菜や花を大きく元気にする肥料の重要性 | コーナンTips 翌年も花を咲かせる剪定手順 ツツジ栽培で最も失敗が多いのが剪定の時期です。翌年も花を咲かせるためには、「花が終わったら直ちに剪定する」ことが何よりも重要です。ツツジは花が終わった後の6月から7月頃に、枝の中で翌年のための花芽(はなめ)を作り始めます。そのため、夏以降に剪定を行うと、せっかくできた花芽を切り落としてしまい、翌春に花が咲かない原因となります。 剪定の手順は、まず咲き終わった花がらを摘み取るところから始めます。全体を小さくしたい場合は、好みの大きさより一回り小さく刈り込みハサミで丸く整えます。ツツジは萌芽力が強いため、強く刈り込んでもまた新しい枝が出てきます。その後、枯れた枝や内側で混み合っている細い枝、飛び出した枝(徒長枝)を剪定ハサミで根元から切り取り、風通しを良くします。 関連記事 植木の剪定は自分でできる!切る枝の見分け方と時期について初心者向けに解説 | コーナンTips ツツジの増やし方(挿し木) ツツジはお気に入りの株を「挿し木」によって増やすことができます。剪定した元気な枝を使えば、初心者でも比較的簡単に新しい苗を作ることができます。成功の秘訣は、適切な時期に行うことと、土を乾燥させないことです。 挿し木の概要を以下の表にまとめました。 項目 内容 適期 6月~7月(花後の新芽が固まった頃)が最適 必要なもの 鹿沼土(細粒)または挿し木用土、育苗ポット、カッター、割り箸 置き場所 直射日光の当たらない明るい日陰 水やり 土が絶対に乾かないよう、こまめに水やりをする 挿し木の時期 ツツジの挿し木に適しているのは、花が終わり、春に伸びた新しい枝(新梢)がある程度固まってきた「6月から7月」です。この時期に行う挿し木を「夏挿し」や「緑枝挿し(りょくしざし)」と呼びます。湿気が多く、挿し穂が乾燥しにくいため根付きやすく、初心者の方にもおすすめの時期です。3月~4月に前年の枝を使って行う「春挿し」もありますが、夏挿しの方が一般的で成功率も高いと言われています。 挿し木の手順 まず、挿し穂(さしほ)を作ります。その年に伸びた元気な枝を10cm〜15cmほどの長さで切り取ります。枝の先端にある葉を2〜3枚だけ残し、下の方についている葉はすべて取り除きます。もし花芽がついている場合は、発根に使うエネルギーを温存するために取り除いておきましょう。切り口はカッターや鋭利なハサミで斜めにスパッと切り、水を吸う面積を広くします。 次に「水揚げ」を行います。作った挿し穂をコップなどの水に入れ、1時間から半日ほど時間をかけてたっぷりと水を吸わせます。このとき、発根促進剤(ルートンなど)を切り口に薄くまぶしておくと、根が出る確率がぐっと高まります。 挿し床の準備として、育苗ポットや平鉢に、清潔な「鹿沼土(小粒)」や「挿し木専用の土」を入れ、あらかじめ水をかけて湿らせておきます。肥料分の入っている土や使い古しの土は、雑菌やカビの原因になるため避けてください。割り箸などで土に深さ5cmほどの穴を開け、挿し穂を傷めないように挿し込みます。指で周りの土を軽く押さえて固定したら、再度たっぷりと水やりを行います。 挿し木後は、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。根が出るまでの約1ヶ月間は、土を絶対に乾燥させないことが重要です。乾燥が心配な場合は、鉢にビニール袋をかぶせて内部の湿度を保つ方法(密閉挿し)も有効ですが、その際は時々換気をして蒸れすぎないように注意しましょう。新芽が動き出し、十分に発根したら、徐々に日光に慣らして通常の管理に移行します。 栽培で失敗しないための注意点 ツツジを枯らさずに長く楽しむためには、いくつかの落とし穴を避ける必要があります。