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【獣医師監修】犬の社会化期とは?子犬の将来を決める大切な育て方と具体的な方法を解説!

【獣医師監修】犬の社会化期とは?子犬の将来を決める大切な育て方と具体的な方法を解説!

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新しい家族として子犬を迎える喜びは大きいものですが、同時に「この子をどんな風に育てていけばいいのだろう?」と考える飼い主さんも多いのではないでしょうか。特に子犬の時期は、将来の性格や行動を左右する大切な期間です。その中でも「社会化期」と呼ばれる時期は、愛犬が人や他の犬、そして私たち人間が暮らす様々な環境に慣れ、穏やかで賢い犬に育つための基礎を作る上で非常に重要になります。この記事では、犬の社会化期とは何か、なぜ大切なのか、そして具体的に何をすれば良いのかを分かりやすく解説します。愛犬とのより良い未来のために、ぜひ参考にしてください。

犬の社会化期とは?

座っている子犬
子犬を家族に迎えたら、まず知っておきたいのが「社会化期」です。この時期は、子犬が人間社会や他の犬、様々な環境刺激に慣れ、将来の性格や行動パターンを形成する上で非常に重要な期間となります。適切な社会化は、愛犬が精神的に安定し、様々な状況に対応できる賢い犬へと成長するために不可欠です。逆に、この時期の経験が不足すると、将来的に問題行動を引き起こす可能性も指摘されています。

 

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社会化期はいつからいつまで?

犬の社会化期は、一般的に生後3週齢頃から始まり、生後12週齢~16週齢頃(およそ生後3ヶ月~4ヶ月)までとされています。この期間は、子犬が新しい物事に対して好奇心旺盛で、恐怖心よりも探求心が勝る貴重な時期です。「犬社会化期 いつまで」と気にされる飼い主さんも多いですが、特に重要なのは生後3ヶ月頃までです。
環境省の資料においても、「子犬は生後3ヶ月齢頃までに社会性を身につけることが望ましい」とされています。(引用元: 環境省「子犬と子猫の適正譲渡ガイド」

社会化は生涯を通じて継続することが理想ですが、この基礎となる期間を大切にしましょう。

なぜ社会化期が重要なのか?

社会化期が重要なのは、この時期の経験が子犬の脳の発達に大きな影響を与え、将来の行動や性格の基礎を作るからです。様々な刺激に安全に触れることで、新しい環境や未知の対象への適応能力が養われます

適切に社会化された犬は、落ち着いて状況に対応でき、恐怖心からくる問題行動(無駄吠え、噛みつきなど)を起こしにくくなります。逆に、経験不足だと些細なことで恐怖を感じたり、攻撃的になったりする傾向が見られることがあります。愛犬が穏やかでフレンドリーな性格に育つために、社会化期は非常に大切です。

社会化期に経験させたいこと一覧

社会化期には、子犬に様々な良い経験をさせてあげることが大切です。子犬のペースに合わせ、無理なく楽しく行いましょう。

カテゴリー 具体的な経験の例
人との接触 様々な年齢・性別・見た目の人に優しく接してもらう。子供との安全な触れ合い。
他の犬との接触 ワクチン接種済みの穏やかな犬との安全な環境での挨拶や遊び。犬同士のコミュニケーション学習。
様々な物音 生活音(掃除機、インターホンなど)や外の音(車の音など)に少しずつ慣らす。最初は小さな音から。
様々な場所 家の中、庭、静かな公園など。安全を確保し、徐々に慣らす(抱っこ散歩など)。
様々な物 首輪、リード、ブラシ、おもちゃなど、日常で目にする物に慣れさせる。
乗り物 クレート(持ち運びできる小さなゲージ)に慣れさせ、短い距離から車に乗る練習。
体のケア 体の各部位を優しく触られることに慣れさせる。ブラッシングや歯磨き、爪切りなどの練習を少しずつ行う。
しつけ 基本的な号令(おすわり、まて、おいでなど)を遊びながら楽しく学ぶ。

これらの経験は、子犬が将来、過剰な反応を示さないために役立ちます。

社会化トレーニングの具体的な進め方

芝生の上で子犬と遊ぶ男性

社会化トレーニングは、子犬が様々な刺激にポジティブな印象を持てるよう、計画的に進めることが大切です。焦らず、子犬の反応を見ながら一歩ずつ進めましょう。

ステップ1:人に対する社会化

人に対する社会化は、子犬が人間を信頼し、安心して接せるようにするための基本です。
家族や大人しい人から始め、優しく撫でてもらったり、おやつをもらったりする経験をさせます。様々な年齢、性別、外見の人に、子犬がリラックスしている状態で会わせましょう。子供と接する際は大人が監督し、優しい接し方を教えます。人との出会いが常に「良いこと」と関連付けられるようにすることが大切です。

ステップ2:他の犬に対する社会化

他の犬との適切なコミュニケーション能力を養うことも重要です。
ワクチン接種済みで穏やかな犬を選び、最初は距離を保って挨拶させ、徐々に交流の機会を増やします。パピークラス(パピースクール)などが開催するパピーパーティーは、安全な環境で他の子犬と触れ合える良い機会です。無理強いはせず、子犬が怖がる場合は他の犬がいる環境に慣れるだけでも良いでしょう。

Tips
パピークラス(パピースクール)とは子犬を対象としたしつけ教室のことをいいます。他の子犬と触れ合いながら社会性を育むことができます。

ステップ3:様々な物音への社会化

日常生活の様々な音に慣らしておくことで、音への過度な恐怖心を防ぎます。
掃除機やインターホンなどの生活音から慣れさせましょう。音を出す際におやつを与えたり優しく声をかけたりして、「怖くない」と教えます。屋外の車の音などにも少しずつ慣らしましょう。雷や花火の音は、録音した音を小さな音量から聞かせて慣らす方法もあります。飼い主が落ち着いて接することが大切です。

ステップ4:様々な場所や乗り物への社会化

様々な場所に不安なく出かけられるよう、多様な場所や乗り物に慣らしましょう。
家の中の探検から始め、徐々に庭や家の外へ連れ出してみてください。ワクチンプログラム中でも抱っこ散歩で外の刺激に触れさせられます。ワクチン接種が進んだら、静かな公園などへ短い散歩から始めましょう。車も、エンジンをかけずに車内で過ごすことから慣らし、短いドライブへ。クレートに慣れておくと安心です。

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ステップ5:体に触られることへの社会化

健康管理やお手入れ、動物病院での診察をスムーズに行うため、体を触られることに慣れさせましょう。
リラックスしている時に頭や背中から優しく撫で始め、徐々に耳、口周り、足先などデリケートな部分も触る練習をします。触られることにおやつを結びつけると効果的です。ブラッシングなども道具を見せることから始め、短い時間で少しずつ慣らします。嫌がる前に終えるのがポイントです。

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社会化トレーニングを成功させるポイント

野原を駆け回る犬
社会化トレーニングを効果的に進めるには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを意識することで、子犬は安心して新しいことを学び、飼い主との信頼関係も深まります。

無理強いせず愛犬のペースを尊重する

最も大切なのは、愛犬のペースを尊重し、無理強いしないことです。子犬にも個性があり、慣れるまでの時間はそれぞれ異なります
怖がる素振りを見せたらすぐに刺激から遠ざけ、安心できる環境に戻しましょう。「少しずつ、ゆっくりと」を心がけ、愛犬の小さな「できた!」を褒めて自信を育みます。

ポジティブな経験をたくさん積ませる

社会化期の経験は、「楽しい」「嬉しい」といったポジティブなものであることが非常に重要です。新しい刺激に出会った時におやつを与えたり褒めたりすることで、良い印象と結びつけます。
これを「陽性強化」といい、犬が自ら好ましい行動をとるように促す効果的な方法です。逆に嫌な経験は恐怖心に繋がるため、常に子犬の様子を観察し、ポジティブな経験を優先しましょう。

一貫性のある態度で接する

家族全員が社会化トレーニングの目的や方法を理解し、一貫した態度で接することも大切です。対応がバラバラだと子犬は混乱します。
例えば、飛びつきを止めさせたいなら、家族全員が同様に対応する必要があります。良い行動は褒め、望ましくない行動には適切に対応するルールを共有し、実践しましょう。