特に花芽の扱いと水切れは、ツツジ栽培における二大失敗要因と言えるでしょう。 主な注意点と対策を以下の表に示します。 注意点 対策 花が咲かない 剪定時期を守る(花芽形成前に切る)。日当たりを確保する。 枯れる・弱る 水切れに注意する。深植えを避ける。酸性土壌を使う。 花芽の形成時期を意識する 前述の通り、ツツジの翌年の花芽は夏(6月〜7月頃)に形成されます。この時期を過ぎてから樹形を整えようと枝を切ると、外見からは見えにくい花芽まで切り落としてしまうことになります。「秋に伸びた枝が気になるから」といってバッサリ切ってしまうのは禁物です。秋以降に剪定する場合は、どうしても邪魔な枝だけを軽く切る程度に留めましょう。 乾燥と水切れに注意する ツツジは「根が浅い」植物です。深い土壌から水分を吸い上げることが苦手なため、表土が乾くとすぐに根が乾燥してしまいます。特に夏の暑い時期や、冬場の乾燥した風が当たる場所では、気づかないうちに水切れを起こして枯れてしまうことがあります。鉢植えの場合は土の表面が乾いたらすぐに水やりを行い、地植えの場合も株元にバークチップや腐葉土を敷く「マルチング」を行うことで、土の乾燥を防ぐことができます。 ▶バークチップ|ホームセンターコーナンの通販サイト 気をつけたい病気や害虫 ツツジは比較的丈夫な植物ですが、適切な環境でない場合、病気や害虫が発生することがあります。早期発見と対策が被害を最小限に抑える鍵となります。 代表的な病害虫とその特徴は以下の通りです。 病害虫名 症状・特徴 グンバイムシ 葉の色が白っぽく抜ける。葉の裏に黒い点が付く。 ベニモンアオリンガ 新芽や蕾を食害する。 もち病 葉が餅のように膨らんで変形する。 花腐菌核病(はなぐされきんかくびょう) 花に茶色い斑点ができ、腐ったようになる。 葉が白くなるグンバイムシ 「ツツジグンバイ」はツツジに最もよくつく害虫の一つです。体長3〜4mmほどの小さな虫で、葉の裏に寄生して汁を吸います。被害にあうと、葉の表面から葉緑素が抜け、白くカスリ状の色になります。葉の裏を見ると、黒いヤニ状の排泄物が付着しているのが特徴です。4月から10月頃まで発生しやすいため、見つけ次第、適用のある殺虫剤を散布して駆除します。風通しを良くすることで発生を予防する効果もあります。 花腐菌核病やもち病 「もち病」は、主に新芽や若い葉が餅を焼いたときのように白く膨れ上がる病気です。見た目が悪くなるだけでなく、光合成ができなくなり株が弱ります。発病した葉は見つけ次第摘み取り、処分してください。多湿の環境で発生しやすいため、剪定で風通しを確保することが大切です。 「花腐菌核病(はなくされきんかくびょう)」は、花弁に水がしみたような褐色の斑点ができ、やがて花全体が茶色く腐って枝に張り付く病気です。雨の多い時期に発生しやすく、放置すると翌年の発生源になるため、病気にかかった花は早めに取り除き、地面に落ちた花がらも綺麗に掃除することが予防につながります。 ▶園芸農薬|ホームセンターコーナンの通販サイト 関連記事 植物の病気対策|主な種類と症状、家庭菜園でできる予防策と対処法を解説 | コーナンTips 関連記事 ガーデニングの害虫対策!初心者でも簡単にできる方法を紹介 | コーナンTips まとめ ツツジは、酸性土壌を用意し、水切れに注意して育てれば、毎年美しい花を咲かせてくれる素晴らしい庭木です。最も重要なポイントは「花が終わったらすぐに剪定すること」です。このタイミングさえ逃さなければ、来年も満開のツツジを楽しむことができるでしょう。季節ごとの手入れを楽しみながら、ぜひ素敵なお庭づくりに挑戦してみてください。 ガーデニング特集|ホームセンターコーナンの通販サイト
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