専門家のサポートも検討する

進め方に迷ったり、子犬が強い恐怖心を示したりする場合は、ためらわずに専門家のサポートを検討しましょう。
獣医師やドッグトレーナーは、個々の子犬に合わせたアドバイスをしてくれます。専門家の助けは、より効果的かつ安全な社会化に繋がり、飼い主の不安も軽減されるでしょう。

犬の社会化における注意点

ソファの上で抱かれる犬
犬の社会化を進める上で、いくつか注意点があります。これらを守ることで、子犬の健康と安全を確保しながら効果的に社会化を行えます。

ワクチンプログラムとの兼ね合い

子犬の社会化期は、ワクチンプログラムの時期と重なります。ワクチン完了までは、他の犬や不特定多数の人が集まる場所への接触は慎重に
しかし社会化期を逃すデメリットも大きいため、獣医師とよく相談し、適切な時期と方法で進めましょう。抱っこ散歩や衛生管理されたパピークラス(パピースクール)への参加などが考えられます。自己判断せず、必ず専門家の指示に従ってください。

社会化期を過ぎてしまった場合の対応

「社会化期を過ぎたからもう遅い」と諦める必要はありません。犬は生涯学習できます。
成犬でも、焦らずゆっくりとその犬のペースで様々な経験をさせてあげましょう。ただし、子犬期より警戒心が強かったり、慣れるのに時間がかかったりすることがあります。トレーニングはより慎重に、ポジティブな経験を重視します。問題行動が見られる場合は、専門家に相談しましょう。

過度な刺激は避ける

様々な経験は大切ですが、一度に多くの刺激や強すぎる刺激は避けましょう。トラウマになり、恐怖心を植え付ける可能性があります。
例えば、いきなり騒がしい場所に連れて行くのは逆効果です。子犬が怖がるサイン(尻尾を巻く、震えるなど)を見せたら、すぐに安心できる場所へ移動しましょう。「短時間で、楽しく、ポジティブに」を心がけ、子犬が自信を持てるようにサポートします。

社会化が不足するとどうなる?

タオルの上で寝ている犬
子犬期の社会化が不足すると、成犬になった際に様々な問題行動が現れるリスクが高まります。これは犬自身のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を低下させ、飼い主や周囲との関係にも影響します。「犬 社会化期 問題行動」と検索されるように、多くの飼い主が懸念しています。

他の犬や人への攻撃性

社会化不足の犬は、見知らぬ人や他の犬に過度な警戒心を抱きやすく、恐怖から攻撃的な行動をとることがあります。散歩中に他の犬に激しく吠えたり、訪問者に唸ったりするなどです。
これは、相手の意図を正しく理解できず、適切なコミュニケーション方法を知らないために起こります。未知の対象を「脅威」と認識しやすくなるのです。

過度な恐怖心や不安

様々な音や物、場所に慣れていない犬は、些細な刺激にも過度な恐怖心や不安を感じやすくなります。雷や花火の音にパニックになったり、新しい場所で震えたりすることがあります。
飼い主と離れることに強い不安を感じる「分離不安」も、社会化不足が一因となることがあります。これらの感情は犬にとって大きなストレスです。

環境の変化への不適応

社会化が不十分な犬は、新しい環境や状況の変化に柔軟に対応することが難しくなります。引っ越しや旅行などで強いストレスを感じ、体調を崩したり問題行動が悪化したりすることがあります。
子犬期に様々な場所を経験しポジティブな関連付けができていれば、新しい環境も前向きに捉えやすくなります。経験が乏しいと、未知の環境は「危険な場所」と認識されやすくなります

まとめ

野原でハイタッチをする犬
犬の社会化期は、子犬が生後3週齢から16週齢頃までの、将来の性格形成に極めて重要な期間です。この時期に人、他の犬、様々な物音や環境に適切に触れさせることで、愛犬は穏やかで適応能力の高い犬へと成長します。愛犬のペースを尊重し、ポジティブな経験をたくさん積ませることが、社会化トレーニング成功の鍵となります。愛犬との幸せな未来のために、社会化について正しく理解し、今日からできることから始めてみましょう。

この記事を監修した人

小松 智彦

小松 智彦

獣医師。北海道大学大学院獣医学研究科卒。
20年以上獣医師・研究者として勤務する傍ら、学術論文や業界誌への執筆も多数経験。また幼少期からたくさんの動物を飼育してきたことから飼い主に寄り添える動物博士として活躍中。

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